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黒糖で「味覚」が育った話。

先日のnoteで、黒糖には「蜜」由来の苦味や雑味が存在することに触れた。

小さい頃、私は黒糖がおいしくないと感じていたことがあった。だけど今はおいしいと感じる。なぜ、そうなったのか。今日はそんなお話。

黒糖よりも白い砂糖の方がおいしい

おばあちゃんが私によく食べさせてくれた黒糖。実は、その味があまり得意でないと感じていた時があった。記憶に残っているのは幼稚園〜中学生くらいかな。
「おばあちゃんが体にいい、と言うから。」という理由で、どこか頑張って食べていたのだ。


チョコレート、グミやキャンディー、アイスクリーム。白い砂糖由来のストレートな甘さの方がずっと好みだった。

子供ながらに、こんな図式が出来上がった。

体にいいから食べる黒糖。
好きでいくらでも食べられる白い砂糖。

今になり、私が苦手だなと感じていた理由は、黒糖のほのかな苦味や、雑味があったからなのかな、と思う。

しかし、大人になり、いつの間にかその黒糖らしい味がおいしいと感じるようになっていた。それはなんでなんだろう。


黒糖によって味覚を「習得」した。

話は変わるが、20代前半の私にとって、ウイスキーは「飲めたらかっこいいお酒」であり「おいしいお酒」ではまだなかった。


そんなことを上司に話したら、ある書物を紹介された。そこで「アクワイアード テイスト」という言葉に出会った。
アクワイアード・テイストとは「習得した味覚」という意味。

ウイスキーのような飲み物は、飲むという経験を重ねることによって美味しいと感じることができる。子供の頃は、コーヒーが飲めなかったのに、大人になると自然と美味しいと思う。同じようにワサビなんて口にできなかったのに、ある時からそれが美味しいと感じる。
そう、その時に人は「美味しく感じる不思議な臨界点」を迎えているのです。
ちなみに、子供がなぜ「苦味」がおいしくないと感じるかというと、先天的な味覚で苦味=毒 と捉えるからだ。

そのようなことが書いてあった。
何かがストンと腑に落ちた。

アクワイアード・テイストは、
・頻度=その食べ物を口にした数
・幅=その食べ物の種類や産地の違いによる味の差の経験度
・関連情報の豊富さ=その食べ物についての知識や情報
によって育つそう。

私の場合、
・頻度=おばあちゃんが繰り返し食べさせてくれた
・幅=黒糖味のお菓子、黒糖の加工品、産地の違う沖縄黒糖を食べて味の違いを経験した。
・関連情報の豊富さ=おばあちゃんからの教え、栄養学を通じて知った沖縄黒糖のメリット
を通して、味の臨界点を迎え、アクワイアード・テイストが育ったのだ。

ちなみに、その後にウイスキーのおいしさもわかるようになった。

黒糖やウイスキーに限らず、誰しもがこういう経験をされているのではないだろうか。

このnoteを読んで下さっている方で、もし、黒糖が苦手だ、という方がいたら、アクワイアード・テイストが育っていないだけなのかもしれない。

8つの島の沖縄黒糖

黒糖に話を戻す。
実は、20代まで知らなかったのだが、いわゆる「黒砂糖」には3つの種類がある。

黒糖…サトウキビを絞り煮詰めそのまま固形にしたもの。
加工黒糖…黒糖に粗糖と糖蜜などを加えて固形にしたもの。
加工糖…粗糖や糖蜜などを混合したもの。黒糖は使用されていない。

さらに「沖縄黒糖」というものは、沖縄県黒砂糖協同組合の承認を受けなければ名乗ることができない。「沖縄黒糖」は、松坂牛や近江牛のような、食のブランド品なのだ。

画像引用元:沖縄県黒砂糖協同組合 沖縄県黒砂糖工業会

「沖縄黒糖」は、沖縄県内の8つの島のみで生産されている。
伊平屋島(いへやじま)
伊江島(いえじま)
粟国島(あぐにじま)
多良間島(たらまじま)
西表島(いりおもてじま)
与那国島(よなぐにじま)
小浜島(こはまじま)
波照間島(はてるまじま)

作り方に差はないが、土壌・天候・さとうきびの栽培方法の違いによって、それぞれ味の特徴が異なる。そのことについては追々書いて行きたい。

沖縄の元気なお年寄りを支える沖縄黒糖。
島の経済を支える沖縄黒糖。
ほっとする優しい味をくれる沖縄黒糖。

沖縄黒糖の素晴らしさを、もっとたくさんの人と共感したい、と思う今日この頃。

朝が特別な時間になるトーストレシピ▼

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