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#③ the monogatary | しろくま商社


#11 the monogatary | プレゼント

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今日は僕にとって、大切な日である。僕には恩師がたくさんいる。伯父はそのうちの1人である。僕が辛い時、伯父はいつでも僕の支えになってくれた。そんな伯父のことが、僕は大好きなのである。

そんな伯父と、会う約束をした。場所は池袋。緊張する。今日はいつも僕を支えてくれる伯父の為に、プレゼントを用意した。紅葉色のボールペンである。伯父は喜んでくれるだろうか。そんな期待を胸に、杖を用いながら目的地へ向かう。

実は最近、入院を経験していた僕は完治していなかった。ゆえに歩く際に杖を用いている。しかしながら、こんな弱弱しい姿を伯父に見せるわけにはいかない。目的地はとある池袋のホテル。受付の人に事情を説明し、杖を預ける。よし、これで準備は完璧。あとは本人を待つだけ。

早く着いてしまった。幸い、ここはホテルである。ロビーの至るところに椅子が置かれている。それにしても豪華なホテルである。前に座っているのは中国人の家族だろうか。大きな荷物を携えている。それに比べて自分は軽装備。必要最低限。いつかこんなホテルに泊まれる日が来るのだろうか。

スマホを見る。GoogleにYahooの文字を打ち込む。最新のニュースが目の前に表示される。とりわけ自分は野球をチェックする。推している球団は中日ドラゴンズである。近頃は低迷しているチーム。しかしその投手力は絶大である。良いバッターもちらほらいる。しかしながら長距離砲が手薄である。石川という期待の星はいる。落合時代を再び築いてほしい。そんな願いが僕にはある。幸い、僕の父親も熱心なドラゴンズマニアである。僕や父の応援を糧に、是非再び強いドラゴンズが見たいものである。

まだ時間がある。散策しよう。スマホで音楽を流し、散策する。さすが一流ホテル。ロビーには多くの店。どの店も商品は高価である。「すげぇ。」そんな言葉が口から飛び出す。お金持ちはこういうお店でお金を使うのだろうか。きっとそうなのだろう。お買い物も娯楽の1つである。

♦♦♦

待ち合わせの時間だ。ロビーから離れ、エレベーターへと向かう。行き先は最上階。伯父へのプレゼントはバッグの中に隠す。伯父と会うのは久しぶりだ。その嬉しさに胸が高鳴る。<ピンポン>。エレベーターが到着する。僕はそのエレベーターに乗り込み、最上階のボタンを押す。動くエレベーター。暫しの沈黙。<ピンポン>。エレベーターが到着する。

絶景。最上階からの眺めは格別だった。ここで伯父と食事をするのか。そこは未知の世界だった。今日は僕の退院祝いである。そのためにここまで伯父がしてくれる。伯父に対する感謝の気持ちが高まる。どうやら僕は恵まれているらしい。そんな事実を再度確認する。

「よぉ。」伯父から声をかけられる。いつも通りの伯父。その優しさが身に染みる。


#12 the monogatary | いつか

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僕は空想する。もしも僕の親ガチャが当たりだったら、僕はどんな子に育ったのだろう。もしも僕がまともな学生生活を送れていたのならば、僕はどんな恋人と付き合っていたのだろうか。

自宅に戻り、YouTubeを開く。チャンネルは中日ドラゴンズ。小笠原選手や柳選手、大野選手が秋のキャンプに取り組む。ドラゴンズの今季の成績はBクラス。昨年はAクラス。与田監督が退団し、新たに立浪監督がチームを率いる。期待しかない。関東に在住している自分にとって愛知は遠いが、機会があれば行きたいと思っている。ドアラが好きだ。彼が一所懸命にバク転している姿を見ると、心が温かくなる。

ドラゴンズの活躍はYahooを通じて確認していた。個人的には根尾選手を応援している。彼が甲子園で見せた雄姿を、プロの世界でも見たい。そんな気持ちが僕にはある。既にレーザービームで観客を興奮させることは出来る。あとは打つのみ。是非ともノリコーチの指導によって、覚醒した根尾選手をこの目で見たいものだ。

FGOを開く。イベント開催中のFGO。特にぐだぐだシリーズは人気で、沖田ちゃんは皆の注目の的である。最近始めたFGO。戦力は揃ってきた。イベント最終日。周回するしかないのであった。

FGOでは最近サーヴァントコインが実装された。コインを一定数集めると、アペンドスキルを習得することが出来る。まだまだ実装されて日が浅い機能ではある。しかしそれに伴い、運営は気軽に伝承結晶を配るようになった。実に良いことだ。やはり初心者に優しいゲームはありがたい。

明日はYouTubeでFGOの生放送がある。しかし夕方に相談支援の人と会う約束をしている。もしかしたら、その生放送はちゃんと見ることができないのかもしれない。こればかりは。受け入れるしかない。

大事な決断を下す時。その時が明日かもしれない。グループホームに住むのか否か。その決断を明日下す。

起床し、身支度を整える。気持ちの良い朝だ。カーテンを開け、日光を浴びる。体内時計をリセットする。そして電車にて目的地へと向かう。多くの乗客で賑わう車内。昔を思い出す。

(野球部時代はよく始発に乗っていたっけ。)

そんなことを考える。あの頃は様々なものを犠牲にしながら、僕は生きていた。睡眠はその筆頭である。始発の電車に乗り、朝練に参加する。朝練以降は授業に出て、その後は練習。練習が終わり次第、ジムでトレーニング。そして夜の電車で帰宅する。そんな毎日。

(充実していた。)

僕はそう思う。色々と悩みを抱えていた僕は、忙しさに身を埋没させることで、正気を保っていた。誰にも悩みを打ち明けることのない日々。孤独な日々。

(辛かった。)

思わず涙がこぼれる。昔の僕は苦しい経験をすればするほど、人間は成長できると信じていた。しかしながら、現実は違うらしい。この世は非情であり、残酷なのだ。


#13 the monogatary | 起点

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あの日。僕は何度失敗を繰り返してこの人生を歩むのだろう。僕は何度後悔するのだろう。

「大丈夫。今の自分を大切に。」

あの日、彼女とした約束を胸に、僕は生きている。

♦♦♦

高校時代を野球に捧げた人生は悪いものではなかった。家庭内で色々といざこざはあった。でも野球を意識するとそんな悩みも小さなことだった。僕にとって野球は、幸せの象徴だった。そんな時に、僕は彼女と出会った。天真爛漫。彼女はよく笑顔を浮かべていた。

高校3年の夏。何かが変わる予感がした。

♦♦♦

僕はキャッチャーだった。練習ではピッチャーの球を受けてはアドバイスを送り、全体練習の後はコソコソとトレーニング。誰も僕のことを認識などしていない。でもそれで良かった。自分はひたすらに、野球と出会えたことに感謝していたのだから。

迎えた最後の夏。自分の背番号は12。良い番号だ。期待を胸に、僕は今日もグラウンドに駆け出す。

彼女はそんな僕をいつから認識していたのだろう。不思議でならない。

高3の夏が終わり、秋を迎える。高校球児として出来ることはした。あとは僕の想いを後輩に託す。悪くないだろう。きっと天国のおばあちゃんも許してくれるだろう。

幸せとは。生きていることは幸せか。否。生きていることは幸せではない。どれだけ自分の欲求を満たしていけるか。それが幸福な人生を歩むための条件だ。

僕は誤解していた。誰よりも一生懸命に生きて、笑って、人生を楽しむこと。それが人生の到達点だと思っていた。どうやらそうではないらしい。あの日、彼女が流した涙を、僕は忘れることができるだろうか。

迎えた修学旅行。人生で最後の機会となるだろう。楽しみたい。そんな欲求を胸に、僕は北海道を目指した。

東京生まれの僕にとって、北海道は印象深い土地だった。何もかもが大きく感じた。不思議と肩の荷が降りる。やはり休息というものは必要だ。激動の日々を送ってきた僕にとって、この土地は居心地が良かった。

視野が狭い。そんな言葉を僕はよく投げかけられる。余裕が無いのだろう。当然だ。むしろ自分のような人生を送って、優雅に暮らせる人がいるのであれば、是非ともその人に会ってみたい。

「偶然だね。」

気付くと彼女は僕の隣にいた。

「そうだね。」

無難な返事を返す。

彼女はクラスの人気者だ。色々とミステリアスな部分もあるが、こうやってまともに話すのは初めてだ。

「お疲れ様。惜しかったね。」

野球のことだ。

「ありがとう。あんな暑い中、応援してくれてありがとね。すごい励みになったよ。」

「そう言ってもらえると嬉しいよ。」

本当に、高校球児は恵まれていると思う。あれだけの声援を浴びながらプレーできるんだ。あれだけの注目を集める機会は、人生でもそう多くはないだろう。

「悔いはない?やりきった?」

「うん。清々しい気分だよ。」

「そっか、なら良かった。ところでさ、何か面白い話してよ。」

いきなりの無茶ぶり。戸惑う。

「いきなりだね。」

「でもそういうの得意でしょ。」

得意ではない。断じて。でもここで話の腰を折るわけにはいかない。ゆえに僕は話す。オーストラリアにいた頃の話を。

オーストラリアでも日本と同じように、修学旅行みたいなイベントがある。でもその行き先がちょっと特殊。なんと場所は国立公園。さすが自由の国。スケールが違う。僕たち小学生はそこでテントを作り、そこを拠点に生活する。彼女にはそんな話をした。あの頃は本当に楽しかった。

「面白い!」

彼女は僕の話に耳を傾ける。不思議とそんなに悪い気分ではない。

どれだけそんな他愛もない話をしただろう。気付けばお互い、疲れていた。


#14 the monogatary | 月姫

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ゲームクリア。

今話題の人気作、月姫をクリアした。クリアといっても、物語を完結させたのはアルクルートだけ。まだシエルのルートが残っている。聞く話によると、今回のリメイクは分作らしい。まだまだ奥が深い月姫。今後が楽しみで、夜しか眠れない僕なのであった。おしまい。

と冗談はここまで。PVに惹かれ、購入した月姫。素晴らしいゲームだった。月姫は型月の原点であり、傑作である。同人ゲームとして販売された原作は、その何枚にも及ぶグラフィックの数々など、同人ゲームとは思えないその圧倒的なボリュームゆえに、話題作となった。ゆえにそれ以降、多くの2次創作が、世の中に出回った。そんな月姫が今回、多くの年月を経て、リメイクされたのである。

主人公の名前は遠野志貴。彼は幼少期に瀕死になり、その出来事をきっかけに魔眼を宿すことになる。その名も「直死の魔眼」。その対象が何であれ、ありとあらゆる死期を、彼は感じ取れるようになったのである。そんな彼が入院時、遊び半分でベッドの線をなぞる。すると、そのベッドは見事に壊れるのである。周囲はもちろん、その結果を起こした本人も驚く。実はこの魔眼、使っているとめちゃくちゃ疲れるのだ。ゆえに志貴は苦しむ。その線を見ている限り、彼は平常心を保つことが出来ないのだ。しかしここで、彼は運命的な出逢いをする。

病院から離れ、近くの草原で物思いにふけっていた志貴。そんな彼に1人の女性が近づく。赤い髪。その髪は地面に届きそうな程に長く、その髪質は艶やかである。志貴に限らず、1度見たら誰しもが興味を抱く。そんな魅力が彼女にはあった。

「どうしたんだい、少年」彼女は気さくに彼に声をかける。まだ若かった志貴は、そんな彼女と交流を深めていく。そしてある時、志貴は彼女に告げる。「僕、モノが壊れる線が見えるんだ」そう彼が告げると、彼女は眼鏡を取り出し、彼にプレゼントする。その眼鏡を彼がかけると、彼が見る世界は、普通の世界に落ち着いていく。

これが月姫のプロローグ。物語の始まりである。

「こっからが月姫なのですよ」田中はそんな言葉を吐く。田中はオタクである。特に型月にはうるさく、FGOもプレイしているという強者である。どこにそんな余裕があるのか。同じ学生という身分でありながら、僕にとって田中は別次元の存在だ。

そんな月姫リメイクが発売されたのは2021年8月26日。またそんなに日は経っていないが、一足先に月姫をプレイした田中は、その出来の凄さに驚いていた。

「いや~、待った甲斐がありましたな!」「名作ですよ、これは!」「続きが楽しみ!」そんな賞賛の言葉を淡々と述べる。田中とは長い付き合いだが、このマシンガントークには未だに慣れない。いつか慣れる日が来るのかもしれない。でもそんな彼が魅力的だと思っている僕としては、田中にはいつまでもマシンガントークを披露してほしいと思っている。

「プレイした?」そんな言葉を彼が告げる。「いや、まだ買ってないんよ。」そう僕は答える。サークル活動で身を粉にしている自分には、中々ゲームに割く時間が無い。それでも華の大学生。遊べるうちに遊んだほうが良いのだろう。田中も勧めているし、そのうちプレイしたいとは思っている。

田中:ヒロインが魅力的だよね。アルクェイド。かわいい。本当に。はぁ~、現実でもこんな出逢いがあったらなぁ~。まあ将来に期待だね。なんせ俺、面白いから。

吉田:でもその主人公、猟奇的なんだろう。18禁のゲームだし、ちょっと手が出しにくいなぁ~。

田中:いいから一度やってみろって。マジでおすすめ。こんな出逢い、珍しいぜ。毛嫌いするなって。

吉田:まあお前がそんなに言うなら、やってみるよ。

そんな会話を田中とする。いつも通り、坂道を歩きながら。どうやら月姫の主人公は遠野邸と呼ばれる立派なお屋敷に住んでいるらしく、坂道を歩いて通学しているらしい。そんな共通点に思いを馳せながら、僕と田中は会話する。

平日は共に学業で忙しく、田中と会うのはいつだって週末だ。平日に知識をインプットし、週末にアウトプットする。そんな理想的な学生ライフを僕たちは過ごしている。田中とは中学からの付き合いで、家が近かった僕たちは、よく帰り道を友にした。大学生になり、それぞれ1人暮らしを始めた僕たちは同じ大学に通いながら、時々こうやって会い、色んな会話をする。そんな普通の日々が自分にとってはかけがえのない日々であり、貴重なものだと、いつも思う。友情とははかないものだ。だから、大事にしたいと僕はいつも思う。

田中:絶対プレイしろよ。月姫。お前の感想楽しみにしているからな。

吉田:分かったよ。結構ボリュームあるらしいから覚悟して買いますわ。買ったらまた連絡する。

田中:おうおう。真面目なお前の感想、期待してる。

そんな会話を大学近くのカフェで行い、帰路につく。

田中との会話を終え、帰宅する。財布を所定の場所に置き、いつも通り携帯を充電コードに繋げる。そしてベッドに寝そべる。そんな日々。課題は山ほどある。文学部に通う身として、週末は忙しい。幾つかの文学作品に手を伸ばしながら、月姫に思いを馳せる。

課題は山ほどある。でも時にはリラックスるするのも悪くない。そう思い、switchに手を伸ばす。ゲーマーである自分は多くのソフトを有している。しかしやる時間がない。そんな日々だ。でも田中があれほどおすすめするゲーム。気になる。田中とは古い付き合いであり、色々と破天荒な彼だが、その審美眼は超一流。奴が面白いといったゲームは、いつだって名作である。そんな言葉を信じ、月姫を購入する。大学生にとってその価格は痛いが、まあバイトを頑張れば取り戻せるだろう。

ダウンロードに時間がかかる。その間、課題に着手することにした。ゼミの課題だ。シェイクスピアを中心に学ぶ自分の研究テーマはホーキング博士の文学性。少し突飛なテーマではあるが、オリジナリティがあると自分は思っている。頑張ればきっと良い論文になる。そう信じ、僕は今日も課題に向き合う。

♦♦♦

どれぐらい時間が経っただろうか。ありとあらゆる資料を吟味し、検討していたら、数時間が経っていた。ふとswitchに目をやると、ダウンロードが完了していた。まだまだ課題はたくさんあったが、ひとまず月姫を優先することにした。今日は土曜日。日曜日に頑張れば、学業に支障が出ることは無いだろう。そう信じ、僕はswitchに手を伸ばす。

BGMが流れる。どこか悲壮感のある、ゆったりとした音楽。そんな音に耳を澄ませながら、タイトル画面を見る。月姫。タイトル画面にはその2文字が燦燦と輝いていた。

NEW GAMEとあったので、そのボタンを押す。リメイクに伴い、色々な機能が実装されているみたいだ。話題作のリメイク。その出来に心を躍らす。予習としてYouTubeにあった月姫関連の動画は漁った。どれも凄い出来で、Fate同様、今作も人気があればアニメ化するかもしれない。人気があれば。

♦♦♦

プロローグを終えた。どうやら田中の言う通り、今作は傑作なのかもしれない。シエルルートを体験する為にはどうやらアルクルートをまず先に攻略しないといけないらしい。中々のボリュームである。学業優先。そう心に誓い、そっとswitchから指を離す。今日はここまで。また日を改めよう。そうセルフトークし、今日はひとまず寝ることにした。

♦♦♦

田中:で、どうだったよ。月姫。プレイしたか。

いつも通り大学近くのカフェで待ち合わせをし、席に着く。話題は勿論、月姫だ。既に攻略した身として、田中は興味深々である。

吉田:とりあえず購入はしたよ。まだ全然進めてないけど。でも面白そうだね。今後に期待。

田中:おぉ~。いいね。良い感想だ。まずはアルクルートだね。だいぶ加筆されているからボリュームあるけど、BGMとかグラフィックが凄いから、プレイすればするほど深みにはまると思う。

吉田:なるほどね。まぁお前の言うことはいつも正しいからな。お前の言葉を信じるよ。

そう告げると、田中は微笑む。こいつの笑顔は妙に人を引き付ける。天性の才能だろう。落ち込んでも、田中と話すと前を向ける。そんな魅力が彼にはある。

吉田:まあまた今日とかプレイすると思うから、そしたらまた感想を述べるわ。

田中:おうおう、楽しみにしてるよ。

そう会話をし、お互い帰路に就く。


#15 the monogatary | 絆物語

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森泉:「いや~、早いっすね!」今日も陽気に彼は笑う。 クリス:「もちろん!そのための朝活だし!」僕は元気に回答する。 新しい環境。新しいサークル。新しい生活。 この世は魅力に満ち溢れている。楽しい。 そんな感情は久々である。 苦難ばかりの人生。 世の中、谷あり山ありという。 人によって、ストレスは様々。 それでも。レベルが違う。 私はそのように感じる。 私にとってはそれが普通で。 私にとってはそれが日常で。 私にとってはそれが全てだった。 しかしながら。今は違う。 環境の変化と共に、私の捉え方も変わる。 しかしながら。受けた傷は癒えない。 その傷はあまりにも重々しく...。

AIESEC。私はこのサークルに出逢えたことを、心の底より感謝している。私はAIESECにとって、どのような存在なのだろう。私は貢献できるのだろうか。私は正常なのだろうか。分からない。それでも。大学生になって、数日が過ぎた。少しは慣れてきたのだろうか。少しは成長出来ているのだろうか。

華々しい学生生活を送ることは不可能だろう。きっと、私は影の道を歩むことになる。ゆえに。光を浴びることが出来るのは、きっと一瞬なのだろう。いずれ、私は孤独と向き合わなければいけない。

人生とは。人の数だけ人生がある。人の数だけ悲しみがある。

私はいつも翻弄されている。社会に。家族に。仕事に。それでも。ただひたすらに。私は諦めたくない。私は、ただひたすらに、可能性を示したいのである。惨めな人生。それでも。私は間違っていないのだと。ただ、それだけの為に。私は生きている。

私は間違っているのかもしれない。誰からも認知されず、この命は尽きるのかもしれない。それでも。私は前進したい。私は苦しみたい。その先に栄光があるのなら。


#16 the monogatary | オールマイト

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「私が...来た!」オールマイトの台詞。その言葉が頭から離れない。私の人生の意味を見出すのは、いつだって私自身。私は、人生の主役に成り得ているのだろうか。私の人生は、誰かの役に立っているのだろうか。

『僕のヒーローアカデミア』。とても魅力的な作品である。個性的なキャラクターの数々。作画の丁寧さ。非常に練度の高い作品のように感じる。さすが、ジャンプ作品である。しばらく、私はジャンプを購読している。ジャンプは作品の入れ替わりが激しい。いつだって、天下一舞踏会が、ジャンプでは開かれている。熾烈な掲載順位争い。ジャンプの漫画家であれば、たとえその方が人気であろうと無かろうと、上記の戦いを強いられる。ゆえに。上澄みのみが連載されている。

世の中には多くの漫画が存在している。世は戦国時代。漫画家は己の人生を賭ける。成功する者は一握り。それでも。彼らはまだ見ぬ明日を求めて、紙に命を捧げるのである。

世の中には様々なステージがある。私たちは自身の能力や年齢に合わせて、自らに適したステージを選び、歩を進める。エリートコースをひたすら歩き続ける者もいるだろう。エリートコースから脱落する者もいるだろう。それでも。きっと誰しも必死に今日を生きている。

心。これほど難しいものは無い。果たして。私たちに心は存在するのか。漠然的。それでも。往々にして、私たちは自身の心と向き合っている。人の数だけ人生がある。それでも。私たちは自身が主役なのだと疑わず、日々精進していく。時には辛いこともあるだろう。逃げ出したくなる時もあるだろう。それでも。きっと未来は希望に溢れているのだと信じて。そのような幻想を胸に抱きながら、多くの挫折を経験し、そして私たちは成長していくのである。

結局、人生とは繰り返すことである。日々のルーティーンをこなし、微調整し、また同じことを繰り返す。そのような研鑽を積むことこそが、人の美点であり、役割なのである。


#17 the monogatary | Lost

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出逢いとは何か。歴史とは何か。私たちは、どのような物事に対し、共感し。そして成長するのか。世の中、分からないことだらけ。それでも。私は前に進みたい。たとえその道のりが平凡であろうとも。たとえその人生が苦痛に満ち溢れていても。たとえ私が愚者であったとしても。

私たちは、日々失っていく。その連鎖の上に、私たちの人生は成り立っている。ゆえに。私たちは取捨選択を行う。ゆえに。私たちは高みを目指す。人生とはその繰り返しである。ある時は笑い。ある時は悲しみ。様々な感情の起伏を経て、私たちは己のキャンバスを彩っていく。

無味無臭な日々。そんな日々から、私はいつ抜け出すことが出来るのだろうか。私の人生に、彩は存在するのか。私は一体、何の為に生まれたのか。なぜ、私はこのような苦痛を味わう必要があるのか。私はどこかで道を間違えてしまったのだろうか。自問自答してばかりの人生。それでも。きっと明日は来るのだと信じて。


#18 the monogatary | 言葉のマジック

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春だから。その言葉に私は何度も救われる。

季節は巡る。人知れず。ひっそりと。私たちは、ひたすら、それを繰り返す。私たちは繰り返す生き物である。コツコツと、努力し続けることで、私たちは花を咲かせる。結局、世の中、努力次第。私はそう信じていた。しかしながら。私は知らなかった。その言葉が、ただの妄想であるのだと。

妄想。私たちはいつだって、なにかに縛られながら、人生を送っている。お酒やたばこに依存する人もいる。中には麻薬に手を出す人もいる。多種多様である。そのような中で、私たちは何を考え、どう行動し、そして何を紡ぐことができるのだろう。

個人の力には限度がある。それでも。私は信じたい。きっといつか、奇跡は訪れるのだと。きっといつか、私の努力は報われるのだと。血迷っているのかもしれない。私は間違っているのかもしれない。それでも。私は前進したい。それだけが、私の長所なのだから。

それは小さな希望なのかもしれない。それでも。私たちは前を向く。それでも。私たちは星を見上げる。きっといつの日か、あの一番星のように、輝けるのだと信じて。


#19 the monogatary | オセロ

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その1球に、私は魂を込める。きっと、この1球を通じて、皆が幸せになると信じて。 野球。実に奥深いスポーツである。日本のみならず、世界は大谷を通じて、野球に魅了されている。今年開催されたWBCが実に良い例である。あれほどの盛り上がりを見せたWBC。その要因に、大谷の影響力は計り知れない。もちろん、ダルビッシュ選手を筆頭に、多くの魅力溢れる選手がプレーしたWBC。その最後は、大谷とトラウトとの真剣勝負。大谷は最後の1球としてスイーパーを選択し、そのボールにトラウトがフルスイングで応じる。スポーツマンシップとは。国際交流とは。多くの問いに対する答えが、そこにはあった。


#20 the monogatary | 分岐点

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それは、夢のような時間。たとえ終わりが見えていたとしても。私は進む。

分岐点。その言葉は重い。
その言葉は私を狂わせる。

惨めな人生。
私は一体、何の為に生きているのだろう。