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書店から仕入れる――新品の本を仕入れる5つの方法(3)

別冊 本の仕入れ方大全 2(3)

書店も二次卸ができる

 大取次の口座を開かず、中小取次の口座を持たなくとも、新品の本を仕入れる第三の方法がある。それは、書店から卸してもらうことだ。

 たとえば店の一角で少しだけ本を売りたいなど、本をメインに商売をするわけではない場合や、継続的に扱うかどうかはわからないが、とりあえず試しに売ってみたいというような場合。あるいは、そもそも本で儲けを出そうと考えていない場合。そうしたことを正直に伝えると、大取次はもちろん、中小取次でも、なかなか口座開設のハードルは高いかもしれない。また逆にこちら側が、卸会社と取引口座を開くのはハードルが高い、と感じることもあるだろう。そうした場合に、書店にお願いしてみるという方法がある。

 先にも述べたように、新品の本は再販制のもと、割引販売ができないことになっているが、法人相手のいわゆる「外商」と呼ばれる取引では、昔から値引販売が行われてきた。再販契約においても、例外規定の中に「大量一括購入」という文言が定められている。解釈は様々だが、ともあれ外商における値引きについては、出版業界全体では黙認されてきた。

 そのため、外商と同じ扱いで、他の小売店に対して二次卸をする書店もある。大取次から八掛で仕入れている書店であれば、八五~九〇%くらいの掛率で別の小さな小売店に卸すと、少額だが利益も出る。

どのように書店に依頼するか

 それでは、そういった形で卸をしてくれそうな書店を、どのように選べばよいだろうか。

 頼まれた側の書店にとって、考え方はそれぞれだ。イレギュラーな業務になるうえ、粗利率も少ない。再販制に対して保守的な書店であれば、値引販売となることに対する懸念を示すこともあるだろう。また近隣の書店であれば、何らかのビジネス上の競合相手となる可能性を考える書店もあるかもしれない。けれど一方で、たとえば九掛(九〇%)で買切といった条件なら、書店の側にはリスクもなく、通常の利益の半分が入ることになる。喜ばれるか喜ばれないかは、それぞれの考え方によって、相談してみないとわからない。

 そのため、書店を経営している知人がいたり、近所の書店と顔見知りであったりする場合には、そこから訪ねるのがよい。実際に「どことでもやるわけではないが、知人だから卸している」というのは書店でもよく聞く話だ。

 また、そのような小さい規模で本を売りたい、と大取次に問い合わせた場合に、その取次から、積極的に外商をやっている取引書店を紹介してもらえるケースもあるようだ。取次として直接に口座を開きたい規模ではないとしても、少しでもその取次の取引書店の売上になるのであれば、取次側としても前向きな判断といえるだろう。

 とはいえ先にも書いた通り、そもそも書店が八掛近くで仕入れているところから卸してもらうので、高い掛率にはなる。それほど関係性の強くない書店にお願いする場合、どのようなことをやりたいか説明した上で、九掛・買切で構わないと伝えれば、引き受けてもらえる確率は上がるかもしれない。また、注文はせずに、店頭にある在庫から選ぶということであれば、書店側も手間がかからない。

 利益目的ではなく、まず手軽に本を販売できる状態をつくりたい場合には、お勧めできるやり方だ。

※『これからの本屋読本』P140-142より転載


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