Vol.11③ 法学徒の自覚 〜2016年春、本郷〜
「先生、本郷に来ましたよ!」
毎学期、いろいろな文学部の授業に出られていて、大学の授業以外でも映画や文学や英語や翻訳などにこんなに積極的に接していらっしゃって、それでいて法学部の学生さんでいらしたことが面白いです。
先ほども、法学ときわめて良い出会い方をしたとご自身で振り返っておられましたよね?
※インタビューVol.9② 参照
そうなんですよね。
根拠が自分でもまったくわからないんですけど、なぜか知らず知らず、法学生としてのアイデンティティを獲得してたようです。
柴田(元幸)先生も、以前、真の文学愛好者は意外に法学部にもいる気がするとおっしゃっていらして、そのお言葉がすごく嬉しかったですね。
まさにそれは佐々木さんのことじゃないですか!
だったら嬉しいですね!
それから、この夏学期に租税法を聴講しました。
駒場1年生冬学期の「法II」で教えていただいた中里(実)先生と、ここで再会がかないました。
再会といっても、直接お話できたわけじゃないですけどね。
※インタビューVol.3③、Vol.9② 参照
「本郷で待ってます」とおっしゃった、佐々木さんが法学部に進むきっかけになった先生ですね!
聴講というのは?
はい、できれば租税法も履修したかったんですけど、この学期は学期末試験で憲法第2部、民法第2部、民法第4部の3つを受ける予定でしたので、租税法の試験までは手が回らないだろうなと思って。
でも、駒場でお声をかけていただいた先生にずっとお会いしたくて、講義を聴くだけでも、と毎週出席しました。
「先生、あのときの学生です。本郷に来ましたよ!」って言いましたね。
心の中で(笑)。
直接お話をする機会はこのときはまだなかったですけど、講義での先生のお話の数々にとても励まされましたし、大いに影響を受けました。
きっと租税法の理解がより深まるようなお話だったんですね。
私の能力では、租税法の理解が深まったとかは言えないんですけどね。
租税法は難しいです。
でも、法学的なものの見方や、法律家のものの考え方ってどんなものなのか、それはよくわかった気がします。
先生の考え方をトレースする面白さもありました。
考え方をトレースするというのは、先生と同じように考えてみるということですか?
そうなんです。
すごく丁寧にわかりやすく教えていただいたので、未知の事柄でも、先生のおっしゃる筋道の通りに考えていくと、最終的に、自分一人では絶対に行き着けなかっただろう結論にたどり着いたりするんです。
その結論自体がどうとかではなくて、そういうトレースに実益があるかないかということでもなくて、実験的な思考訓練みたいなものを自分の頭で体験してみるということが楽しかったです。
佐々木さんにとっては、租税法という科目を学ぶ、ということよりは、租税法を通じて、法学の根本を学べるような授業だったのでしょうか?
そうですね。
自分にはそこに大きな意義があったと思います。
思考の方法だけでなく、講義中のいわゆる雑談も、伺っていて、「ああ、これはただの雑談ではないな。雑談のように見えて、実は学生にとってとても意味のあるお話をしてくださってるんだな」と思うことばかりでした。
東大法学部はきわめて優秀な先生方揃いですけど、学生からすると講義での相性はあるんですよね。
優秀な先生でも、講義を聴く立場からすると、どうも自分には合わないみたいだとか。
逆に、その科目の内容を超えて人間的に自分とフィットする先生もいらっしゃいますし。
中里先生は、私にとっては、法学部の先生方ですごくお話を伺いたいと思った方でした。
なので、租税法の講義はまた別の年にも受講しました。
今学期取られた経済法のゼミというのは、以前取られていたゼミのように少人数形式のものだったんですか?
経済法のゼミは大学院と共通だったので、その分、人数が多かったんです。
ひとクラス分、30人以上いたと思います。
4人くらいでグループを組んで、それぞれのグループが担当するテーマについて発表するという形式でした。
グループワークだと、いろいろ準備が必要ですよね?
そうですね。
授業外で何度か4人で集まって、打ち合わせをしたり分担を決めたりしました。
自分の分担について次回の打ち合わせまでに原稿を作っていって、それを突き合わせて発表の手順なんかを決めていくんです。
そのとき同じグループだった方も、以前のゼミでご一緒した方も、卒業後の今、官僚や法曹になられている方がたくさんいらっしゃるんですよね。
あのときから皆さん優秀でしたから、やっぱりなと思いますけど、あらためて思い返すと、近い将来官僚や裁判官になられる方とゼミで一緒だったって、すごいことですよね。
それはすごいです。
でも、その方たちからすると、声優の佐々木望さんと東大法学部のゼミで一緒だったというのはものすごいことですよ!(笑)
当時はどなたも私のことをご存知なかったので、年齢もよくわからない怪しいやつと思われてたかもしれませんね(笑)。
この経済法ゼミのグループワークをしてた頃、仕事ではちょうど、「蒼穹のファフナー」のイベントがありました。
堂馬広登(役名)の「全力LOVE」を大きなステージで歌い踊りました。
バックダンサーの方にも付いていただいて!
※パシフィコ横浜にて開催されたイベント「蒼穹のファフナーEXODUS スペシャルイベント -同化-」
▲アイドル声優の面目躍如! 歌い踊り舞いにパシフィコ横浜中が熱狂!
バックダンサーさん付きで歌って踊る!
さすがアイドルですね!
直前に民法、憲法、租税法、ゼミ打ち合わせがありまして、そこからのイベント準備と本番で、その夜にはゼミの発表のためのレジュメ作成をしないといけなかったんですけど、イベントが終わって帰宅してレジュメを作ってるときに、「ん? なんか前にもこんなようなことがあったような……?」と思いました(笑)。
サントリーホールであった、銀英伝のイベントのときですね。
憲法のゼミのレジュメを作るためにすぐにご帰宅されたという(笑)。
※インタビューVol.7① 参照
そうでした。
イベント後即時帰宅のレジュメ作りに、何だかデジャブ感がありましたね(笑)。
でも、この後も、仕事と大学とのこういう交錯が多くなっていったので、最初は不思議な気分でしたけど、だんだん慣れてきましたけどね(笑)。
毎日がとても充実されていて、そして他の方にはできない体験をたくさんされていらっしゃって、伺っているだけでワクワクします!
次回は、4年生夏学期後半! 学期末試験の足音が近づいて?!
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お読みいただいてありがとうございます。
次回に続きます!(後日更新)
Vol.12① 法学徒の基底 〜2016年夏、本郷〜
佐々木望の東大Days:https://todaidays-nozomusasaki.com
↑ 本noteの元記事
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