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2024年6月の本棚

上半期もお疲れ様でした。6月に読んだマンガをまとめていきます。

※以下ネタバレあり
※Amazonリンクはアフィリエイトリンクではありません


芭樂歌 BLA BLA SONG(ぶらぶらソング) / PETER MANN(尖端出版)

台湾の出版社から2022年に刊行された台湾漫画の短編集。今月、海外漫画を多く取り扱う書肆喫茶moriさんの通販で購入しました。2400円と高額でしたが、全然お釣りが来るレベルの満足感。

これがもう本当に心に深く残ったので、特別に今月の10冊に入れることとします。(サムネの10冊は原則その月に出た新刊から選定しています)(Amazonには出品されていないので書影は無し)(サムネは台湾版を掲載)

詳しい内容については、moriさんのnote↑に全て書かれているので、そちらを参照していただきたいところですが、ビターな恋愛系から少しファンタジーなSF系まで、幅広く且つセンチメンタルな四篇を収録

特に表題作の「Ba La Song」はブッ刺さる人も多い気がします。「自分の”好き”との距離感」みたいな話です。

さらに台湾の漫画賞「金漫賞」のクロスメディア応用賞部門を受賞しており、収録作それぞれにアーティストが描き下したイメージソングが存在します。これがまたとても良い。

日本語訳ver.の単行本は自費出版の200冊限定とのことですが、売れ行き的に追加で発行されたりしそうな気もします。


【新】佐橋くんのあやかし日和 / 三卜二三(イースト・プレス)

道端のテキ屋のおっちゃんから買ったヒヨコは実は火の鳥の雛で、そのおっちゃんは実は悪魔で、蛇人間と樹人間の両親を持つクラスメイトに懐かれ、化け狸の先生とその友人の化け狐のカップルのイザコザに巻き込まれ、従兄弟のお兄ちゃんに翼が生えたと思ったら、砂浜で人魚と遭遇し、挙句の果てに火の鳥(親鳥)の体内に広がる街に迷い込む小学生・佐橋くん

彼の持つ”不思議な引力”が引き寄せる、妖くてどこか微笑ましい出来事の数々を描いた一冊。

全体的に『ダンジョン飯』の九井諒子先生を想起させるタッチで、練り上げられた世界観に、作中のあやかしたち同様引き寄せられるように食い入るように読んでいました。これは良いものだ…

クソバズめでたい


【完】好きな子がめがねを忘れた 12 特装版 / 藤近小梅(スクウェア・エニックス)

”ありがとう”最終巻

初詣からの受験、卒業と中学生活の最後を駆け抜けた二人。それぞれ別々の高校へ進学することとなるけど、二人の人生はこれからもずっと一緒に、少しずつでも着実に続いていく。なんて幸福に満ちた物語なんだろう。

全く関係ない私事です(私事でもない)が、この度、実妹が中学時代から付き合っている彼氏と10年以上の交際を経て入籍するそうで、いやもうマンガやんそれ、と思ったりしました。

それにしてもこの巻はもう終始イッチャイッチャイッチャイッチャしていて言うまでもなく最高。三重さんの天然可愛さに加えて|タガ《・・》が外れたような積極的スキンシップ、そして小村くんの厨坊的キモさも最後まで健在。脳内お義父さんとの対話はこれからも続けていってほしいところです。

特装版には過去の店舗特典なども含め、二人の高校生活も描かれているのでマストで買いましょう。

Twitter(X)発のラブコメ作品でここまで丁寧に丁寧に最終回まで描かれた作品もそうない気がします。素敵なことです。


【新】それでも天使のままで / 小骨トモ(双葉社)

【リカ先輩の夢をみる】小劇場で出会った先輩に抱いた恋心との訣別。分かりたくなかった温度差。【あの嫌いなバンドはネットのオモチャ】好きだったバンドが炎上した男子生徒は教え子と関係を持った女教師に詰め寄り、快楽に浸る。「…この曲さぁ 良すぎだろっ」【先生のクモのイト】←のB面。毒親の呪縛、人生への絶望、たった一人の人生にたった一本垂れ下がった細く頼りない蜘蛛の糸。【それでも天使のままで】自作エロ漫画を同級生の陰キャ女子に見られた陰キャ男子。君の魅力は僕だけが知っている、はずだったのに。

前作『神様お願い』が自分の好きなように描かかせてもらったという「優しい自慰漫画」だったのに対して、二作目は「初恋」がテーマの四篇(三篇)を収録。しかし初恋と呼ぶにはあまりも殺傷能力が高すぎる。でもこの痛気持ち良さが好き。


神様お願い / 小骨トモ(双葉社)

【藤田の生首】いじめられっ子の藤田くんが山で出会った”生首”。【スモウちゃんにさようなら】胸の大きい女子生徒の悪夢のような毎日と教師の暴走。【アブラゼミ】不登校のクラスメイトの家で見る魅惑の喧騒。【神様お願い】死ぬほど嫌いだった学校の何もかもに制裁を。【ファーストアルバム】愛する妻の連れ子に抱く嫌悪感の正体。

著者初の短編集。とにかく全部気持ち悪かった。本当に二度と読みたくない。そう思いながらパラパラと読み返してしまう奇妙な吸引力のある一冊でした。初っぱなの【藤田の生首】の衝撃的で好き。

あとがきや各話解説を読むに作者は女性のよう。だから何だという話ですが、良い編集者や出版社に出会えて良かったねぇ…という気持ち。


【新】終末、君と 上・下 / るぅ1mm(KADOKAWA)

るぅ1mm先生の新作は初の連載作という「ディストピア×グルメ×BL」モノ。

ルームシェアをしている幼馴染同士の修平智也。毎週約束の「肉の日」を楽しみにしながらほのぼのとした日々を送っている…ように見えるが、外の世界ではゾンビ病が蔓延しているという終末世界が舞台

詳しくはご本人のnote↑をご覧いただきたいところですが、壊れた世界を舞台に描かれる歪んだ愛と日常の物語、って感じでした。ゾンビは怖いけど、誰かと食卓を共にする時間は幸せなものです。


【新】致死量の幸福 / るぅ1mm(KADOKAWA)

こちらはるぅ1mm先生の新作短編集。今月はるぅ1mm先生作品が3冊同時刊行というお祭り月間でした

BL、百合、ロボ、なんでもござれな闇鍋感満載な一冊。突飛なヴァイオレンスが随所に散りばめられていて読後感はどれも結構重めです。

この辺りのルーツはこれまたご本人のnote↑にも記されています。


佐々田は友達 2 / スタンニング沢村(文藝春秋)

彼氏を作ろうと奔走する高橋と塾に通い始める佐々田、それぞれの夏休み。

佐々田を中心に据えつつ、1巻以上に多くのキャラクターにスポットが当たった2巻。学生の夏休み特有の無敵感と虚無感が混在した唯一無二の時間を過ごす各人の日々が描かれます。

他人の感情全てを掬い上げることなんて不可能で、誰一人ととも真の意味では分かり合えないかもしれない。それでも一瞬でも一片でも繋がることはできる。終始「個」が尊重されている素敵な作品です。

体育祭をブッチして一人で山を登る佐々田が最高にクール。表紙も斜め上の方向にクールで良いですね。


【新】ゴーストフィクサーズ 1 / 田中靖規(集英社)

『サマータイムレンダ』の田中靖規先生の新作。

非現実的な現象・生物・物品…通称【GHOST】を校正する(元の状態に戻す)校正官フィクサーとして活動する中学生のW主人公バディモノ。今のところ正統派な能力系オカルトSFで楽しいです。


誰何Suika 4 / つばな(徳間書店)

思春期特有の負荷が引き金となり、突如姿を消してしまうという怪奇現象が起こる世界で、アイカツ!をする女子高生たちの物語。

はるかの消滅を唯一目の当たりにしてしまったもみじは、そのことをメンバーに秘密にしたままライブ当日を迎える。自分の指先も消えかけながら…

本番直前に皆に事を打ち明け、動揺し一度は崩壊しかけたライブも、先生の助言で立て直す。そして、消えたはるかを引き摺り戻す勢いで精一杯のパフォーマンスをするメンバーたちの前に、ぽっ と奇跡が起こる

まぁ泣いた。そうなってほしいと願っていただけに。ただ、後半からはつばな先生の本領発揮とも言える息を飲む緊張感に包まれていました… ここからさらに面白くなりそうだ…(恐怖)


うめともものふつうの暮らし 8 / 藤沢カミヤ(竹書房)

ようこそ、うめとももの世界へ━━━

うめともものふつうの毎日を覗く今最も推せる作品の一つ。何気ない毎日がただ続くこと、その中に沢山幸せが詰まっていること、当たり前だけど忘れてしまうそんな小さな喜びたちを拾い集めて出来た宝物のような作品。

志村貴子先生とのコラボマンガや幕間の「ももしんぶん」も必見です。

メロンブックスでは2回目となるPOP UPも展開中!(豆皿買い損ねた…)

今月やっと紙でも集められました✌︎


【新】ブルーアーカイブ ゲーム開発部だいぼうけん! 1 / 水あさと・ブルーアーカイブ(スクウェア・エニックス)

大人気ゲーム『ブルーアーカイブ』に登場する「ゲーム開発部」の面々の日常を、『デンキ街の本屋さん』『阿波連さんははかれない』などの水あさと先生が描くスピンオフ作品。

元々、ゲーム開発部の4人が幼げでコミカルなので、水あさと先生の作風と親和性が抜群に良く、ギャグコメディーとしてこれ以上ない程の完成度となっています。

ツッコミやサポートとして度々登場してくれるユウカの太ももの過剰表現だけは気になります(私はユウカ推し)が、原作ゲーム共々盛り上がっていってほしいタイトルです。

ちなみに、本来のゲームの主人公(プレイヤー)である先生は、筋骨隆々で無口の大男となっています。ここが一番おもろい。

店舗特典制覇をやってみたかった




【新】星野くん、したがって! / ほしのディスコ・オジロマコト(小学館)

お笑いコンビ「パーパー」・星野ディスコさんの原作をオジロマコト先生が作画するという、コント×マンガの新しい切り口の作品

野球部の星野はクラスメイトの山田さんにいつもちょっかいをかけられる。彼女の真意は…?二人の関係の行方は…?不条理が笑いに変えるミステリアスでやべぇ女の姿がそこにはありました。いや普通に嫌いだわ、山田さん…


【新】100年のたていと 1 / 赤井千歳(小学館)

無名小説家の主人公・菅井櫓は不治の病を患い、100年のコールドスリープに入る選択をした。100年後、目覚めた菅井を待ち受けていたのは、生成AIの台頭により、もはやAIなしで創作をする人間が姿を消した世界。オリジナルの小説を生み出す菅井は国民的小説家としてもて囃されることに。

生成AIは人類にとって、正義か悪か。昨今注目されているテーマを扱いながら、SFとしても、クリエイターものとしても読み応えのある作品が始まりました。謎多きヒロインの存在も良い味出しています。


【新】非合法ロマンス 1 / 松田奈緒子(講談社)

『重版出来!』の松田奈緒子先生の新作は、16歳の頃に抱かれた医者の女性といまだに不倫関係にある42歳の独身大学講師を主人公に描かれる恋愛群像劇

だいぶドギツイのが来たな…というのが第一印象。しかし内容に反してするすると読めてしまうのは先生の描くしなやかな線の成せるところでしょうか。

「人権」という、マンガで扱うには些か重すぎるテーマと「恋愛」を絡めたラブロマンス。内容に関してはちょっと一旦様子見です。


【新】へそのお / 今橋元・もぐこん(小学館)

マリコは息子・マサトを出産するが、繋がっていた“へそのお”を切ると、2人ともショックで死んでしまう奇病に冒されていた。切るか、生きるか。母子の繋がりという名の呪いと絆の物語。

1巻完結ということで、かなり早送りな展開ではあった。肝心な部分があまり深く描かれなかったので、登場人物たちにそこまで感情移入できないまま終わってしまったのは残念。


【完】イジめてごっこ。7 / 南文夏(白泉社)

いじめられたい彼女・ゆかちゃんと、頑張っていじめたい彼氏・真広さん。優しい二人のピュアSMラブコメ完結

ゆかちゃん真広さんカップルはそ幸せなSMプレイをしてハッピーエンドだった一方、ゆかちゃんの親友・まこの元DV彼氏・颯太のその後は意外だった。まさか”本物のペット”になって終わるとは…

南文夏先生のXアカウントより(投稿のリンクは上手く貼れず)

そして南文夏先生がガチ成人向け漫画を描いてくれて大歓喜!(まだ読めてません)(『イジめてごっこ。』とは関係ない読切です)


【完】偽りのマリィゴールド 3 / サスケ(KADOKAWA)

完結巻。贖罪のために兄・薫として、彼を愛した盲目の少女・りりと接する華。しかしりりは最初から華が薫ではないと気づいていた。気づいたままそれを認めずに同じ時間を過ごしてきたのだった…

最後は駆け落ち。りりの家にりりの居場所はもうなかった(それはそれで悲しい)ので、後腐れはないスッキリとした終わり方ではあった、のかな。私たちの百合はこれからだ!エンドでした。幸せならOKです。


【完】アラバスターの季節 3 / 高津マコト(少年画報社)

完結巻。恋愛方面に振るのか、美術方面に振るのか気になっていたけど、中途半端なまま半ば投げやりにくっついて終了

いやエロ漫画なら良いけど、一般漫画でこれやられてもな~感が強かったです。普通にエロかったけども。




ふつうの軽音部 2 / クワハリ・出内テツオ(集英社)

昨今のガールズバンドブームに乗っかれ!引っ張れ!!な”ふつうの”軽音女子の青春譚。

1年生お披露目ライブが緊張で散々な結果に終わってしまった”はとっち”ことハトノ。そんなまま迎えた夏休みで彼女は、コソ練武者修行を決意する…!バイト・練習・バイト・練習…の毎日を過ごすハトノを他所に、軽音部を取り巻く人間関係は徐々に渦巻いていくのだった。

基本的にはとっちが自己完結型で愚直なところが、本作の魅力の一つ。厘ちゃんが影で暗躍してはいるけど、はとっちが自分で自分の答えを見つけていく姿勢がカッコいいです。そもそも他人と協働するという思考に至らない性格なだけなのかもしれませんが…


放課後ひみつクラブ 5 / 福島鉄平(集英社)

蟻ヶ崎さんを娶ろうとする新キャラ・中等部生徒会役員の碓氷峠くんが掻き回す祝1周年な第5巻。ウェディングドレス蟻ヶ崎さんからブチギレ蟻ヶ崎さんまで見れて大満足。

最初から一貫して、蟻ヶ崎さんの存在そのものが作中最大の”ひみつ”なんだよね。


アオのハコ 15 / 三浦糀(集英社)

インターハイ出場を目指していた千夏先輩は、自身に起こったアクシデントが原因で、復帰した旧友率いるチームに敗北。あまりにも残酷な現実。そんな彼女へ大喜がしてあげられることは。

『アオのハコ』ってやっぱりスポーツ漫画としての側面も大きいよぁと改めて感じました。努力は報われない。それでも直向きに続けるほかない。大変なことです。

アニメは今年の秋より放送


半人前の恋人 3 / 川田大智(集英社)

高校を卒業し、それぞれ美大生と太鼓職人になった進太郎と響子。ドライブデートからのトラブルからのお泊りからの野球大会(!?)

唐突に野球をやり始める作品は名作と昔から決まっている。


株式会社マジルミエ 12 / 岩田雪花・青木裕(集英社)

社長と翠川が作った小さな魔法少女会社をカナが繋ぎ止め、再び皆が団結する。この流れはもう紛れもなくジャンプです。

鎌倉は失脚させ、大規模魔法の規制緩和の流れはひとまず立ち切れたものの、真の闇を掴むことは叶わず。束の間の休息を挟んでアスト社との共闘展開へ…!水着回もあるぞ!

アニメは今年の秋より放送(2)


オオカミ男とぬりかべちゃん 2 / おだかけんたろう(集英社)

ぬりかべちゃんこと加部さんが無表情でかわいい。おじいちゃんはしっかり塗り壁なんだ。

何とも言えない奥ゆかしさがあってもはや古典的なラブコメな気がします。


光が死んだ夏 5 / モクモクれん(KADOKAWA)

クビタチ村の歴史、忌堂家の犯した罪、ノウヌキ様の正体… 4巻・5巻が「謎解き編」とのことなので、次巻からは物語の核心に大きく迫る感じでしょうか。正直、今のところ何かずっと気持ち悪いままなのでスッキリしたい…!

アニメ化おめでとうございます!


ふらいんぐうぃっち 13 / 石塚千尋(講談社)

魔女修行in青森マンガの13巻。やっぱり好きですこの空気感。

大サバトを青森に誘致するために奮闘する真琴たち。しかし立ちはだかるノルウェーの魔女たち。マジかよノルウェー最低だな!鹿vsおとんの回も好き。


大丈夫倶楽部 7 / 井上まい(レベルファイブ)

またしても発売日を見落としていた「大丈夫」への研鑽の日々を描くハートフル漫画。

「絶好調」と書いて「超大丈夫」と読む。なんか今日いつもより大丈夫な気がする…!みたいな日、確かにあるかもしれない。何の根拠もなく大丈夫になってもいいし、それが大丈夫じゃなくても大丈夫。大丈夫とはつまりそういうことなんだ。

…という戯言はさておき、収録話数的に次巻で完結ですね。晃良の宇宙への挑戦やオリジナル芦川さんとの邂逅など、ストーリーを締め括りにかかっている感じでしょうか。紙版もバッチリ集めてます!(来月3巻発売)


おひとりさまホテル 4 / まろ・マキヒロチ(新潮社)

お一人様でホテルを満喫する人たちの物語。

一応、登場人物それぞれにキャラクター(仕事との向き合い方に悩む後輩女子、ゲイの同僚など)が付与されているんですけど、何というか「上っ面っぽさ」がすごい。記号でしかないというか…

もちろんホテルを描く作品なので、これくらいの比重で良いのかもしれませんが…


ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ 3 / 魚豊(小学館)

陰謀論に傾倒していく主人公。かつて騙された悪徳ねずみ講のセミナーに乗り込み成功体験を得るが、「かつて選ばれし者だった」と言う男が現れ、先生への信頼が揺らぐ。

自分が信じるものは何のなのか。確かなことは自分が時間を費やして夢中になって知識()を取り入れたという事実だけ。渡辺が迎える結末とは…… 次巻完結!!


R15+じゃダメですか? 7 / 谷口轟・裏谷なぎ(講談社)

文化祭編続き。梅木率いるライバル映研に対抗して映画メシ喫茶で巻き返しを図る冬峰ら映画研。なんやかんやあって出し物対決は無事勝利し廃部は免れる。そして天羽さん、えなちゃん、部長、全員参加の本格化。

………いや、映画観ろお前ら!!!


盤上のオリオン 2 / 新川直司(講談社)

おじいちゃんを亡くし、将棋から離れた主人公・夕飛の前に、彼方の連勝記録を止めた棋士・千葉が現れる。月に一目惚れした千葉と月とかけて対局することになる夕飛だったが… 一方、月のバーを訪れた彼方は月に対局を申し込む。自分が勝ったら夕飛を棋界に復帰させることを条件に。

キャラクターたちの目的がまだ明らかにされていないので、いまいち乗り切れない感はありますが面白いです。


尾守つみきと奇日常。 2 / 森下みゆ(小学館)

幻人たちが多く通う高校を舞台に描かれる異種族ラブコメ2巻。

メデューサの委員長ちゃんやつみきさんにも匹敵する学校の人気者の半魚人とユニコーンなど、幻人の種類もどんどん増えてきて楽しい。こういう亜人・モンスターの日常を描く系の作品に出てくるメデューサは頭の蛇も含めて大抵可愛い。

体育祭に中学時代の苦手な友人が来る回は肝が冷えたけど、高校でつみきさんたちに出会えて少しずつでも変わってきた真層くんの成長が垣間見えたシーンでした。


ダイヤモンドの功罪 6 / 平井大橋(集英社)

イガとの口論は決着しないまま、首脳陣へはリトルでチームを辞めることを伝え、U12大会決勝以来のマウンドに上がるアヤ。周囲の雑音を一掃するかのように、スライダーの球種のみで全打者三球三振、54球(6イニング制)で完全試合をやってのけた天才の姿を見て、周囲は、そしてアヤ自身は何を思うのか…

表紙を飾るマヨさんを筆頭に、チームメイトたちの言葉が重く響く巻でした。アヤが思っている以上に勝負の世界はシビアなはずなんだけど、やっぱりどうもまだ肉体と精神がチグハグ。圧倒的な実力を持つ者にしか獲得し得ない葛藤があるのだけども。


ウマ娘 シンデレラグレイ 15 / 久住太陽・杉浦理史ほか(集英社)

ジャパンカップでワールドレコードを叩き出し優勝したフォークイン。破れはしたものの激闘を繰り広げたオグリの存在は、社会に大きな影響を与えながら大きな渦を巻き起こしていく。世代を代表するウマ娘たちが虎視眈々と眼を光らせる中、年末の大一番・有マ記念がやってくる!

ジャパンカップ直後のやりとりとオグリブームが社会現象となっていく過程が描かれた15巻。イナリワンとシービーの掛け合い、クリークの宣戦布告、有マへの布石など、盛り沢山でした。


女子高生除霊師アカネ! 2 / 大武政夫(集英社)

除霊師を名乗って詐欺行為もとい、人助けをする女子高生のアカネ。救いようのないクズなんだけど、結果的に善行したみたいな空気で方が付いてしまうので毎回釈然としない(褒めてる)

同級生の娘たちが唯一の良心、と見せかけて詐欺の片棒を担いでしまっているのでおしまい。大武先生の「らしさ」が遺憾なく発揮されている汚いマンガです。


花は咲く、修羅の如く 7 / 武田綾乃・むっしゅ(集英社)

京都大会決勝へ進んだ花奈たち。本番前に発表される課題文に苦戦する花奈だったが先生からのアドバイス「誰か一人に届けようと読む」ことで実力を出し切る。花奈が見つめる瑞希先輩の胸の内には別の女がいるの、武田綾乃先生っぽくて良い。

個人的には良子先輩や秋山くんのスタンスがやっぱり好きなので、杏の結果がどうなるのか楽しみです。

祝アニメ化決定!題材的にアニメ映えしそうで楽しみです。略称は「花修羅」なんだ。そりゃそうか。


オタクに優しいギャルはいない!? 7 / のりしろちゃん・魚住さかな(コアミックス)

今一番アツい「オタクに優しいギャル」系作品『オタクに優しいギャルはいない!?』の7巻です。(僕調べ)

オタクくんへの恋心を自覚した伊地知さんは、自身の想いを天音さんに伝えるが… 冬コミ・年越し・バレンタイン・オタクくんのバースデーと今回もイベント目白押しです。オタクくんはもう少し自分の意志を出していってほしいですね…(いや嫉妬ではない)


最果てのセレナード 3 / ひの宙子(講談社)

10年前の雪の日に起こった事件。小夜の母を殺したのは、埋めたのは、手を貸した音は… 真実が少しずつ明かされていくと共に足元から氷漬けにされていくような、揺るがない事実だけが残っていく。

律が割と墓穴を掘っていっていて、これもう詰みでは?という流れになりつつある気がしなくもない。次巻完結。


思春期姉弟 2 / みそくろ(ワニブックス)

教師に密かに想いを寄せる双子の姉・みかげ、自身に芽生えた”へきに戸惑う弟の陽介、新たな扉を開いてしまい妄想が止まらない転校生の望月さん、クラスの中でも一目置かれてはいるものの、恋についてまだ分からない佐々木さん

ままならない青春の日々を送る思春期中学生たちの姿が初々しく、生々しく、繊細に描写されています。本当に、隠れた名作。もっと評価されてもいいと思っています。


かしこい男は恋しかしない 2 / 凹沢みなみ(集英社)

他人の恋のダシにされる日々を送る高学歴男子高校生(たち)による学歴厨ギャグコメ。2巻は諸事情により電子版のみとのこと。悲しい。

前巻最後のイケメン彼氏面配信者の回からの続きから始まったと思ったらこの巻の最後にはネカマVtuber回がまた次の回に繋がる?というほぼ同じ展開で笑った。表紙の構図も似ているけど、もしかしてループしてる…?ネタ出し大変だろうけど頑張ってほしい。

ジャンプ+に出張掲載された古書店のお姉さんの回が一番学歴厨していて好きです。


放課後帰宅びより 2 / 松田舞(双葉社)

帰宅にロマンを見出す先輩・直帰ちゃんとなし崩し的に付き合う後輩・舜の二人の帰宅部青春コメディ2巻。

直帰ちゃんの自宅訪問、夜の学校、文化祭、体育祭、昔のカセットテープ、秋めく空、二度と戻らない時間、本当の挫折。二人の間にだけ存在する二人にしか測れない距離感。眩しい。存在しない”あの頃”を思い出します。

直帰ちゃん先輩が可愛すぎて真面目にしんどい


BLUE GIANT MOMENTUM 2 / 石塚真一・NUMBER8(小学館)

ニューヨークの地でライブ一本で食べていくことがどれだけ困難か、メンバーそれぞれが日々の労働の中で痛感する。それでも大は、湧き上がるもの全てを吸収しながら自分の中に音を集める。その音が一気に解き放たれる瞬間をただ待ちながら。

『MOMENTUM』のアルバムも出てるので、読書BGMとしても最適です。


アイドルマスターシンデレラガールズU149 17 / 廾之・バンダイナムコエンターテインメント(小学館)

怒涛の連続刊行も懐かしい久しぶりの第17巻。サイン回の締め括りと雪美ちゃんメイン回、ハロウィンに向けての千枝ちゃん布石回を収録。

ウェブCM撮影のため、地元京都でのロケを控える雪美ちゃん。物静かで引っ込み思案な性格故に大人数を前に「恐怖」を抱く。そのことプロデューサーに伝え、撮影当日までにちょっとした特訓を行うことに。

自然と他人の目を引くことは、アイドルとしてこれ以上ない立派な長所。苦手なことではあるけど、それでもそんな自分を沢山の人に”見つけてもらいたい”。彼女自身がそう思えた一幕でした。




雑記(上半期終了 / ツール開幕)

以上、6月に読んだマンガのまとめでした。

今月は、サムネの10冊の他、『100年の経』『ふつうの軽音部』『大丈夫倶楽部』『思春期姉弟』などもおすすめです。

それにしても2024年ももう折り返しですか…

上半期ベストを強いて挙げるなら『ふつうの軽音部』『放課後帰宅びより』『レタイトナイト』『姉のともだち』『室外機室 ちょめ短編集』『ザ・キンクス』とか、かも(多

ここから年末まで一瞬なので、また総括的なものも意識しながら過ごしたい。


毎年言っている気がしますが、今年もフランス一周自転車レース、ツール・ド・フランスが、29日にイタリア・フィレンツェにて開幕しました。

日本列島は梅雨真っ只中ですが、マンガを片手に全長約3500kmに及ぶ三週間の熱い戦いを目撃しましょう。

7月からは夏クールのアニメも始まりますし、眠れぬ夜が続きマス!

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