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沖縄の冬のとある日

昨日、Instagramを周遊していると友人の投稿に「すくすく成長しますように」という言葉と一緒に、葉っぱに包まれた餅の写真がアップされていました。

それを見ると「あぁ今年もそんな時期なんだな」と改めて冬を感じたのであります。それに同世代が次々と親になり、健やかな成長を「願われる」立場から「願う」立場へと。歳を重ねていることも感じます。

沖縄では、旧暦の12月8日にお餅を食べて、健康を祈り、厄払いをする習慣があります。今年は昨日がその日でした。

そのお餅のことを沖縄では「ムーチー」と呼びます。

普通のお餅とちょっと変わっています。

ムーチーは葉っぱに包まれています。その葉っぱは「月桃」という植物のもの。月桃の葉の事を「カーサー」と呼ぶので「カーサムーチー」とも呼ばれます。

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月桃の葉は甘く、お香のようなスパイシーな香りを放つため、お餅を包むことでその香りがお餅に付き、上品なお菓子に仕上がります。

お餅はもち米ではなく「もち粉」を使います。

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粘りの少ない、歯切れの良い食感。黒糖や砂糖、紅芋の粉を練り込み、バリエーションがあるのも特徴。私は右の紅芋味が一番好きです。

葉っぱに包んだ餅は、広がらないように紐で結び、そのまま蒸し器に並べて蒸しあげます。

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出来上がったムーチーは、家族みんなでいただきます。我が家では、大人と子供で力を合わせて100個近く作ったこともあったなぁ。月桃の葉が新鮮でしゃきっとしすぎていて、母の力をかりながら葉っぱを折ったのを思い出しました。

出来立てのムーチー。「熱々!」といいながら葉っぱを広げて、中のお餅を口にすると、それはそれは柔らかく、甘く、口の中でとろけるおいしさです。

その日からしばらくは毎日おやつにムーチー。月桃の葉には抗菌作用があるそうで、ムーチーは数週間日持ちするのです。冷蔵庫に入れると固くなるのですが、電子レンジでチンすると、柔らかく生き返ります。

「ムーチーには飽きたなぁ」という頃には2月の半ば。旧正月が催され、また違ったごちそうを食べることができるという。そんな冬でした。

そんなムーチー。赤ちゃんが産まれた年には「初ムーチー」といって、たくさん作り、近所や親戚にお裾分けする風習があります。

その意図はやはり「生まれた赤ちゃんが健康で、すくすくと育ちますように」というものです。

昔の沖縄では初ムーチーは、赤ちゃんが生まれた年に欠かせない行事の一つだったそうです。今ではお家によって、初ムーチーを作る家と、買ってくる家と、特にしない家と分かれてきます。

葉っぱを大量に収穫してきて、ひたすらこねてお餅を作り、葉っぱに包んで、大きな蒸し器で蒸す。

このイベントを通しても、家族の結束が強くなっていたのかな、と思います。県外にいると月桃の葉を仕入れることが難しいのですが、いつかなんとか作ってみたいです。

「ムーチービーサー」という言葉があります。沖縄ではムーチーの日(旧暦の12月8日)をすぎたあたりから、寒さが厳しくなるとも言われています。ちょうど「大寒」とも重なっているのですね。

大寒(だいかん)
寒さが最も厳しくなるころ。寒(小寒 - 立春前日)の中日で、一年で最も寒い時期である。今年は1/20がその日でした。

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「遠くのおいしさよりも近くのおいしさ」

ムーチーは食べることができなかったので、ぜんざいをいただき暖をとることとします。ぜんざいってなんでこんなに温まるのでしょう。

まだ寒さが続きます。皆さんも風邪など引かないよう、温かいものを食べてお過ごしください。


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