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社員だから愛したんじゃなくて、愛してるから社員になった

どうでもいい前書き

言わずもがな、岸田奈美さんのかぞかぞになぞらえてみたが、なんのこっちゃない、わりと普通なタイトルになった。後半なぞらってないし。しかしかぞかぞ、いいですよね。TVは無いけどNHKオンデマンドには入っている令和な我が家なので、ドラマ全回、夜中のおひとりさま時間に楽しむことができました。
原点note原作エッセイ本も素晴らしいけど、ドラマはドラマで、すごーくリアルですごーくいい。。見てない方はぜひ。

そして意気込み

この春からnoteを始めてみたものの、読む専だったわたくし。しかしある日目に入ったのが「#推したい会社」の応募記事
!!!!
Twitterでもnoteでもinstaでも憚ることなくヘラルボニー(とびじゅチューン)を推している身としては、これは書かない訳にはいかないのでは!!!しかもお手本記事を松田さんが書いてるし審査員は矢野智美さんだと!!!!


・・・このあたりで気が付いた。この流れで私ごときがヘラルボニーの魅力や素晴らしさを語ったところで、知ってるわいと誰もが思うに決まっている。それでは仕方ない。12年来推してやまない、まだあんまり知られていない会社について、語ってみる。

#推したい会社


本を読んでホームページをみて、ビビビときた

私がはじめてその会社の名前を知ったのは社会人3年目の2011年。社会人経験を積んでそろそろ自分のやりたい分野に転職しようかなと動き出していたとき、宮大工である西岡常一さんの本をamazonで購入したら、amazonさんが「あなたへのおすすめ」でリコメンドしてくれたのが「今日も森にいます。東京チェンソーズ」だった。(現在は廃刊…中古品なら買えるよ!)

なんでしょう・・聞いたことない会社・・とりあえずポチって読みました。

産業としての林業の再生が、環境の悪化を食い止めることになると考えて。
同時に地元の活性化にも通じると信じて。

「今日も森にいます。東京チェンソーズ」p16(東京チェンソーズ創業のメッセージ)

多くの人たちに東京の木を使ってもらうために、新しい発想や感性で使っていただける状況をつくり出すことが大事だと思っています。それができれば必然的に山はきれいに整備され、環境保全が進むはずだからです。

そして目指すは”子供が憧れる林業マン”です。(中略)一生懸命、丁寧に、目の前の木と山に向き合っていきたいと思います。

「今日も森にいます。東京チェンソーズ」あとがきより

付箋の嵐、マーカーの嵐。そしてホームページをみてみる。過去ブログ全部読み漁る。「東京チェンソーズ」で検索して出てきたページ、全部閲覧する。そう、ビビビときてしまったのです。
あまりの衝撃に、仲良しの同期に「私この会社に行くわ!!!」と社内メールでリンクを送った記憶があります。(業務中にごめんなさい・・・)

具体的にどこが?と良く聞かれるのですが、まず社名でしょ。醸し出てる雰囲気でしょ。なによりこのくらーい林業界において嘘みたいに前向きな姿勢でしょ。林業現場がメインだけど森林に関わるイベントもやっているみたい。おお!新卒でイベント会社に入っといてよかった!この一点突破で付け入る隙をこじあけよう。

子どもたちに木に親しんでもらうきっかけとしてのツリークライミング体験


そもそも、なんで林業なのか

もともと私は環境問題への関心があって、一浪して東大にギリッギリで入って、農学部の森林環境学科という分野を学んだ。2008年当時は間伐かんばつという概念もそこまで一般的でなく、「木を切ることは悪いこと」というのが(環境意識の高い人の間でも)普通の感覚だった。

日本は戦後焼け野原になって、拡大造林という政策のもと、国民総出の勢いでスギ・ヒノキを植えまくった歴史がある。じいちゃんばあちゃんが孫のためにと一生懸命植えた木は、温暖湿潤な日本でスクスク育ったものの、いろんな社会情勢の変化により、手入れ(間伐)をすべき時期になっても放置されてしまっていた。

そもそも森林というのは1)水源涵養 2)土砂流出防止 3)生物多様性 4)二酸化炭素の吸収 5)保健・レクリエーション 6)木材生産 などなど、ヒトが生きていく上ですごーく役に立つ(というか無いと生活が成り立たない)ものであって、手入れが大変だし赤字になるからほっといて安い輸入材を仕入れればいいじゃんというものではない。

海外で違法伐採して地元住民の生活を苦しめたり、砂漠化を引き起こしたりするくらいなら、国内の森林を手入れしてその材を使えばいいのに!!!
と小学生並みの発想で、私は日本の森林の現状に憤りを覚え、海外の違法伐採や大きな環境政策全般は他に優秀な方が研究されるだろうから、とりあえず私は国内のことに取り組もう、と思った。

現場主義の原点

私は最初から林業の現場を目指していたわけではない。筑波研究学園都市ど真ん中出身ということもあって林業という職業はまったく身近じゃなかったし、東大で林学を学んだ人は省庁や県庁に行くかまったく別業種の大手にいくか研究者に進むか、のだいたい3択。私も最初は、環境意識の高い市とか県もありかなあと呑気に考えていたが、新卒から環境系に進んでしまうと私の場合は視野が狭くなるだろうと思い、まずは社会人修行のつもりで全然別業種の、ややベンチャー寄りな国際見本市主催会社(現RX JAPAN)に入社を決めた。

そこではマスプロモーション(メールやDM発送)をやったり資料づくりをしたり来場者へのヒアリングをしたり、「職種でいうと○○」というのがあまり当てはまらないあれやこれやをやっていた。
学生時代にぬくぬく成長した鼻は、思惑通りここでポッキリ折ってもらえた。修行だからと自分に言い聞かせ、満員電車はイヤフォンで耳を塞ぎ、同期と傷を舐め合いながら、自分の中で3年は頑張ろうと決めていた。

3年やっていく中で、いろいろ感じた。メール配信のデータ作成やDMチラシの作成の実働は契約社員もしくは派遣社員さん。正社員はデータ作成手順やチラシの中身を考える。当時お世話になっていた派遣さんはおそらく就職氷河期世代の方で、能力は優秀で且つ私のようなしょうもない新卒を暖かく見守ってくれる、人格的にも素晴らしい人がたくさんいた。「このデータはこうやって作ればもっとこうなるよ」というアドバイスをくれたり、とにかくお世話になった。長年その実務をやっている人だからこそ気づける視点がある。全体の方向性を決めたり、売上を管理したりするポジションももちろん大事だけど、同じくらい、実働部隊の声も大事にすべき!

そんなことを感じていた中でチェンソーズを知って、初めて、自分の中で「環境問題」と「林業の現場」が線でつながった。現場発だからこそ伝えられるものや実現できることもあるのでは!!!

猛アタックが始まる

そこからの展開としては、履歴書と職務経歴書を熱い想いとともにしたため、求人募集もしていないのにとにかく一度お話がしたいですとダメ元でメールで送りつけた。

少し間が空いて代表青木から返信が来た時の嬉しさと言ったら!!!
そして実際にお会いし、なにせ人当たりの良い社長なので、(お、これは好感触)と勝手に思っていた。(後日談で、帰りの車中、青木は「あの子は無いね〜」と言っていたらしい・・・)
件のイベント会社で叩き込まれた「一度会ったら必ず次のアポをとっておく!」スキルを発揮し、2ヶ月後、今度は実際の山の現場に参加させてもらうことになった。


初めての現場は山の歩道作り。

朝の集合写真 長靴が素人感出てます!

僕の前に道はない

僕の後ろに道は出來る

詩集『道程』より

いやほんとそれ。トンガと呼んでいるツルハシ⛏←これね で斜面を掘って、平らに均す。はい出来上がり。
道って、自分で作れるんですよ。

そんな哲学的なことを考えながら朝の6時半集合〜夕方5時まで働かせてもらい、帰りの車中から見た夕焼けの美しさといったら!!

まあ要するに、なんとかなっちゃったもんで、「あ、いけるかも」感がますます高まったのです。

この日のことは過去のチェンソーズ新人ブログで詳しく感動を伝えています

アピールは続く

とはいえ大学でちょろっと林学を勉強しただけでは戦力が足りないなと思っていたところ、林野庁の外郭団体で「森林作業道研修事業の契約職員」を募集しているのを知り、1年間の腰掛けでこちらに応募することにした。狙いは2つ。森林作業道について詳しくなること。それから全国の森林関係者とつながりを作ること。もちろん最終的な目的は東京チェンソーズに入ること。
なので自分でもひくぐらい、この1年間さらにアピールを続けた。植栽アルバイト潜入、研修のご案内、暑中見舞い、青木登壇イベント、林業機械展、年賀状、、ドリカムの吉田美和もびっくりなストーキングですよ。

この1年間は比較的時間もあったので、サービスグラントさんを通じてとあるNPOのホームページリニューアルのプロボノに参加したりもしていた。プロボノというのはビジネススキルを活かした社会貢献ですが、たいしたビジネススキルもなかったので結果的にはプロジェクト仲間からビジネススキルを学ぶ経験となりました。。役立たずが過ぎる。

春が来る

そんなプロボノチームで飲んでいたある晩、青木さんから電話があり(!!!)、3月に求人募集を出すのでいかがですかとのこと。
そりゃ受けるに決まっているじゃないですか!!!!スーツを新調し、髪も染め直し、29歳が考えうる万全の準備をして面接を受けました。


自他ともに認める行動力と熱量が決め手となり、私の2年近い恋は、こうして実ることとなりました♡

マニュアルも運転できるようになったよ!!
入社した年の11月、日経取材時の写真
(バイザー上がってるけど伐るフリということでご勘弁くださいm(_ _)m)


東京チェンソーズとは

東京の最西端、檜原村(ひのはらむら)を拠点に林業を生業とする会社です。私たちが考える林業とは、木を植えて育てて、伐って活かして届けて、また植える。その循環を繰り返してゆけば、山には美しい森林が、街には森のめぐみが身近なものとして感じられる。そんな世の中を目指しています。

東京の木の下で
地球の幸せのために
山のいまを伝え
美しい森林を育み、活かし、届けます。

私たちの仕事場は、東京の最西端に広がる52,000ha の森林です。そこには都心のイメージからは想像もできないような豊かな自然が残っています。川にはヤマメやカジカが泳ぎ、初夏にはホタルが舞い、時にはトウキョウサンショウウオが顔を出します。空気は澄み、夜空には無数の星が輝きます。

かつて先人は、子や孫の財産となるよう山に苗木を背負い上げ、一本ずつ丁寧に植えました。夏には大汗をかきながら下草刈りをし、丹念に育て上げた木が、今まさに活用できる時期を迎えています。

しかし、木材価格の下落に伴い、山仕事で生計を立てることが難しくなり、子や孫の世代は山から離れてしまいました。私たちは先人の思いを胸に、山を預かり、丁寧に手入れをし、財産価値を高めることを仕事としています。

そして、木をもっと身近に感じてもらえるよう、私たちが生きる山のいまを多くのお客様に伝えていきます。東京の木でつくられた建物や家具を増やすことで木のぬくもりのある環境を実現し、また、山からきれいな水と空気を送りだすことで社会に貢献していきます。

私たちは、その実現のために、社員同士が信頼、研鑽しあうことで、成長できる社内風土をつくり、社員全員の幸せを追求し続けていきます。林業、東京チェンソーズの発展が地球の幸せにつながることを信じて。

東京チェンソーズ企業理念より

今年の5月、企業理念を補うかたちでSpirit、Mission、Visionについてや「創業当初から変わらぬ思い」というnote記事を書いています。ちょっとでも時間のある方はぜひリンク先ご一読いただき、スキしてくれたら泣いて喜びます。


恋が実ってから、その後

実際に入ってみてどうだったか。2回の産休育休を挟み、今年で入社10年目。未だに居座っているということは、まだ恋は続いているとも言えます。

第一子の妊娠を機に、残念ながら山の現場の第一線からは離れてしまったけど、労務・総務・営業・イベント・企画・販売・Eコマース、、、いろいろやらせてもらっています。
チェンソーズは山仕事メインではあるものの、青木の自由な発想による様々な新規事業が立ち上がり、それに翻弄疾走する10年弱でもありました。

「女性で体力的にしんどくないですか?」とよく聞かれますが、子育ての方が100倍しんどいですよ(私調べ)。チェーンソーは5kgくらいあるけどビチビチ暴れたりギャンギャン泣いたりしないし自分の好きなときにトイレだって行けるし休みもあるし。私の場合一緒に働くメンバーに恵まれたという点も大きいですが。

こちらは2017年の集合写真。2023年現在はアルバイトも入れると社員30名を超えました

正直、社会人を4年やり、お役所仕事を1年やり、林業現場を2年半やり、出産&育児を挟んで実に中途半端なキャリアを積んできて、マミートラックではないけれど、自分の力量の至らなさが悲しくて、会社のためにならないくらいなら身を引こうかと思うこともありました。好きすぎて、故ですよ。

それでもなんとかここまで続けてきた結果、最近では #推してる会社 を広報するというありがたい任務もいただき、子供の成長も相まってか、開き直った私は地に足つけて、今日も森にいます。


ここまで、こんなにも長い文章をお読みくださりありがとうございました。
もう、審査員の矢野さんに(あわよくば松田兄弟に)お目通しいただけるだけで私は幸せです。

私は、日本の7割を占める森林の可能性を信じています。
山なんて持っていたってしょうがない。林業なんて危険だし儲からないしせっかく東大まで行ったのにやるもんじゃない。この業界にいると、そんな声は日常茶飯事です。

やらなきゃ変わらない。
変えるためにどうしたらいいかを考え、行動するだけ。

東京チェンソーズという小さな会社が挑戦を続けることで、世の中の価値観を少しでも変えてゆけたらと思っています。

#推したい会社#入社エントリ#広報の仕事#企業広報
#林業広報

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