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【エッセイ】読書について。

私は5年間ほど本を読み漁った。
中学から最近まで、である。

流し読みをして、何冊も読破するタイプではないので、5年間といっても量に関しては、たかが知れている。

ここでは簡単に、
私の読書遍歴を書こうと思う。

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父は読書家ではなかった。
ただのアル中だ。
なので読書はしない。
読むのは雑誌と新聞とエロ本だけだった。

母はミステリー小説が好きだった。
金田一耕助とか森村誠一とか読んでいたと記憶している。

父と母の話はまた別で書こうと思う。

小学校に上がった頃から、母の勧めで子供向けのファンタジーや冒険小説を読むことになる。

その頃の私は「おままごと」と
読書と歌が好きだった。

中学生になってから、
本格的に読書にハマる。

最初、わけもわからず『村上春樹』の小説を手に取った。
一冊目は短編小説だった。

すぐにその世界観に引き込まれ、
全ての作品を読むことになった。
エッセイや対談集も読んだ。

図書館で借りたり、
母にブックオフで買ってもらった。

私にとっては「1973年のピンボール」
が最高傑作だ。
もし読んでいない人がいたら、
手に取ってみてほしい。

あの雰囲気を超える小説は、
いまだに読んだことがない。

ピンボールが敷き詰められた倉庫。
その冷たい雰囲気を思い出すだけで、
いまだに心が震える。

これはブックオフで紙版と
永久保存用に電子版も買った。

私の文章の雰囲気や文体は、
間違いなく村上春樹の影響を受けていると言える。

高校生になってから、
カミュやカフカやヘッセやサリンジャーなど
海外小説も読んでいった。

カフカは変身も面白いけど、
短編集が個人的にはベスト。

あとは村上龍や綿矢りさ、
金原ひとみや村山由佳など。

村上龍の社会派の作品は、私にはまだ理解できないことが多々あるけれど、コインロッカーベイビーズや共生虫には「のめり込んだ」

これまで読んだジャンルは、
だいたい上記のとおり。
ミステリーや推理作品は読んだことがない。

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しかしあるとき、
私は急に読書をしなくなった。

ゼンマイ仕掛けの古時計の秒針が、
いつの間にかパタリと動かなくなったかのように。

実は、これには明確な理由が一つある。

小説を読むことは、
「暇つぶし」と思ってしまったからだ。

私は忙しいというわけではなかった。
「暇つぶし」は十二分に出来る時間はある。

ただ、何かのタイミングでふと、
急にそのように感じてしまった。

趣味なのだから「暇つぶし」
というのは当たり前のこと。

しかし私はそれからというもの、
小説を読むことに対して、
全く情熱を失ってしまった。

これは飽きたということではない。
一つの「区切り」なのだと思う。

物事には「区切り」が必要なのだ。

また再開する時が、
秒針がカチカチと音を立てて動き始める時が、
いつかどこかで来るのだろう。

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私の木目調の本棚は、
大量の本でぎっしりと詰まっていた。

今ではその半分が空っぽになった。

その半分の空っぽを、
今度は何で埋めるのだろう。

つづく。


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