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【インタビュー】自分の気持ちに正直に、歩んだ先に見えたミライ

自分の大切にしたい想い。

守りたい自分の想いと、仕事における利害関係の中で葛藤することがある。

迷い苦しむ時、どんな選択をするか。

選択が自分を作る。

迷って苦しんで出した答えには、自分の生き方がうつる。

生み出した答えは、どこかの誰かにとって正解じゃなくても、自分にとっては正解なのである。



仕事をしていると、働きながら自分のキャリアを見つめることが多い。

今後どのようにして自分の力を活かしていきたいか、仕事を通してどのような人物像になりたいか。

改めてじっくりと、働き方について考えてみる。

しかし自分のキャリアだけ見ていても、景色は広がらない。

そこで様々な職種で活躍する人の働き方から学びを得たいと思い、働き方についての観察をはじめた。



会計士のEさん(30代)

会計士との出会い


「手に職を」

その想いを抱くようになったのは、女で一つで2人の子供を育て上げた、母の姿を見ていたからだった。

自立して生きる女性。

母の姿を見ながら、自分はどのように生きたいか、いつも想いを巡らせていた。

資格を取ろう。

その気持ちを片隅に抱いたまま、明治大学経営学部に入学。

大学で偶然参加した"会計士セミナー"。

ピンときた。やってみよう。

出会いは、そこからだった。

やりきりたい、自分の想いは確かにそう言った


勉強は大学2年の春からスタート。

翌年大学3年の夏には、試験を受けるものの結果は不合格。

ちょうど周囲は、就活をスタートさせる頃だった。

一年半自分なりに努力してきた結果であるが、また一年間がんばり続けることができるのか、自分に問いかけた。

"やりきりたい"

その想いが1番強かった。結果を良いものに繋げたい思いもあるが、今までの一年半を無駄にしないよう後一年やりきりたい。

勉強を続けることにした。

次の試験は大学4年の夏。

周囲は就活を終える頃だろう。

Eさんは多くの人とつながりを持つタイプではない。

少なくても自分が大切にできる人とのつながりを大切にしてきた。

つながりが限られることで情報が入りすぎず、勉強に集中できる環境をつくった。


大学4年の秋、試験を見事に合格。

大学4年12月監査法人で働きはじめる



会計士の受験者は、試験結果が出る前に、監査法人へ就活をする。

試験が通れば、そのまま採用となる。

Eさんは大手監査法人と中小監査法人を受ける。

Eさんは結果が不合格になっても働ける環境を探していた。

2年の試験の後、母にまた負担をかけるようなことはしたくない。

素直に想いを話し、試験の合否に関わらず働ける環境である中小監査法人に就職を決める。※


結果のあと、すぐに始まった仕事。


同期26名との新たな環境。


大変さより、ワクワクに満ちた日々を送っていた。

働き始めて3年、変化


働き始めて3年ほど経ち、仕事も忙しくなっていた。


残業も多く、多忙な日々が続く中、支えになっていたのは同期である仲間たち。


その仲間の1人に、夫となる彼がいた。


彼は多忙な日々の中でも、自分のペースを保ちつつ、辛さを見せない。

彼の存在は忙しい日々での心の寄り所になった。

彼と付き合い始めて少し経ち、結婚へ。

不妊治療と仕事における葛藤と



結婚しても仕事は続けるつもりだった。

しかし子供も欲しかったこともあり不妊治療を始める。そして強く出始めた副作用。

また仕事においては、会計士として監査法人で勤めることの苦しさも感じるようになっていた。

企業との関係性もできる中、会計士として企業に対しては厳しいことも伝えていかなければならない。

何を大切にして働きたいか。

1人の人間として守りたい気持ちもある。

仕事として、やらなければならないこともある。

板挟みで苦しむことも増えていった。

治療と仕事で、精神的にも肉体的にも負荷がかかるようになっていた。


勤めていた監査法人は、辞めることに。

新たな命との出会い



仕事を辞めて、少し経った頃、子どもを授かる。

会計士として監査の仕事とは距離ができたものの、新たな命と家庭を守ることに専念した。

やがて2人目も授かり、4人家族となった。

育児は、仕事とは異なる大変さがある。

可愛さと大変さを行き来する。

仕事はある程度予測を立ててつつ、進めることができる。

子供相手になると、予測を超えることが次々と起こる。
姉妹になれば、2倍の予測不能な出来事が起こる。

大変だけど、楽しい。
楽しいけれど、大変。

子を持ち新たなキャリアをスタート


育児中心に家庭と向き合い、5年が過ぎた頃。

次女も2歳を過ぎた。
仕事をしたいという想いが湧いてくるようになっていた。

タイミングよく、勤めていた監査法人の先輩から、仕事の誘いがあった。

在宅でできること、週三日で働けることもあり、仕事を再スタートさせることに。

仕事は自分を取り戻す時間


5年のブランクがある。

仕事を再開するには、離れていた間に忘れている知識を復習したり、PCでの作業にも慣れていかなければならなかった。

しかし仕事を始める前に準備をしたいからといって、育児を休むことはできない。


準備をする間もなかったので、育児と仕事をやりながら、実践で学ぶ日々。

育児中心の日々とは異なる忙しさ。

それでもEさんの表情は、明るく晴れやかである。

いま仕事をしながら、"じぶん"を取り戻していっている。

母でも妻でもない、自分。

現在は、企業の財務諸表を作る仕事をしている。

子供達もまだ小さいので働く時間は限られるけれど、家庭と仕事とのバランスが程よく保たれる働き方ができている。



一度ストップした、会計士として監査法人で働くというキャリア。

苦しみ迷ったけれど、自分の選択は自分だけができるもの。

悩み抜いて決めた決断と、そこから生まれる新たな人生。

新たな命との出会い。

そして母となり働きはじめた、新たな自分。


忙しくも充実した日々を送っている。
自分の人生の選択を自分の意思のもとに決断して、歩んできた証である。

人生の時間は有限である。

そのときの選択が、自分の人生を決める。

迷っても苦しくても、自分で決めたことは、自分で引き受ける。
覚悟を持って歩んでいれば、その先に新たな道がひらけてくる。

Eさんには自分で決めたことを全うする、意思の強さを感じる。

自分自身に嘘なく生きていく。

正直な気持ちで力強く歩んでいった先に、自分らしい働き方に出会えるように思う。




※2008年での会計士の監査法人での就職状況の為、2021年現在は試験の合否前に内定を出すことはありません。

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