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2019/8/23-24 「車が何かゆうてるで!困った!」で始まった日はなんとかアグリジェントへ、次の日は遺跡とトルコ人の階段へ

(この日記は記憶を元に4年越しで書いています。書いてたら、割と鮮明に思い出すものです。)

カルタジローネで雑貨屋らしくきちんと買い付けを済ませ、レティチアがおすすめしていたアグリジェントへとナビを設定。

https://note.com/npanashi/n/n1787df80377f

て、こんなあっさりと言えないくらい、カルタジローネの宿に辿り着くまですったもんだあったのよ。

https://note.com/npanashi/n/n8ec658064679


ちなみにレティチアは留学時代からお世話になっているフィレンツェの友人。留学初期は学校の斡旋していたシェアアパートに住んでいたが、後半はレティチアの家の一室に居候していた。そしてイタリア雑貨屋を始めてからも、フィレンツェのこの定宿を起点として動いている。
彼女は長年ツアーガイドをしていて、イタリア全土に詳しく、また語学が堪能で英語とフランス語の翻訳業もやっていて、いろんな言葉の知識やイタリア語の知的なエスプリを伝授してくれた。そんな彼女のもとにひょんなことから居候できたのは本当にラッキーだった。


と、脱線をしてしまったが、紹介されることが大好きなレティチアのことを紹介できてワタシも嬉しい。

早速、旅の中継に戻ろう。

カルタジローネから出発してほどなく1時間ほど経った頃だろうか。
いきなり車のダッシュボードにこんな表示が。

トラブルの匂い。

タ、タイヤプレッシャーを調整しろ?!!

赤は警告色、なんかやばいんでね?!

タイヤの圧力とか、素人がするもんでなくね?!!!


てか、そんなタイヤを調整するギアどこにあるんさ?!!!!


二人しかいない車内は大いにざわつく。
しかも、荒野のような何もないところでこの表示が出たと来たもんだ。


「どうしよう?イタリアにもJAF的なものってないのかな?」
とすぐさまググるけどそんなもんは見当たらなく、レンタカー屋にそんなサービスが付随していたわけもなく。

せめてガソリンスタンドが近くにあればいいのだけど…google mapで見る限り、しばらくない。
今日日、google mapさんはかなり正確なので、つまり、頼るところはない。


「どうしよう?ここでタイヤがへなへなになったら、私たち路頭に迷うよ!」
車通りも少なく、このままいけばこの荒野で文字通り干からびそうな予感ムンムンだ。


(写真を撮った場所を後で調べたら、本当に何もない場所だった。)
E931, 226, 92027 Licata AG, イタリア 

荒野の用心棒でもBGMにどうぞ。ああ、荒野、ああ、エンニオ・モリコーネ。



「でもグダグダ言っててもしゃーねーだろ!行くべ!」と東北人の相方兼ハンドルキーパーはそのままアグリジェント行きを決行。

ドキドキしながらも私は乗せてもらうことしかできない。

進むしかない。


人生とはそういうものだ。


なんとかガソスタに辿りつかねばとgoogle mapをずっと祈る気持ちで見つめていた。






そして、やっと辿り着きました。





荒野に現れた救いのスタンド。




藁にも縋る気持ちで、とにかく人を!と敷地内のバールへ。




ガソスタのサービススタッフらしき人がわからず、バールマンがいてたので、とにかく何か一言でもと聞いた…


が、


「俺わからん」

と一瞥




ええーーーーーーそんなぁあああああーーーーーー



と絶望感を漂わせていたら、


「どうしたんや?」
と見かねて一般ピーポーのイタリアおじさまたちが救いの手を差し伸べてくれた。


わらわらと我々の車までついて来てくれた彼らに必死に
「これどうしたらいいのさ??!!」と表示の説明をするワタシ。
なんなら車に取り付けられていた取扱説明書の所定のページを見せて、
「こうなってるけど?」と必死のワタシ。

普段、まずもって取説なんか見ない人間だけど、こういうときにはいて欲しい、そんな存在、TORISETSU。



すると、取説もほどほどに
「あぁ〜これね!よくあるやつ!これは"タイヤプレッシャー調節しましたOK"を押せばいいんんだよ!ほら、タイヤも全然問題ない!」

とタイヤをポンポン触りながら自信ありげにおじさまたちは断言した。



10秒もせず問題が解決された。

相方も思わず眼鏡をかけ直す瞬間が反射していた



え?問題解決されたの?何もせずにただ警告メッセージにOKボタンを押しただけ?



あっけに取られるワタシを尻目に、相方は「これでよかったじゃん」ともう涼しい顔。



うん、、、まあ、おっちゃんたちがゆうてるし、それでええのか。

釈然としない気持ちもうっすらと持ちながら、けれども助けてくれたおっちゃんたちの温かさに荒野で干からびかけてていた我々は水を与えられ息を吹き返した気分になった。



ま、なんとかなるさ。




人生とはそういうもの。



この記事を書くにあたって4年ぶりにイタリアのgoogle mapを彷徨ったが、すぐに見つかった。

それにしてもiPhoneカメラの位置情報記録、すごい。
そして、あの時の救われた気分を思い出した。
Grazie Dio, Santa Maria…そんな気分

荒野のオアシスを目にした時の安堵感といったら

Eni Station
Strada Statale Sud-Occidentale Sicula SS 115, KM 212-204, 92020 Palma di Montechiaro AG, イタリア



ようやく、本筋であったアグリジェント行きに生還できた我々。


途中、こんなスーパーで買い付けもした。

どこか砂ほこりだらけの外観。イタリアは窓やら電車やら何かしら砂っぽいのが多い。
いや、日本が綺麗すぎなだけ?
日用品も、日本にはないものが多く楽しいのだ。


そして、目的地を目前にして少し休憩。
ここは大きなショッピングセンターだった。

日本ではとんと見なくなったボーダフォン
シチリアといえばメッシーナ。
「はいはい、メッシーナ海峡ね、電車ごとフェリーで渡ったよ」、と今では自慢できる。
レモン味の紅茶もイタリアでこの時期アホほど飲んでいた。
「Esta Te」という銘柄が特に好き。とにかく美味いのだ。

メッシーナ海峡を渡った時のことはこちらから。



そして、車での移動中に見つけたB&Bに。
アグリジェントのいい感じのビーチの近くにあるっぽいのでそこにした。



みなさん、心の中でこの風景の夜バージョンを想像してください。


このB&Bにたどり着く直前の道はこんな感じでガラッとしていました。
「こんなところにあるのかな?」と一抹の不安を抱えながら…

なんかお金持ちの家っぽいのが並ぶ郊外

取り越し苦労で、宿にはちゃんとたどり着けた。



これまでの宿は空き家をAir B&Bに切り替えたところが多かったので個人のお家を借りているような雰囲気がほとんどだったが、ここはきちんと入り口に宿のロゴがあり、割と宿らしい宿だった。長くやってそうな雰囲気だ。

Olympus B&B
Via Cipro, 20, 92100 Agrigento AG, イタリア


ようやく寝場所にありつけたことに安堵して「今、宿の目の前に着きました。車はどこに停めたらいい?」と宿に電話。大体、こういう宿の専用駐車場はないものなので、車をどこに停めたらいいのか毎回相談だ。
すると「前の道に停めとけばいいよ〜」とゆるい回答。


その前の道がこれだ。

何度も言うが、読者には心の目で夜バージョンを想定して欲しい。


出ました、イタリア道狭いのにぎちぎちに縦列駐車しないといけない問題。

大体google mapでは昼間の様子しか映されないが、夜のイタリアの路上はどこもまさしく戦場。無料駐車できる場所に皆停めるので、どうやって詰めたのか謎なくらい車がびっしりと並んでいる。ここもその状態だった。
しつこく言うが、読者には心の目で夜バージョンを想定して欲しい。


我々は悟った。

「これは無理なやつだ」

早速、もう一度宿の主に電話。
こんなところ日本人には無理なんです、と懇願。
(相方の名誉のために断っておくが、相方は結構運転上手い方ですぞ)

「え、前の道、停めれるでしょ?」と何を言っているのだこのアジア人はと思われてそうだが、粘って主を宿から呼び出してきた。



程なく現場に来て状況を把握した主。
「オッケー!じゃあ僕にキー貸して」
と。



そこからまさしく「ギャッ、ギャッ、ギャッ」
とタイヤが唸るスピードで3ターンくらい、ものの3秒くらいで、バックしてハンドルを切って再前進して停めた図がこれだ!!!!

「ちょっとでも俺に触れたら怪我するぜ」な壁にピタッと
後ろの車との密接具合。もうキスしちゃう距離!

「余裕さっ☆」のウィンクをキー返却時にしてくれたかどうかは定かではないが、アジア人に賞賛の目で崇められた主はまんざらでもなかった。
この駐車術は我々日本人にとって神の所業である。

本当はもっと引きで撮りたかったが、それが無理なくらい狭い道だったと言うこと、この画角からお分かりだろうか。



宿の主は50代いってそうだけどイケイケまだまだ超絶現役!って感じのThe・イケおじだった。


その後、クタクタになりながらショッピングセンターで買ってきた野菜をサラダにしようと、イケおじの「keep out」感漂うプライベートキッチンにズカズカ入り込んでオイルとバルサミコをもらったが、「今夜は目の前のビーチでパーティーがあるんだよ、僕は行くつもりだけど、君たちも行ったら?イケてるよ?」と、対応がまたイケイケだった。

この日の夕食は疲れた体模様を表すかのようにひたすら生野菜が恋しかった。
写真からも疲労感が伝わってくる。


それは面白そうだ、と思ったが、連日の移動とトラブルの渋滞にクタクタな我々はそのまま朝を迎えた。


「あの人、絶対パーティーで毎回女の子持ち帰ってるよね」と噂しながら。


いけてるパーティーにいけなかったいけてない我々は泥のように寝込んだ。
朝、窓を開けると爽やかな光景が目に飛び込んできた。
宿の案内はしっかりしていた その1
「エコの観点から、シーツとタオルの交換は3日ごとに変更します。よって、それまでに床にそれらを落とさないことをお客様にお願いいたします。」


宿の案内はしっかりしていたその2
「管理上の理由から、お客様のご到着の際に全ての宿泊費の生産をお願いしております」


「昨日遊んできたよ」の雰囲気の主に挨拶して、宿を後にした。
なんたって目の前がビーチだ。

最高だ!
イタリア人は本当にどこでも井戸端…波打ち際会議????

しばしゆったりとしたビーチに癒され、英気を養ったのちにアグリジェントに来た目的、遺跡を目指した。




遺跡はすごかった。


すごかった。


見えるところ全部、関連の遺跡だった。


RISERVATO (予約席) ここでは地面も予約されるらしい…?


とにかく大きさも、流れた年月も、日陰のなさも規模が桁違いのアグリジェントの遺跡群。この私のnoteではそんな真面目な解説はやめておこう。
気になる人はぜひググって。
本当にすごかった。シチリアに行くことがあれば、おすすめです。
写真を見ただけで熱中症になりそうだが、それでも本当に行ってよかった。
みなさんはちゃんと帽子を忘れずに。

アグリジェントは芸術史にも造詣が深いレティチアおすすめの場所だったが、次に昨晩のイケイケ宿主におすすめされた場所に行ってみることにした。
その名も、「トルコ人の階段」
なんの下調べもせずにシチリアに乗り込んできた我々。名前からして興味を惹かれた。

断崖絶壁を観光用に歩きやすくした遊歩道を抜けると、見えてきた。



まさしく、「階段」だ。


なぜトルコ人かは謎だけど….


ほら、階段でしょ
自然の階段、そこここに腰をおろす
我々も皆に習い、飛び込んでみた
浮いてみた

手前のカップルのいちゃつき具合がまた、イタリアのVacanzaでよろしいのう。


いい感じの窪みでまどろむ日焼け女子たち。最高か!


こうゆうところでも逞しく商売。好きだわその根性!Buon Lavoro!



いや〜最高でした!



こんな大自然が生んだ地形を、見事に心地よく使いこなす術(すべ)….本当にイタリア人って人生楽しんでるなぁと思うわけです。
書いてたらまた行きたくなりますねぇ〜〜〜

ここも、シチリアに行く際はぜひ!

Scala dei Turchi
イタリア 〒92010 アグリジェント県 レアルモンテ



まだまだ珍道中は続く…


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