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韓国をもっと知りたくなる!注目の翻訳小説と韓国文学案内本

 幼い頃から本を読むのは好きでしたが、海外文学はどうも苦手で、外国語や海外旅行にも全く興味がわかず、「私は生涯日本から出ることないだろう」と思っていました。ところが2006年、20代半ばの頃、人に誘われて行った韓国旅行で閉じていた扉が開き、韓国の人や食べ物、言葉に興味を持ち始めます。

 「この国のことが知りたい」という思いで最初に手を伸ばしたのは、韓国のドラマや映画、音楽でした。この時「韓国の小説を読もう」という発想にならなかったのは、今のようにたくさんの韓国文学が図書館や書店に並んでいなかったからでもありますが、見るべき映像作品が豊富でそれに夢中になっていたからでした。

 そんなわけで、初めて韓国の小説を読んだのは今から10年ほど前。2015年頃のことで、手に取ったのはパク・ミンギュ著『カステラ』やハン・ガン著『菜食主義者』、チョン•セラン著『アンダー、サンダー、テンダー』だったと記憶しています。その後、チョ・セヒ著『こびとが打ち上げた小さなボール』を読みかけたまま2017年に韓国へ。それからはしばらく、韓国文学どころか本を読む余裕が全くない日々が続きました。

 2019年、息子が1歳になる前。職場で空き時間に息子をおんぶして寝かしつけながら、スマホの小さな画面で読んだ小説がチョ・ナムジュ著『82年生まれ、キム・ジヨン』でした。

 2020年、パンデミックの始まりと同時にわが家にもさまざまな苦難が押し寄せ、また本どころではなくなり、次に読書を再開できたのは2020年秋、在米韓国人のミン・ジン・リーが書いた小説『パチンコ』に出合ってからのことです。この本を読んでから、少しずつですが、読書と書くことを再び楽しむことができるようになりました。

    下記のマガジンでは『パチンコ』以降に読んできた本(の中で感想を書けたもの)をまとめています。

    韓国文学は私にとって隣の国の話ではなく、今暮らしている場所の話であり、私たち家族の過去•現在•未来の話でもあるので、内容によっては読むのが怖くてページを開けないことがあります。特に息子を産んでからは、子どもが事故や事件、戦争の犠牲になるような本はできれば読みたくないし、手にとっても最後まで読み通すことができなくなってしまいました。映画やドラマも然り。

    だけど最近、運動を始めたからか心身共に元気を取り戻し、避けてきた本を読む勇気がわいてくるようになりました。要は、体力が落ちすぎていたんだと思います。作家さんたちは書くための体力をつけるために走ったり、筋トレをしたりされるそうですが(ハン•ガンさんも筋トレしているそう)、読む行為も結構体力を使いますよね。

    というわけで、最近は読むのに心身のエネルギーを使う、一回読んだだけでは到底すべてを理解することができなさそうな本にも触れていこうと思い、韓国の負の歴史を背景に描いた小説を2冊、読んでみました。また、それらの小説をより深く味わうために韓国文学の指南書ともいえる1冊を読み返しました。

    こう書くとどんな小難しい小説かと思われてしまうかもしれませんが、どうか誤解なさらず…。作家さんたち、翻訳家さんたちのお力で物語の世界にグイグイと引き込まれていく作品でしたので、もし書店などで見かけたら、実際に手に取ってその世界を感じていただけたらと思います。

    詳しくは、下記のポッドキャストでお話ししています。良ければぜひお聞きください♪

▼ポッドキャストはこちら


《番組内容》

2024年に日本で翻訳出版された小説、チョン•ジア著『父の革命日誌』とハン•ガン著『別れを告げない』を読んだ感想と、韓国文学を深く味わうための必読本、斎藤真理子著『韓国文学の中心にあるもの』についてお話ししています。/2024.07.18収録

00:31 集中豪雨の影響で…
02:55   『父の革命日誌』を読んで
09:25 『別れを告げない』を読んで
20:18 『韓国文学の中心にあるもの』について
22:12  私が韓国の小説を読む理由

★番組内でご紹介した本

『父の革命日誌』
チョン•ジア 著、橋本智保 訳


『別れを告げない』
ハン•ガン 著、斎藤真理子 訳


『韓国文学の中心にあるもの』
斎藤真理子 著


★番組内でご紹介した映画

『チスル』予告編


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