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2022年度カリキュラム化プロジェクト@仙台 開催報告!

カリキュラム化プロジェクトを東北文化学園大学(仙台)にて実施しました!

本記事はその開催報告です。
(当日の様子は公式TwitterにUPしております。ぜひご覧ください。)


開催概要

場所:東北文化学園大学(宮城県仙台市)
日程:2022年9月15日~19日
参加学生:14名(理学療法学科、言語聴覚学科、看護学科の1・4年生)
ご協力いただいた当事者:6名


1日目 地域で生きる、地域で支える

今回は神奈川で暮らすALS当事者、高野さんがオンラインで講義をしました。

ご自身で開発したプレゼンソフトを使って講義をされている高野さん

現地では、当事者講師おさでぃが人工呼吸器(NPPV)を実際に使うところを見ました!

講師の小田さん(重症筋無力症&多発性硬化症)とzoomを繋いで、学生からの質問に答えていただきました。
重度の障がいを抱えながらの生活や子育て、介助者との関係について伝えてくれました。

講義の最後は地域で暮らす当事者の暮らしについてです。
「自分が重度の障がいを持ったら?」という視点で地域の生活を覗いていきました。


2日目 医療・介助の視点で覗いてみよう、コミュニケーション支援

2日目は、重度の身体障がいを持つ当事者の生活を支える介助者について取り上げます。「その人らしく生きる」を支える介助者の視点、また、医療者として当事者にどのように関わるか、そのスタンスを伝えました。

SMA当事者佐藤さんにご協力いただき体に触れる体験をさせてもらいました。

事例検討
SMA当事者佐藤さんより「少し前のことなんですが、頭痛とめまいが続いています」との訴えが。これまで学んだことを生かしてどのような情報が必要なのか、などを検討しました。
佐藤さん「学生さんなのにびっくりしました。私はシャンプーで耳のあたりに水をかけるのが好きなのでちゃんと乾いていなかったのかも。実は介助者さんの変更があったりして、活動をするのに不安が多かったのも原因かなと思います。」
原因は一つではありませんね。視点が偏らないようにすることが大事です。

コミュニケーション体験
意思伝達に障がいがある方を支えるコミュニケーションについてです。
仙台市でコミュニケーション支援活動をされている安齋さんのご協力を頂いて講義をしました。また、宮城在住のALS当事者土屋さんとzoomをつなぎ、実際にエア文字(口文字)でメッセージを伝えていただきました。

学生「何言ってるか分かんなかったんですけど、すごいなと思いました。」
介助者「毎日関わっているうちにできるようになります。12年になります。本人が僕は頭が良いからこれぐらいできるんだ、って言ってます。」
土屋さん「コミュニケーションは命の次に大切です。」

透明文字盤や意思伝達装置の体験もしました。

視線入力装置を体験しているところ 「せかいをこえた?!」
透明文字盤の体験

技術的な面はもちろんですが、コミュニケーション自体の大切さが伝わったのではないでしょうか?


3日目&4日目 見学・体験

本カリキュラム一番の醍醐味ともいえる、当事者宅での見学・体験です。
訪問前にはそれぞれ当事者の方へ質問したいことを考え、また、当事者の皆さまには学生に取り組んで欲しいmissionを考えていただきました。
※見学・体験の様子はInstagramにてまとめてお伝えする予定ですので、そちらをご覧になってください。


5日目 「障がい」について考えよう

最終日は「障がいって何?」の講義・グループワークです。

発表会

・何か困難があってもヘルパーと乗り越えられるから障がいという言葉はなくても良いという意見や、自分とあまり変わらない、当事者が障がい者と言われるなら自分たちもその区分に入るという意見があった。ひとりひとりが違うように、性格も体の作りが違うように、障がいを持っていたとしても、ただの性格の違いなだけで、差別とかすることはないんじゃないかなという意見が出た。
・話を聴いて、障害の害って何なんだろうって感じました。障害の害は害虫とかと同じ。害って果たして何なのかなって自分の中で思いました。
障がいはその人自身にあると考えていたので、イメージも内向的だったり、人と関わるのが嫌なのかなという印象があった。でも、むしろ環境の方に障がいがあると気づいたり、性格も決めつけていたけど、出会った人は活動的だし明るい性格の人たちで、そういうところも違った。
私たちが生活していて生きづらいと感じたことを話していた。その人自身を見ていればそういう差別とかが起きなかったし、周りの人と協力して解決することもできた。それは障がい者の人でも同じことが言えるなという意見になった。
・体験に行った当事者の方が言っていたのは「社会の制度を変えるのは当事者自身」っておっしゃっていた。デモを起こすっていうことは相当に生活が苦しいからで、そうなってしまって行動するのはおかしいんじゃないかなって思って、当事者の意見とは違うけど、周りの人も助けて関わってあげられないのかなって考えました。
・障がいは個性という意見もあったけど、もう一つは全く個性と言えないわけではないけど引っかかる感じがあるという意見が出た。なってしまった人は簡単に個性と言われても受け入れにくい人もいると思っていて、授業であったように受け入れられたのではなくて、慣れただけかもしれない。社会がバリアフリーを取り上げるのではなくて、そういうつくりを当たり前にしていけば良いんじゃないか。障がいを持った人が慣れるのと同じように、一般の人もそういう生活に慣れて、それが当たり前のようになっていけるんじゃないかなと思いました。
・看護の授業では患者さんに行為をする前に説明と同意をするって言われてる。だけど、コミュニケーション障がいがあると、そこを蔑ろにすることがあるかもしれないと思っていた。実際は私たちが学んだことの通り、お湯の温度とかを確認していて、当事者もそれに答えようと努力していて、お互いの意思疎通がすごいなと思いました。

学生の言葉

今日のテーマの大きなところは障がいとは何かというところでしたが、それは、いろんな視点があって、考え方があって、本当に何時間も議論ができるテーマだと思います。その上でお話したいのは、その障がい者本人がどんな考えを持っているかということです。皆さんが支援者として関わる上でそこが本当に大事なところになっています。自分の考えと照らし合わせてみて、どこが同じか、どこが違うかということも含めて考えていただくとより深く考えが深まると思っている。
もう一つ、知的障がい者の当事者団体にピープルファーストというものがあります。「障がい者である前に人間だ」と、というメッセージが込められている名前であり、そういった団体です。知的に障がいがあっても、本人の活動をしたいとそれを支援する人たちもいますので、それも含めて考えていっていただけることも大事かなと思います。ともあれ、5日間本当にお疲れさまでした。今後も色んな場面でこの授業とか思い出しながら、学んでいってほしいなと思います。

ご協力頂いた当事者 及川さんの言葉
及川さん(脳性麻痺当事者)※写真は2日目の様子

今日は新しい話、すこしややこしい話をします。この講義では障がいを個人モデルから社会モデルで考えようという話でした。でも社会は障がいを社会全体としてはなかなか捉えてくれません。
昨日、夜ご飯を食べに入ろうとしたら、2つの店に車椅子で断れました。混んでいる中で対応するのが大変だと思ったのでしょう。それで介助者の食事が遅くなりました。私の食事は介助者の後なのでもっと遅くなりました。これが現実です。
日本は民主主義です。これはつまり、多数派の意見で物事が決まっていくということです。何らかの障がいが認定されているのは国民の7%で圧倒的な少数派です。7%の人がみんな同じ考えなら結構な人数ですが、障がい者はそれぞれ違っていて当たり前です。一人ひとりを認めるのも民主主義です。社会モデルで捉えようと思っても社会の仕組みは多数派で成り立つようになっています。今回学んだことを強く心に刻んでほしいと思います。障がいを理解するのは並大抵のことではありません。障がいを身近に感じてもらったことはそのままに、結構ややこしい背景もあるのだなと覚えておいてもらえると嬉しいです。

当団体代表 岡部の言葉


最後に

今回も半数の学生から学生ヘルパーをやってみたい、ボランティアで継続して関わってみたい、という声が聞かれました!
こちらも地域の当事者さんへ随時マッチングをしていきます。

ありがとうございました!

本講座にご参加頂いた学生の皆さま、ご協力いただいた先生方、
そしてなにより、このような時期に学生を受けれいてくださった地域で暮らす当事者の皆さま、介助者・支援者の皆さまに感謝申し上げます。
当日ご都合つかなかった当事者チームの皆さまも本当にありがとうございました。


本プロジェクトは日本財団の助成を受けて実施しています。


お問い合わせ

カリキュラム化プロジェクトやその他当団体の活動に関してご質問などある方は以下よりご連絡ください。

info@sakaiwokoete.jp


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