Vol.10② 法学徒の手探り 〜2016年初頭、本郷〜
不整脈とイランの友人
何が必修で、全部で何単位必要で、他の学部の単位はいくつまでで……
というような決まりがいろいろあって、必ずしも学生の皆さんがすんなりと把握されているようなものではないのかなという印象です。
そう思います。
私も、普通に2年間で法学部を終えるという路線からはみだして、在籍期間を規定いっぱいまで延長することにした以上、万が一にも卒業要件を勘違いかなんかして卒業できなかったら取り返しがつかなくなるので、法学部の規則を何度も何度も熟読してました。
おかげでかなり詳しくなりました。
履修に迷ってる人がいたら教えてあげたいくらいです(笑)。
教えてあげたいですね!(笑)
東大法学部で履修に迷われている方はぜひ佐々木さんに相談を!(笑)
でも、この頃は心配でしたね。
科目を絞って少しずつ確実に取っていくという計画が。
うまくいけばいいですけど、どうなるかまだ見えてこなかったので。
3年生のときは不整脈になったりしました。
不整脈?!
それは大学のことが原因でですか?
たぶんそうなんです。
履修が心配で、というか、法学部規則を読み間違えていないか確信がもてなくて(笑)。
何かが心配で体調に出ることはそれまではあまりないタイプだったんですけどね。
不整脈も、それまでなったことがなかったので、おおこれが不整脈かと思って。
しばらくの間、毎朝脈を測ってみてたんですが、これは大学で学業がきちんと達成できるかという若者的な不安に基づく不整脈なのか、それともそれは関係なく、年寄りになったという表れの、年齢に基づく不整脈なのか、どっちなんだろうって、ちょっと新鮮に自分を観察してました(笑)。
やっぱりどこかご学業のプレッシャーというか、真面目に考えていらっしゃる分、学生として全うする責任みたいなものを感じていらっしゃったのでは?
プレッシャーみたいなものはそこまでなかったと思うんですよね、本来は。
だって、好きで入った大学なので。
それに、卒業後の明確で具体的な目的が何かあって入ったというのとは違うので、仮に学業が思ったほどうまくいかなくても失うものはないというか。
学べたということ自体に意味があるので。
……と思ってはいたんですけど、やっぱり実際には、学生のひとりとして、大学のカリキュラムと規則に従って学業の成果を積み上げていかないと正規の達成として認められないわけですからね。
いくらマイペースでじっくり勉強しようと思っていても、どうしても適合させていかなければいけない部分がありますよね。
それに、好きで入ったんだから学べたこと自体に意味があるといっても、入った以上はやっぱり卒業までやり遂げたいじゃないですか。
それも、やれるだけやったと思えるくらいに。
そう思えることがすごいと思います。
大人の方は、卒業して就職して、という普通の学生さんとは違うので、逆にいつでも途中で休学や退学ができますものね。
事情が変わったり気持ちが変わったりして、やっぱりやめようとか、やっぱり一回休みを入れようとか。
大人だからそういう選択肢は自由にあると思うのですが、佐々木さんは社会人としてそれまでと変わらずに声優さんとしての業務をされながら、さらに大学でもご学業という「業」を、他の学生さんと同じように普通にされようとしていらっしゃるので……。
それは、すごいというより、私の場合は事情も気持ちも変わらなかったということなんでしょうけどね。
気持ちはともかく、何年も大学にいたので、もしかしたらその間に何か自分や身辺の事情が変わる可能性もあったと思います。
支障なくなんとか最後まで通学できて卒業できたのは、人もそうですし環境もそうですし、いろいろなことに助けていただいたからなので、本当にありがたく思います。
不整脈は、その後は大丈夫でしたか?
一時的なものだったので、その後の影響はないですよ!
検査もしましたし!
ありがとうございます。
その頃、毎朝脈を測ってた頃ですね(笑)、横になって脈を測りながらイランの友人にメールしたことを思い出しました。
イラン、の、ご友人??
ええ。
イラン人の友人です。
先ほどお話ししたボストンでのプチ留学のときに行ってた学校で知り合った人なんです。
※インタビューVol.9① 参照
もともとイランで専門職に就いてらした方なんですけど、私が帰国した後もアメリカに残って、アメリカの大学に行かれて、その後アメリカで仕事を始められて。
ときどきメールで近況報告しあってるんです。
ご留学で知り合われて、国を超えてずっと交友を続けていらっしゃるなんて!
その方からちょうどメールが来たんです。
今、大学でものすごいハードな勉強をしてるんだって。
映画や本からの知識ですけど、アメリカの大学のハードな勉強というと、本当に本当にハードだと窺い知れるんですよね。
肉体的にも精神的にも。
「ペーパー・チェイス」の映画でも、学生が毎日勉強に追われて、試験のプレッシャーはすさまじくて、病んでドロップアウトする人もいて。
※インタビューVol.4③ 参照
しかも、外国人は第一言語でない英語で学んでるわけですよね。
アメリカ人の学生さんと一緒に学ばれているんですよね?
それは英語だけで相当ハンデになりますね。
それは大変だね、尊敬するよ、グッドラックって、脈を測りながら返信しました(笑)。
私も日本の大学で法を学んでるんだよ、なかなかハードだよ、お互い頑張ろうって。
素敵ですね!
で、去年(2019年)、アニメのコンベンションに出演するためにテキサス(州)のヒューストンに行ったんですけど、そのときに再会できたんです!
▲ ヒューストンでの巨大コンベンション「Anime Matsuri」でトークショーやサイン会に出演
うわあ!
ヒューストンにいらしたんですか、その方?
そうなんです。
10年近くぶりに会えました。
感動しましたよ、本当に!
アメリカで元気に活躍されていて嬉しかったですね。
その方は、知り合った当時よりもはるかに英語がうまくなっていて、私の英語は下手になってました(笑)。
また英語の勉強をしなければ、と強く思いました!
次にその方とお会いするときのために、ぜひ! ですね!
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お読みいただいてありがとうございます。
次回に続きます!
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