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2019/08/22 記念すべき第一回目事件発生@Sicilia, Caltagirone

さて、無事に本日の宿も抑え、目的地のカルタジローネの新市街に着いた。

さっそく、宿主のステファノに連絡。ここにいるよと写真付きで現在地のピンをWhatsAppで送る。なんとも便利な世の中になったもんだ。

その時のやりとり。「この車だよー」とパシャリ。(アプリの時間は日本時間のまま。)
普通にプジョーとかレンタカーで乗れちゃうのが恐れ多いぞ。日本だったらありえないなぁ〜

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ほどなく、ステファノが車で迎えに来てくれた。スポトルノのみんなの優しいアニキ、マックスにどことなく似ている面倒見の良さそうな爽やか青年。

カルタジローネに向かってる最中に「何か食べたい?レストラン予約しとくよ?」と神対応だったステファノ。地元民ならではのおすすめ店に問い合わせしまくってくれたようだが、この日はどこも満席だった。
そんなこと無問題。ただのAir B&Bの客、しかも数時間前にいきなり予約を入れ、しかも多くの観光客と明らかに違う交通手段で来たというわけのわからないアジア人なのに、こんなに手厚く歓迎された時点でワクワクが止まらない。

ステファノの車の金魚の糞になり、新市街から旧市街へと突入。
だんだん道が狭くなってきた。イタリアあるあるだけど、運転手はちょっとずつピリピリし始める。相方は運転がかなりうまい方だけど、こりゃ私だったら絶対泣いて無理なやつだとヒヤヒヤし始める。


臨場感たっぷりの動画どうぞ(文字化けしてるけど普通にインスタです。怪しいサイトみたいですが、、)

そんなこと御構い無しにステファノの車はスイスイゆく。
そりゃあ遠いジャポーネの道事情なんて知らないし、これがデフォルトで育ってきたものだものね。ほんとに運転うまいわ、イタリア人。

なんとかステファノカーに食らいつき、宿前へ到着。
どうやら、ここへ路駐していいよとのこと。普段はステファノが使っているけど、この場所を使ってと。
なんて優しいの!!!

さっそくイタリアあるあるの縦列駐車の体制に入る。
私だったら絶対無理なやつ。
相方は(なんどもしつこく言うが)かなり運転うまいのでなんとかなるだろうと助手席でぽやーっと見守るでもなく佇む私。

が、事態は違った。

旧市街独特の細く曲がりくねった道に、縦列駐車がところ狭し。しかも下り坂のため、見通しが悪い。
それだけでも難関なのに、この一方通行の道の後方からどんどん車が押し寄せクラクションが一斉に鳴らされる。

「そんな無情な〜」と思いつつも、何度か駐車をトライしかけては無理やりギリギリの道幅で横切られるので、無理があるってもんだ。
これじゃあらちが開かないと判断したのか、相方はそのまま、一旦駐車を諦めそのまま坂道を下り進む選択をしてしまった。


まるで、下流に流される折れた枝のように、、

車の外側で見守っていたステファノはえらいこっちゃとすぐさまWhatsAppで連絡をしてきた。そりゃそうだ。このアジア人たちいきなり車でどこいくのさ、だ。
これはえらいこっちゃと助手席の私も焦りまくり、ピリピリする相方とともに他の駐車場をそのままわけのわからぬ道なりで探すことに。

一度進んだらなかなか元に戻れない、細き道の旧市街。

ステファノも少々ピリピリした感じで「すぐ戻ってきて」と連絡をくれるけど、ほんとうにそれどころじゃない。返信する余裕なんてあるわけが無い。
まさにジェットコースター。

途中、大きな駐車場(縦列駐車じゃない!)を見つけたけど、あいにく満車。

そしてあの場所で駐車はいやだないやだなと言いながら、結局は駐車場所が見つからず、ぐるっと回って元の宿前に戻ってきてしまった。

心配そうに待っていたステファノに事情を話すと、朗らかにわかってくれた様子。ジャポネーゼには難しいのよと。

理解の深い人でほんとによかった。

気を取り直して、今度は先ほどの怠惰を反省し、私は車を降りてオーライオーライを努めることにした。

とにかくすぐにまた後続車が来そうなので、
車からポンと身一つで降り現代人の必需品のスマホだけ握りしめて
オーライ、オーラ、、、、


が、、、悪夢再来。


また嫌な予感は当たり、どんどこどんどこ車が押し寄せる。

クラクションが乱暴に殴ってくる。

マジでイタリア人、意地悪すぎ!!!!

と今までだいたいイタリア人大好き人間だった私も、この時ばかりは怒りMAX

そして、神経をすり減らし運転していた相方は爆発したのだろう。


なんと、

運転手一人だけを乗せた車はまた下流へと消えていった、、、、、
力なく濁流に飲み込まれ流される木切れのように、、、、


!!!!!!


固まるステファノと私


どうしよう!!!!


すぐさまステファノは
「僕、車で探してくる!」
と探索に出て行ってくれた。


どうしよう。

なんせ、手に持っているのはスマホだけ。
しかも、頼みのWifiルーターは車の中。
しかも、相方は日本でもガラケーの人だし、一応タブレットは持ってきているけどまずネットみないし、というか運転でそれどころではないはず。

ナビはずっと私がスマホのグーグルマップでしていたから、相方はあまり位置をわかっていない。

ステファノも行ってしまった、、、

どうしよう

焦る焦る焦る。。。。


とりあえず、もうここは莫大なお金がかかってもしょうがないと、スマホの飛行機モードを解除して相方に電話やらフェイスブックの通話を試み。

が、もちろんあちらはオフライン。

ステファノもなかなか帰ってこない。

もう22時前で、あたりは暗くたまに来る車の往来以外は何もない。
こんなに宿が目の前なのに、もちろん入れるわけもない。


ぐるぐるぐる


ステファノが戻ってきてくれたが、見つからなかったと言う。

ネットもないから連絡できないと、事情も説明。
この後友達と約束があったようだけど、置いていくわけにもいかないから一緒に困ってくれている。


ぐるぐるぐる


ダメ元でフェイスブックメッセージを送ってみる



「○○○(相方の名前)、繋がって!!」






もちろん、いくら待っても既読なんかにならない。



どうしようどうしよう



もし奇跡的に彼が戻ってきたらと考えると、動くに動けない私。

さっきやってきた道をただひたすら見つめるしかない。

あの、クラクションの行列がやってきた方向を。


無情にも、通りはしんとしていた。

さっきの騒音は嘘だったかのように。



ここから彼の車が戻ってくるという幻想イメージを暗闇が落ちる石畳に重ね、どれだけ凝視していただろうか。

もはや、幻想か現実かわからないくらい、来るはずの車を待っていた。





どれだけの時間がたっただろうか。


知っている足音が聞こえてきた。




思ってもいなかった方向から。


え、足音。。。?


なんと、想像していた車は戻って来なかったが、彼が身一つの徒歩で戻ってきたのだ。

ひょっこり、思ってもいない方向の角から飛び出してきた彼。


!!!!!!!!!!





なんで?????


けど、とりあえずよかった!!!!!!!!


ステファノも一緒になり、帰還兵を迎える。


安堵と共に、一気に疲労が押し寄せる。


なぜか私はよくわからぬ怒りがこみ上げ、「勝手に行かないでよ」と怒ってしまった。困惑する相方。「彼はアホだよ!」とイタリア語でキレる私と面食らった顔の彼を見て笑うステファノ。
なんだかとてつもない苦労を共にした一体感が3人の間に生まれていた。

その後、やっと部屋をステファノに案内してもらい、念願の部屋の鍵をもらった。

部屋は個人が使っていた一室のようで、趣味がよく快適な様子だった。水回りやキッチンも全てあるので、普通に一ヶ月とか暮らせそう

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上:長期滞在用?ここにはシリアルとか入れたくなる。鍋敷とか、いちいち可愛い。
中:うちでも取り扱っているシンク用マット。シンク上に置き水切りにもいいのか!と目から鱗。
下:イタリアの家庭ではよく陶器がゴロッとテーブルに置かれ、無造作だけどおしゃれな使われ方してるなぁーと真似してみたくなる。ペン置きは横長じゃなくてもいいもんね!


一通り部屋の説明が終わると
「後でいいからパスポートの写真WhatsAppに送っといて!」
と、軽やかな表情でステファノは友人たちの元へ向かった。
今夜は彼もうまい酒が飲めるだろう。
そして「客のジャポネーゼがさぁ!!」と話のネタに盛り上がることだろう。

いやはや、長い夜だった。

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ほっとして、夜の散策に出た。週末で賑わうバール。こんなとこにステファノいてネタにしてるかなぁとかちょっと想像してしまった。



後で相方に聞くと、

どうやら彼はそのままぐるっと街を一周して一度新市街に出てしまい、また野生の勘でなんとか旧市街に戻ってきたようだ。その際、旧市街入り口に駐車場を発見し、宿からは徒歩で遠そうだがもうここしかないと観念してやっと車を停めれたわけだ。

その間、旧市街では悪夢のような細道に迷い込み、車体に傷を付けてしまった。日本ではまずありえない状況、かなり焦ったがとにかく人身事故なく、かすり傷でよかったと安堵した。

この経験から、レンタカーはちゃんと保険に入ろうと固く誓った我々。


はてさて、いったいいくら修理代を請求されるかと数日後が恐ろしいが、とりあえずなんとか収まった。

くたくたになり、出歩く気もかなり失せたが腹が減っていたので夜の街に繰り出した。街の少し外れたトラットリアを閉店時間ぎりぎりに入れてもらって食べた晩餐の美味しかったこと。

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そりゃあもう、ヒヤヒヤして疲れたから豪勢に行くよね!
ピスタチオを使ったパスタとデザート、オレンジのサラダ、シチリアらしい物をいただきました。オープンエアーで、事件後ということもあり、かなりの開放感を味わえた。
そして、「いやーーーーー大変だったわーーーー!!」と噛み締める相方。渾身の「いやー」でした。
お疲れ様でした。


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この橋の近くのトラットリアでした。相方は彷徨い途中にここまで走ってきたらしい。それを、へーっと、初めて見てパシャる私。陶器でできたこの橋はこの街のシンボルだけども、ある意味我々のこのドタバタ旅のシンボルの橋ともなりました。


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カルタジローネといえばの大階段。全ての段の側面に、絵付けされたタイルが貼られているのです。けど今晩はそんなことよりとにかく冒険?事件?でお腹いっぱい。


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よくこんなとこ駐車するよねーの連続。おベンツさんだって軽々と。今夜の一件で、イタリアにに来たら、イタリアン駐車テクにも益々注目しちゃうようになっちゃったわ。

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全てはこの坂から始まった。因縁の坂をひと睨みして、もはや我が家の部屋にそそくさと帰りたがる相方。路駐でも一応四角い枠があるから、そこに入れなきゃいけないというのもまた難関だった。鬼門は写真奥のあの車が詰まってるあたり。
本当に、お疲れ様でした。とにかく無事でよかった!!
(あ、修理代は、、まだ知らんふり)



やっぱり我々の旅には何かしらアクシデントが飛び出してくるようだ。

たいそう疲れたが、なんだかやっと我々の旅の実感がしてきた。


まだ旅は始まったばかりだ。


8月22日は長かった...前編↓


いたとこリスト

陶器の街、カルタジローネ
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ステファノのAir B&B
A due passi della scalinata
Via Infermeria 82, 95041 Caltagirone, Italia 
筆者のお店 大阪・北浜のイタリア雑貨店 douzo
〒541-0044 大阪市中央区伏見町2丁目2-3 伏見ビル2階16号室
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