フォローしませんか?
シェア
こうの のぞみ
2021年7月26日 16:08
梅雨が明ける頃になると、ミンミンゼミが鳴き始め、空が一気に青くなる。この時期になるとやってくるのが、夏休みである。子供の頃はよかった、という話をしようというのではない。親になって苦労をしている、という話でもない。私が小学一年生の頃だ。母が婦人病を患い、手術のために近くの病院に入院したことがあった。時期は夏であった。私は母がなぜいないのか、なぜ祖母が手伝いに来ているのか、ちっとも
2021年7月27日 15:32
漠然と、子どもの頃に口にした夢が、私にもあった。ただそれは、こういうと喜ばれるだろうとか、こういうのが普通なのかもしれないという意識によって、当時導かれた答えに過ぎなかった。絵を描くのが好きな幼い頃の私は、画家になりたいと言ったし、漫画家になりたいとも言った。だが、何度も口にしていれば、それが自分の夢であり望みなのだと、意識の中に固定化し、根ざしていった。幼い子どもが、ずっと絵を描
2021年7月29日 16:18
私と夫は、幼馴染というには年が離れているけれど、人に説明するのには便利なので、幼馴染と言っている。正確には、私の生家のお向かいさん、そこの三人兄弟のうちの、2番目のお兄さんである。7、8歳、離れている。1番歳の近い、末のお兄さんよりも、私はこの真ん中のお兄さんのことを、小さい頃からなんとなく好ましく思っていた。それは恋愛感情とかいうのではなく、安心感というものに近かった気がする。私
2021年7月30日 17:45
私には、二回だけ不思議な体験がある。細かい体験はもう幾つかあるけれど、これは確実と言えるのは、二回だ。一回目は、お腹の子どもを亡くして、その供養をしたときのこと。私と夫で、小さな法要をお願いしたのだが、涙を流して必死でお念仏を唱えていたところ、キラキラとした光が囁くかのような声で、「ありがとう」と聞こえたのだ。まるで、鈴の音のような声だった。「お母さん、ありがとう」「お母さん、大好き」