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眠れない夜は楽しいことを

眠れない夜。
君のせいとかではなく、欲望にまけてお昼休みにどっぷり眠ってしまったという、ぜんぜんあまくない理由。

たまたまこの日はノビ夫も眠れない夜だったらしく、隣でごろんごろん派手に寝返り中だった。
二人して眠れないのなら、どうしたらこの夜を楽しめるか考えてみよう。
そういうことになった。

* * *

「昔ばなしでもしてあげようか?」と、わたし。
「うん、して。」と、ノビ夫。

なんですって。

普段のばっさりキャラから瞬殺で
「結構です」
と言われると予想していたため、予想外の返答にたじろぎ、いい感じのおはなしがなにも浮かんでこない。なぜか、
“ぶんぶくちゃがま”
というワードだけが頭をめぐっているけど、はんぶん茶釜化したタヌキが、芸をするシーンしかおぼえていない。
むしろなんなのその場面。そんなとこほんとにある?

綱渡りする半かまタヌキが、扇を両手にこちらに向かってほほえみかけてくる。

ぶんぶくワールドから抜け出せないわたしに早々に見切りをつけたのか、もそもそとスマートフォンを操作するノビ夫。
なにやら流れ出す、のどかな音楽。
「むかぁし、むかし。」
あー落ちつく声。ノビ夫が動画検索してまんが日本昔ばなしを再生してくれたのだ。おかげで、ぶんぶくワールドがどうにか終わった。

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* * *

再生されているおはなしは、“三枚のおふだ”だった。
ちょっと怖めのセレクトだな、攻めたな。

寺のこぞうが山に栗を採りにいったところ、夜がふけ、帰れなくなってしまう。そこに親切なおばあさんがあらわれ「今夜はうちへ泊まって、朝におかえり」と提案してくれる。
しかし実はこのおばあが人を食べるというヤマンバなのだ。夜中に包丁をといで「ひひ、うまそうなこぞう」と聞こえるように言ってみたりと、Sっ気たっぷり。
こぞうもあやうく食べられそうになるが、ピンチのたびに和尚さんが持たせてくれていた3枚のおふだの力で切り抜け、命からがらお寺にもどってくる。
しかし、ヤマンバも生きるのに必死、簡単にあきらめたりはしない。
幾たびのおふだトラップをくぐり抜け、お寺まで追いかけてきて、モチを焼いている和尚さんに「こぞうが来ただろう、あれは私の食べものだから出せ」と話しかける。


ここでノビ夫が一言

「ヤマンバ、話できるんだ」

…たしかに。和尚を力技でねじふせず、ちゃんとまず交渉している。意外に良心的だ。
結局和尚がヤマンバをうまくけしかけ、小さなすがたに変化させたところをモチでまいて食べたとさ(!)めでたしめでたし。と、お話はおわった。
めでた……いのか!?和尚の方に良心が見当たらないぞ!そもそもなぜ夜中にモチなんか焼いてるんだ!

* * *

このあと、なにが原因で問題がおこり、どうすれば再発をふせげるのかというようなことを話しあってみる。

「時間の管理をちゃんとする」
「行動を起こす前に、必要な下調べはする」
「知らない人の甘いことばは、罠の可能性高し」
「問題にぶつかったらよく観察し、現状打破につとめる」

夜中にまさかのPDCAサイクル的な話しあい。
なにかを達成してしまいそうだ。
でも思い出してほしい、これらの対象になっているのはこぞう、ヤマンバ、和尚などの、昔ばなしの登場人物だということを。

こんなくだらないことを楽しく話しているうちに、二人とも寝入ってしまった。
朝になって思い返してみても、いい時間だった。


眠りたいのに眠れない夜はつらい。
眠らなきゃと思っていると余計に心が乱れるのか、ぜんぜん眠れない。
そんな時だから普段しないようなことをしてみるのも、結構楽しくておすすめ。
他人を楽しくする方法を知るのはとてもむずかしいけど、自分が喜ぶことや気分転換になることは、ちゃんと自身に問えば知ることができる。
眠れない夜なら、自分のために。

自分が楽しいと思える毎日を、しっかりつくっていけるといいね。


お読みいただきありがとうございました!
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