225.「時」の歩みは三重である。
1.さて、どう生きていけばいいのか?
「やれやれ、オレはこれからどう生きればいいのだろうか。」
昭和47年の暑い夏、どん底っていうのはこんなことなのかもしれない。
手塚は苦しみながら考えていた。
「三島由紀夫は、死ぬ直前になにを思っていたのだろうか?川端さんは、あの死の部屋でなにを捨て、なにを得たのだろうか?」
ノーベル賞作家川端康成が、ガス管を口にくわえて自殺したのは1972年(昭和46年)丁度1年前の4月16日の夜。
手塚治虫、46歳。当時でいえば4億ぐらい