めちゃくちゃ時間をかけて書き上げて投稿した文章に、思ったような反応がなかった。そんな経験はないでしょうか。

私はあります。

死ぬほどあります。

投稿してソワソワしてページをいったん閉じるんだけど、少し時間が経ってから、どうだろう誰か読んでくれたかな〜ウフフなんて思いながら再度アクセスして思うわけです。

「あれっ？！」

………

時に、創作の海は世知辛い。

時間をかけた作品を、必ず見てもらえるとは限らない。

逆にさっき上げた作品よりも、なんでもないスイーツの写真にイイネがいっぱい来た日には軽く病む。反応は本当にいつだってなんだって嬉しいんだけど、正直言ってそういう日もある……。笑

大切に言葉を紡げば紡ぐほど、その作品が自分の中で価値が高まれば高まるほど、この「あれっ？！」が体にどんどん蓄積して、ジワジワと心を蝕む。筆を折りそうになる。もうやめよっかな、って、思う。

私がTwitterに小説を投稿し始めた時もそうでした。なんかもう全然反応なんかないし、しかも1個考えるのにも死ぬほど……数時間どころか日単位で時間がかかるし。何度も思いました、もうやめちまおうぜ、こんな不毛な趣味。って。

でも、最近、継続ってやっぱりものすごく大切だし、続けているといいことがあるのかもしれないなぁと思うできごとがあったので、今日はnoteを書くことにしました。

まだまだ駆け出しの身で、偉そうなことを言うつもりは毛頭ありませんが、このへんで自分の活動を振り返りつつ、飽きっぽい自らへの自戒も込めたいと思います。

ええか、未来の自分や。サボりそうになったらこれを読むんやぞ。

140字小説の魅力に取り憑かれて幾星霜

「140字小説」ってご存知でしょうか。

Twitterの1ツイートで完結する、超ミクロな小説です。Twitter小説、マイクロノベルなどとも呼ばれます。

知らない方は、ためしに下のリンクをクリックしてみてください。PCの場合は「JavaScriptがないねん」的な英語が表示されているかもしれませんが、ハッシュタグ「#140字小説」をつけて呟かれたツイートのページが開くかと思います。

しっとりした恋愛小説から感動的な家族モノ、抱腹絶倒のコメディーまで、日々ありとあらゆる作品が、140字作家さんによって紡がれているのです。

さて、なぜ突然こんな話を始めたかというと、私もこの140字小説を書いておりまして。

一昨年ごろに「新しい小説のかたち、Twitter小説」というネットの記事を見て、おぉ〜！すごい！おもしろい！と思ったことがきっかけでした。

たかが140字、されど140字……。やってみるとけっこう難しくて、限られた字数に起承転結を詰め込まなければいけないし、表現を工夫したり、同義語に置き換えたり、何気にリズム感や語彙力が問われたりします。

はじめは反応をいただいても、チラホラいいねがつくくらい。それが辛くて辛くて、冒頭に述べたように「今日こそやめよう」「明日こそやめよう」「一生やめよう」と思いながらやっていました。

いや、名もなき私なんかの作品に反応をくださった方々、くださる方々には一生足を向けて寝られない、と今も昔も全方向へ向け拝み倒していますし、

今では数がすべてではないと思ってはいるのですが、

当時は全然気力が保てなくて、週に1つ小ネタを思いついたらシュバっと投稿して一目散にTwitterから逃げ、次を思いつくまでアプリを開かない、といったような調子で続けていました……（みなさんの作品を読みもせず……本当に失礼ですね）。

それでもやめられなかったのは、書くことが好きだったから、この一言に尽きるとは思うのですが。

そんなある日、創作仲間の友人と久しぶりに話す機会がありました。

彼女も悩み苦しんではいましたが、いっぱい絵を描いて、いっぱい投稿して、転んでも立ち上がり、結局はまた顔を上げて踏ん張っている人でした。

彼女の姿を改めて目の当たりにして、ちょっと書いてはへこたれている自分が、なんだか非常に情けなく思えました。

なんか私って全然挑戦してないな。心底残念な奴。

泣き言言う権利は挑戦した人だけが得るもの。やめようかなぁ、なんて言っている暇があったら書けよ。

書くんだ。

手を動かすんだ。

そう心に決めたのが、2021年の10月ごろでした。

それからほぼ毎日コツコツと書き続け、何度も書き直したログも全て合わせると、この半年で総字数は7万字を超えました。

今ではこの140字小説のおかげでいろいろな方と繋がれたし、自分に向いている作風・好きな作風を知ることができたし、なにより発信することがあまり怖くなくなりました。

以前は「書く」ことに精一杯だったのが、今は「書いて投稿する、そしてまた前を向いて書く」というサイクルが確立できています。

Twitterは毎日呟くのが大切と言いますが、私の場合は忙しいとついついツイートし忘れて何週間もアカウントを放置したりするので、これはある意味、発信メンタルの訓練にもなっていると言えましょう。

そして140字小説のネタを元に2,000字程度の短編小説を書いたり、こうしてエッセイを書いたり。140字小説をきっかけに繋がった方々が、そんな他の作品も読んでくださったり。

これ自体は一銭にもならないので趣味と言ってしまえばそれまでだけど、 今や140字小説は私にとって、発信の原点というか、お金の価値以上の大切な活動のひとつとなりました。

そんなわけで、アヤコアニィはライターのかたわら、楽しく永遠に創作活動を続けましたとさ。よかったね。めでたしめでたし。

もうほんと、それだけで十分だと思っていたのですが。

賞をいただいた

先日、そんな140字小説に賞をいただいてしまいました。

文豪たこ杯140字小説コンテスト（通称：文タコン）

主催の文豪たこさんといえば、秀逸なオチでクスッと笑える作品を毎日投稿されている140字小説作家さん！

コンテストも、文豪たこさんらしく『どんでん返し』をテーマにしたもので、毎回100作近く応募があるとか。

この文タコン、過去に3回開催されており、私は第1回で銀賞、第3回で金賞をいただきました。（第2回は締め切り日を間違えるという大ボケをかまし、応募できませんでした。）

賞をいただいた作品がこちら！

■第1回文豪たこ杯 銀賞（スミ吐き賞）

□文豪たこさんからのコメント
（※この時は「なんしかアニィ」という名前で活動していました）

■第3回文豪たこ杯 金賞（たこ妬き賞）

□文豪たこさんからのコメント

2回も賞をいただけるなんて、夢にも思っていなかったので、発表された時は、びっくりしすぎて何も手につきませんでした。本当に光栄すぎますし、本当に嬉しいです。

文タコン、第4回もあるのかな……？
興味のある方は、ぜひ文豪たこさんのTwitterをのぞいてみてください。たこさんのすばらしい作品が詰まったモーメントはこちらです！

作品を朗読していただいた

この文タコン、なんと第1回と第3回の受賞作品は朗読をしていただけるという特典付きでした……！

自分の作品を耳で聞けるなんて、考えただけでも胸が熱くなります。

朗読してくださったのは、吉史あんさん。
丸みのある、でもしっかりと芯のあるお声で、少年から大人の女性までさまざまな役柄をこなされる朗読家さんです。

第1回文タコンの応募概要を見た時に、吉史さんの公式サイトを訪問し、その巧みな演じ分けに感動した私。投稿する作品も2人以上の登場人物が出てくるものにしよう、と心に決めたのでした。

◆第1回受賞作品を朗読していただいた動画

◆第3回受賞作品を朗読していただいた動画

私の作品はそれぞれ3:00ごろからですが、他の方の作品もすばらしいので、ぜひフルでご視聴ください！

文字をただ頭の中で追うのとは全く違う世界を感じることができる朗読動画。見ても良し、聞いても良しで、お子さんから年配の方まで気軽に楽しめそう。140字小説の対象年齢の幅が、一気にぐぐっと広がる気がします。

短編小説を吉史さんのお声でもっと聞きたい方は、ぜひ「ショートショート異空間333歩みみさんぽ」を訪問してみてくださいね。

創作の道は、辛く険しいけれど

書いても書いても報われなくて、枕を濡らしたあの夜に、もしも書くことをやめていたら、今日という日はありませんでした。

創作の色は十人十色。みんな違ってみんないいはずだけど、自分がいいと思ったものを隣の誰かもいいと思ってくれるとは限らない。

でもだからこそ、自分の作品の前で立ち止まってくれる誰かに出会うまで書き続けなければならないし、そんなありがたい出会いを果たした後も、だからこそやっぱり書き続けなければならない。

思ったような反応がなくても、あれ？と思うことがあっても。

何度も立ち上がり、走り続けていれば、必ず報われる瞬間が訪れる。やめない限り。思い絶やさず書き続けている限り。

そしてその瞬間を糧にして、また前を向くのです。

いつか誰かに届くまで。

そして、さらにその先へ届けるために。

一見険しい創作の道でも、明るく楽しく踏みしめていきたい。

想いがひとつ実った今、あらためてそんなことを思います。

私の旅は、まだまだ始まったばかり。
これからもみなさんの作品や、たくさんの出会いに刺激を受けながら、一歩一歩を大切に歩いていきたいと思います。