脳卒中=運動麻痺!?運動麻痺を見るために必要なこと 〜介護者セラピストが伝える臨床で大切なこと〜
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脳卒中=運動麻痺!?運動麻痺を見るために必要なこと 〜介護者セラピストが伝える臨床で大切なこと〜

本日も臨床BATONにお越しいただきありがとうございます。
第26日目を担当するのは滋賀県の田舎から大阪の職場へ通っている介護者セラピストのコバです。
介護者の視点から思ったことを臨床で使える形に書いていきたいと思います。
本日は脳卒中患者様の症状で、臨床でよく出会う運動麻痺の基礎についてです!


脳卒中=運動麻痺!?

さっそくですが運動麻痺ってなんでしょうか?
みなさん、患者様や家族様には何と説明していますか?

祖父が脳出血で入院してリハビリを受けているときにあることを聞いてきました。

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なぜこんなことを聞いたのか?

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ということでした。
ここで考えたいのは脳卒中=運動麻痺があるのか?
ということです。

結論を言うと、
『脳卒中=運動麻痺がある』ではないんです。

その時の祖父の脳画像がありましたのでここに貼っておきます。

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最後にこの脳画像から運動麻痺があるか考えたいと思いますので、みなさんも運動麻痺があるか考えながら読んでいただければと思います。
ちなみにこの時の祖父は右脚に力が入らず支えることができない、足関節背屈も行えないため歩行ができずに車椅子での移動でした。
また、右手の動きが悪く、入院中は食事の際にお箸が持てず、左手でスプーンを使って食事をしていました。


運動麻痺って何?

自分自身も働きだして最初は脳卒中患者様は運動麻痺があるものだと思って見ていました。
なので、脳卒中患者様を担当したらどこの梗塞・出血かなど考えず、評価する際に必ずBrunnstrom recovery stageを行っていましたし、どれだけ動いていてもstageⅥで軽度・極軽度の運動麻痺と言っていました。
そもそも運動麻痺って何でしょうか?

運動麻痺とは

診断学においては麻痺(paralysis)とは運動障害であり、感覚障害を示す言葉ではないと考えられている。しかし、書物により定義が一定しておらず、混乱を避けるため、運動麻痺あるいは運動障害といった言葉を用いることが多い。ここでは診断学におけるparalysis、すなわち運動麻痺に関して述べる。なお、運動機能には随意運動、不随意運動、協調運動が知られているが運動麻痺といった場合は随意運動の機能障害と考えられている。
引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

つまり、運動麻痺とは随意運動の障害です。
ではこの随意運動はどのように起こっているのでしょうか?
ここを知る必要がありますね。


随意運動の流れと運動麻痺

随意運動が起こるまでの流れをまとめました。

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左から右の順に脳の中では活動が起こり、随意運動が起こります。
ではこの中のどこが障害されても運動麻痺になるのかというと、そうではありません!
脳卒中で運動麻痺が起こるのは運動野と皮質脊髄路が障害されたときです!

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運動麻痺があるか見るべきポイント

運動麻痺があるかどうか。
それは運動野と皮質脊髄路が障害されているかどうかが重要です。
運動野と皮質脊髄路が障害されているかってどうやったらわかるの?
それは『脳画像』を見ることがまずは大切になります。
そして運動野と皮質脊髄路に障害がなければ、それは運動麻痺ではないということですから。

運動野と皮質脊髄路を見る中で重要な脳画像を、ポイントを絞ってお伝えします。
皮質脊髄路は運動野を出て、放線冠、内包を通り、脳幹で錐体交叉し、中脳の大脳脚を通って脊髄へと下行していきます。

なので、まずは運動野を探します。
運動野は大脳縦裂(左右半球をわける縦の線)から出ている帯状溝を探し、
その上にある『ひ』の字の形をした中心溝の前にあります。

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次は放線冠を見ます。
ここで皮質脊髄路の通り道を探します。脳を横半分に引いた線のやや下方に皮質脊髄路(赤色)が通っています。

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そして内包が写っているスライスです。
この画像を一番よく目にするのではないでしょうか。
皮質脊髄路は内包の膝部(内包の曲がっているところ)〜後脚にかけて通っています。

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最後は中脳の大脳脚です。
中脳はミッキーのような形をしているので見つけやすいと思います。
ミッキーの耳の部分あたりに皮質脊髄路が通っています。

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これらの画像を通して運動野・皮質脊髄路に障害があるかを確認することが運動麻痺の確認をする第一歩と考えています!


脳画像で運動麻痺があるか確認!

では最初に出した祖父の脳画像を見て運動麻痺があるか考えてみたいと思います。
画像を覚えていますか?

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画像は内包が確認できるスライスですね!
では内包の位置の確認と出血部位の確認をしましょう!

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この出血部位を見ると皮質脊髄路の後ろにかかっているように見えますね。
実際に皮質脊髄路を合わせてみると

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出血部位は皮質脊髄路の後ろ1/4ほどにかかっています。
つまり運動麻痺があります。
このときの祖父の症状は
・右脚は力が入らず支えることができない、足関節背屈できず歩行ができない。車椅子移動。
・右手の動きが悪くお箸が持てない。左手でスプーン使用。
でした。
皮質脊髄路に出血部位がかかっているから運動麻痺のせいやん!

そうなんです。

でも、内包では顔面・上肢・体幹・下肢へ行く皮質脊髄路によって通る場所が少し違います。
膝部から(画像の上側)から顔面・上肢・体幹・下肢という順番になっているので、内包後脚の後ろは下肢です。
つまり出血部位がかかっているのは下肢の皮質脊髄路ということになります。
今回の出血で起こるのは下肢の運動麻痺なんですね。だから下肢では筋収縮が起こりにくくなり、支えられない、足関節背屈ができなくなっていたのです。
そして、上肢は皮質脊髄路に出血がかかっていないので動きづらさは運動麻痺ではなくまた別の問題が考えられます。
(このあたりはまたいつか書いていきたいと思います。)

脚が動かない、動きづらいのは運動麻痺が原因であるけど、上肢は違うということです。
そう、つまり『脳卒中=運動麻痺がある』ということではないということです!

なので、祖父には
『脳卒中やから麻痺になるんじゃなくて、手足を動かすには脳から命令が出て、それが筋肉に伝わって力が入るんやけど、今回の脳出血では脚に命令が行く経路が障害されているから運動麻痺になって、力が入らないから足が動かなかったり、動かしにくくなっているんやで。
やから、今は動かないと思うけど、足に力を入れる練習や動かす練習をしていこ。』
と話をして祖父には理解してもらいました。


まとめ

今回は
運動麻痺とは何か? →運動野・皮質脊髄路に障害がある随意運動の障害
何を見ればいいか? →脳画像で運動野や皮質脊髄路の経路に障害があるか
ということでした!
そう!
『脳卒中=運動麻痺がある』ということではないということです!
脳卒中患者様を担当したら必ず運動麻痺があると思っていた過去の自分に反省です。
最近は、以前に担当していた患者様の脳画像を見るたびに、もっと早くに勉強しておけばよかったと思います。

そして、それがわかれば患者様に『動きづらいのは麻痺だから』、『脳卒中になったら麻痺になるので』と言った説明ではなく、具体的に説明することができるようになりますね!

まずは
脳画像をみる!そして、運動野・皮質脊髄路に障害があるかを確認する!
ということからやってみましょう!

では本日もありがとうございました!
次回からは運動麻痺について書いていきたいと思います!

ブログでは介護者の視点から思ったことを臨床で使える形に書いています!
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もし、書いてほしいことや知りたいことがあればぜひぜひ教えていただければと思います!


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