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Vol.12① 法学徒の基底 〜2016年夏、本郷〜

Vol.11③ 法学徒の自覚 〜2016年春、本郷〜

六法との付き合い

法学部というと、六法全書というのですか、あの六法というのはどの法なんでしょうか?

佐々木(以下略) 六法というのは、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法という6つの法典のことなんです。

この他に行政法という分野がありまして、これをあわせて「基本7法」といいます。

憲法や民法などと比べて、「行政法」というのは一般の人にとっては普段あまり馴染みがないように思えます。

そうですよね。

行政法は、他の6つの法律と違って、「行政法」という名前そのままの法律があるわけじゃなくて、行政組織法とか行政手続法とかそういう感じの、行政に関わる法律の総称なんです。

基本7法や、それに関連するいろいろな法律が六法全書に載ってるんですけど、六法全書は巨大なので、学生は普通は小型の六法辞典を使います。

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▲持ち重りのする六法が鞄に入っている日は法学生としての意識も高まる


(佐々木さんご持参の六法辞典を見て)ああ、こんなにコンパクトなんですね!


今これ、「令和2年版」ってなってますけど、毎年新しい版を買い替えるんです。

毎年ですか?!

そうなんです。
毎年、何かしら法律の改正があるので、最新の六法を持ってることが望ましいんですよね。

それと、法学部の試験の多くは、六法を持ち込んで使っていいんですけど、公正を期するために書き込みのない六法じゃないといけないんです。
だから、もし普段の勉強で六法に書き込みをしたりマーカーを引いてたりしたら、それは試験用には使えなくなるんですよね。

試験用にまた新しい六法を買わないといけなくなるんですね?

買うか、どうにかして調達するかして、書き込みのないまったくきれいな六法を用意する必要があるんです。

……コンパクトといっても、けっこう重いですね。

そうなんですよね。
でも勉強には必携品なので……。

とはいっても、実は普段の勉強ではアプリ的な六法も併用してます。

アプリの六法があるのですね!

勉強するには本当は紙の六法の方が絶対いいと思うんですけどね。

英語学習でもそうですよね。
電子辞書やアプリじゃなくて、紙の辞書を使いなさいというのはよく言われてることで。

私も紙の方が好きなんですけど、移動することが多いと六法や辞書を持ち歩くのは難しいので、使い分けてます。
外出先とか、立ったままでちょっと調べたいときには、アプリはやっぱり便利ですよね。

そうですよね、移動が多い方は、六法も英語の辞書も、みたいに分厚い辞書を何冊も持ち歩けないですよね。

というか、立ったままで六法を調べることがあるのですね(笑)。


ありますよ!
あれどうだっけ、みたいにふと疑問に思ったときなんかに。
すぐ調べないと、疑問をもってたこと自体を忘れてしまいますからね(笑)。

たしかにそうですね。
ところで、学生さんは、六法を全部暗記したりなさるんですか?


いえいえまさかまさか!

条文をわざわざ暗記したりはしないですし、その必要もないと思います。
勉強していれば、重要な条文の文言や、六法のだいたいどこに載ってるかは自然に覚えるので。

基本的には、六法を使いながら教科書などを読んでいくというようなお勉強のやり方なんでしょうか?

そうですね。
教科書か、別の本か、文献や判例集なのか、問題集を解くのか、ベースに使うものはいろいろあると思いますけど、何を使うにしても六法を引きながらは絶対です。

慣れないうちは条文を探すのに時間がかかりますし、いちいち六法を引きながら読み進めるのはなかなか面倒だったりしますけどね。

でも、それが大事なのですよね。

と思います。

語学の辞書と同じですね。
辛抱してマメに引き続けていれば、だんだんスピードも上がってくるし、自然に覚えたりもしますし。

紙の辞書がいいのは、引いたそのページにある他の単語なんかも目に入るので、それも覚えてしまったりできるという点なんですけど、六法も一緒ですね。

引いた条文の近隣に書いてあることもついでに読むようにすると、頭の中でだんだん関連づけが進んでいくという。

さすが!
これも勉強の秘訣ですね!


いえ、今はこんなこと言ってますけど、私も最初は六法を引くのが面倒で面倒で(笑)。

本に出てきた条文は後でまとめて一気に見よう、なんて思ったりしましたけど、後でまとめて見たって、どんな事例のどんな状況でその条文が問題になったかなんて、もう記憶がごちゃごちゃになってますからね。

これじゃ意味がないなと思って、どこかの段階で、とにかく条文は出てきたときに、面倒がらずに引こうと決めました。
そうしてたら、だんだん理解しやすくなっていった感じです。

楽をしようとしてはいけないということですね(笑)。



お読みいただいてありがとうございます。
次回に続きます!
Vol.12② 法学徒の基底 〜2016年夏、本郷〜

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↑ 本noteの元記事

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