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#エッセイ 記事まとめ

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noteに投稿されたエッセイをまとめていきます。
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2018年9月の記事一覧

羽田と成田を間違えたけど間に合った話

「羽田 成田 間違えた」 これで検索していらした方、お気持ちお察しします。 めっちゃ焦るのわかります。まずは、深呼吸してください。 どうすればいいか、最初に手短にまとめます。 以上です。幸運を祈るぜ。グッドラック。 ここからは、今まさに羽田と成田を間違えて「うわあ間に合うかなあ」と思いながら移動している人が車内で気を紛らすための経験談です。 リアルです。実際わたしは今から1時間ちょい前に羽田と成田を間違えており、うわあああああああ〜と思って検索したら「羽田と成田を間違

泥の視界で生きる者へ

高校二年生のとき、ナチュラルにいじめられていたのかもしれないと、今なら認められる。 だけどそれはドラマで見るようなトイレの個室に水をぶちまけられるようなものではなくて、一緒に過ごしていたはずの主要女子たちが私以外のメンバーでコソコソ集まるようになったり、そんな空気を読み取った男子達がわたしには話しかけづらそうにしていたり、なんというかなんとなく、本当になんとなく、だけどハッキリと、「ここには誰も仲間がいない」ことを毎日突きつけられ、わたしは教室の一番端の席でカーテンの中に

趣味は、心から楽しもう

この頃は、来る日も来る日もギターを練習している。 1ヶ月前に、職場の音楽好きの人に触発されてついにアコースティックギターを買ってしまった。 実は、私は5年程前にギターを買ったことがある。しかし、たったの一週間程で「Fコードができない、指が痛い」とほざいて弾くのを辞めてしまった人間である。もう絶対にギターなんてやらないし、やってもロクなことがないと信じていた、それなのに再び買ってしまった。 ところが、今回はそれが良い方に転がった。ギターを買ってから1ヶ月が過ぎようとしてい

こだわりの、真っ青なぬりえ

コノビー編集部に配属される以前、私は社内の児童発達支援部門に所属し、療育教室の指導員をしていた。 療育というのは、簡単に言うと、主に発達障害のあるお子さんに対して、本人の能力を伸ばすべく、専門的な授業を行う通所支援機関のことである。 学校というよりは、塾や習い事教室に近いと思って欲しい。 そこで数年間、「わか先生」をやっていた。 たくさんの未就学児を担当したが、どのお子さんもそれぞれに可愛く、当然ながら個性もそれぞれで、貴重な幼少期に関われたことに、今も感謝が絶えない

たらこパスタのきざみ海苔と初音ミク

十年ぐらい前、妻がまだ彼女というポジションだったときの話。 つき合いだしてしばらく経ち、彼女の住んでいるワンルームの部屋に通うようになって、気付いたことがあった。 夕方近くになると腹が減る。お金もそんなにないのでどう済ますかと話していると、彼女がうちにあるものでよければと提案してくる。 そんなときに作ってくれるメニューがほぼ必ずたらこパスタだったのである。 たぶんキューピーの「あえるパスタソース」だったように思う。もしくはその模倣品。 美味しいパスタ作ってくれたお前家庭的

他人への嫉妬で苦しい人へ

なんかさ〜、フリーランスで仕事していると あいつのが売れてるな〜とかで嫉妬したりされたりってあるんだよ。 同業同士で仲良かったりすると特に。 私は友人との間で嫉妬が起きるのがすごく苦手だし、目の当たりにすると精神をすり減らしてしまうし、そのことで頭がいっぱいになってしまうので極力避けたいと思っている。 私の中での理想の友人関係ってのは、お互いにとって良いことがあった時に心から良かったね!!と言い合える関係。 (仕事でも恋愛でも相手が嬉しそうなことが嬉しいって状態)

自分のことを美しいと思えない人へ。世で言われる「美人」って美の代表ではなくて、一つのジャンルの代表という話。

綺麗事じゃなく人間誰しも美しいと思っている派です。というか、思うようになった派です。 もちろん私にも好き嫌いありますし、道ゆく人全てに「ほう、美しい」なんて思っているわけではなく。 みんな誰かから見たら美しく見えるポテンシャルあるよねって話でして。 「美」に物差しはないし、バラを美しいと思う人もいれば石を美しいと思う人がいるわけです。美は受け手が美を感じるかどうかに依存してます。 そして、美と受け止める感受性は人それぞれで、同じ人でも経験値や考え方で変わったりする

仲間が味方だとはかぎらない

成熟した考えを持つ、自立した人間であること。 それは女であろうと男であろうと関係なく、とても大切な大前提。 時に羨望や嫉妬という厄介な感情が芽生えることもあるかもしれない。 それでも必要以上に翻弄されるでもなく適切な処理をする。 そして、自分にとって本当に必要なことを咀嚼して、消化してゆく。 それこそが人間としての魅力はもちろんのこと、人としての色気にも繋がる。 ちなみに成熟した考えを持つには、たくさんの選択肢の中から自分にとっての最適解を選び取ることが重要だと思うのだ

自慢されても「ふーん」としか思えないこと

先日、この記事が公開された。 幼なじみの肉食系男子と、旅先で出会った草食系男子の話だ。 このエッセイに出てくる幼なじみの悠太(仮名)は性欲が強い。10段階評価でいえばレベル9くらいだ。 一方、旅先で出会った若者・A君はレベル4くらい。 だけど、悠太には「性欲に個人差がある」という概念がない。 たぶん、年齢と性別によって差があることは知っているだろう。だけど、「20代~30代の男性」はみんな自分と同じレベル9だと思っている。 レベル4のA君に対しても「当然セックスし

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幽体離脱からの幽体接着

わたしは毎朝午前4時に目覚めるとすぐに上半身を起き上がらせる習慣がある。 その日も、いつものこと、ちょっとボーッとする。 無意識なルーティンで、わたしは右手で後頭部を触ろうとした。 動かしているが頭に感触がない。 ふと、後ろに目をやる。 私の腕がバンザイしたまま、そこに転がっている。 え?と思って確認した。 手はわたしの頭から膝の上に移動させてるはずだ。感覚だってある。 私の目には膝上にはなにもなく、腕の感覚だけが膝に乗っている。 この状況、どうやらわたしは身体

雪の日

どこもかしこも真っ白な雪に覆われている。アイルランド全域で、大学も含め、学校はすべて閉鎖だ。道路にもたっぷりの雪があるから、仕事に行けない人も多い。急にできた数日のお休みに、我が家の子供たちは吹雪なんて何のその、元気に外に飛び出した。 雪は例年、積もったりはしない。だから気の利いた防水の手袋だの、雪用のブーツだのの用意はない。娘はビニール袋を足に巻いて、その上から靴を履き、大勢の友達と雪遊びに出かけた。息子は庭に雪の塊をどんどん積み上げ、イグルーを作り始めた。 我が子たちは

レモンクリームソーダ・フィロソフィ

誰かと約束があるわけでもないのに、おめかしをして出かける。 ロマンティックな黒いティアードのワンピースと、白い靴。タグをぱちんと切ったばかりの、おろしたての装い。 風がサーッと、夏の名残を漁るように這って行く。髪が頬にあたってむずがゆい。だけど私は上機嫌だ。ひそやかに新しい服を着て外を歩くのは自分のためだけの甘やかしで、ほかの誰にも気づかれないのも殊の外良い。 学校帰りの小学生にまぎれて得意げに歩いていたら、床屋さんのウインドウに自分が映った。なんだか黒ずくめの未熟な魔女

いつかやり直そうと思う時が来るなら

途中退場は挫折だろうか。 名刺に「ライター」と上書きして一年くらいは、ずっとそんなことを考えていたような気がする。会社を辞めてしまったことに関する罪悪感のようなものが、心のどこかにあったのかもしれないけれど。 私自身まだサーカスの綱渡りみたいな心境が否めないし、ときどき真っ逆さまにネットへ落ちたりもしているけれど、どんな媒体の何であれ、書いたものが喜ばれるのはとてもうれしいことだし、何よりも「生きているな、私」という実感がひりひりと湧いてくる。誇らしい気持ちになることさえ

一声あげること

娘が学校の昼休みに、同級生数名を連れて、ランチのために家に帰ってきた。私が小学生の子供をあずかっている時だったので、キッチンのテーブルが、急ににぎわう。 小学生は、知らない人たちに接して、ちょっと緊張の様子だ。食事の時間に緊張させるのはかわいそうだけれど、ここアイルランドでは、こういう事は慣れていくしかない。慣れてしまえば、いつもとはちょっと雰囲気の違う、楽しい食事の時間という事になる。社交の技術も、少しづつ、身に着く。 人慣れして社交的な同級生の一人が、このこわばっている小