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バーゲンブックを仕入れる――新品の本を仕入れる5つの方法(5)

別冊 本の仕入れ方大全 2(5)

バーゲンブックとは

 最後に、バーゲンブックやB本と呼ばれる、新品にもかかわらず、自由に値段が付けられる本について説明しよう。

 先に述べた通り、日本の出版業界には再販制があるため、新品の本の多くは定価で売らなければならない。特に、取次を介して全国に流通している出版社の本については、出版社と書店との間の再販契約を取次が代行し、口座開設時に一括して契約を交わすため、出版社側が非再販商品であると明示している場合を除き、値引きすることができない。

 とはいえ、仮に書店は返品ができるとしても、出版社のほうで予測していたよりも売れず、在庫が残ってしまうことがある。出版社としては倉庫の保管料がかかるのはもちろん、在庫は会計上、資産として計上されてしまうため、経営のことを考えると、過剰な在庫を持ち続けることはできない。そうした本は一般的に断裁処分されることになるが、とはいえ本としてまだ読まれる可能性があるものについては、値引きしてでも再流通させたい。そこで、出版社がその商品については再販契約から外し、価格を自由につけてよいとオフィシャルに宣言する。それを処分価格で卸業者が買い取ったものが、バーゲンブックだ。いわゆるアウトレットである。

 バーゲンブックの卸業者である八木書店に取材した。

八木書店

 八木書店は、出版に関する多様な事業を行っている。日本史や日本文学に関する本を中心とした出版社であると同時に、古書・稀覯本を中心とした古書店である。また中小取次でもあり、多くの小さな出版社の本を専売し、小さな書店との口座も開き、仲間卸も積極的に行っている。そして、バーゲンブックの卸業者でもある。八木書店にとっての一番の収益源が、このバーゲンブックであるという。

 八木書店は、出版社が再販を外した商品をバーゲンブックとして定価の二~三割で卸している。小売店側は自由に価格を設定できるが、たとえば二倍の価格をつけ、定価の四~六割の値付けをすると、客にとっては定価の六~四割引の商品であることになる。二倍の値段をつけた小売店の側は、仕入値に対して五割の粗利があることになり、とても粗利率のよい商品であることになる。

 八木書店とバーゲンブックの口座を開くと、神保町にある店売で直接仕入れることができる。信任金や保証人などは不要だ。条件は買切で、それぞれに卸値が表示されている。他にも倉庫在庫があり、専用のウェブサイトから、常時一万五〇〇〇以上のタイトル、二〇〇万冊以上の在庫から検索し、自由に選択して発注することができる。もともと過剰在庫になってしまった本とはいえ、価格次第ではまだまだ売れる良質な本もたくさんあるので、どの本を仕入れ、どう売るかは小売店側の腕の見せ所といえるだろう。

 なお、第二出版販売というグループ会社からは、このバーゲンブックを委託で扱える。ただし商品は選べず、決められたセットでの販売になる。百貨店の催事場や、駅のイベントスペースなどで、ワゴンで販売されているのを見かけたことがある人も多いだろう。そうした一定の売り場をつくれば、展開することができる。

※『これからの本屋読本』P146-147より転載


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ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。新刊書店「本屋B&B」(東京・下北沢)と出版社「NUMABOOKS」を経営しつつ、「八戸ブックセンター」「神保町ブックセンター」「BIBLIOPHILIC」などの仕事をしています。散歩社取締役、バリューブックス社外取締役も。
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