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マインドクエスト 第36話 魔王を止めたのは
登場人物
ヒデ(俺)…生涯安泰を目指す欲深い商人
フジ…勇者になりたくなかった勇者
ホセ…心の支柱である僧侶
チャマ…ネガティブな英雄戦士
魔王…戦いを愛す戦闘気狂い
フジくんは座ったままで戦おうとしない。
魔王は何としても戦わせよう怒り、攻撃し続けたんだ。
魔王を倒せるのはフジくんの一撃しかないとみんなは思っていたので、とにかく守り切るしかなかったんだ。
以前ホセとこんなやりとりがあった。
なぜ、生き物は怒るのか。
それは元々生き物に備わっている
【欲】、【苦】といった感情に込められているという。
今回魔王の場合は
『強いやつと戦いたい』という【欲】と
『なんで戦ってくれないだ』という【苦】と
『約束と違うじゃないか』と思い通りにならないことで怒りが発動してしまったのだ。
魔王との戦闘の中、こんな事を思い出した。
フジくんはまさに怒ってくれといわんばかりの態度をとってしまったのだ。
「戦え!戦えぇ!戦えぇぇ!!」
怒り狂った魔王は何としてもフジくんに戦ってもらおうとフジくんばかり攻撃してくる。
物理攻撃の時はポムポムスーツを着ている俺とチャマで。
魔法攻撃の時はマジカルスカーフを装備している俺とホセで耐え凌ぐ。
ていうか俺の負担大きくない?と心で思いながらも頑張るしかない。
不思議なことにこの本殿内というのは、魔王の攻撃で強い衝撃が来たり、魔法で炎があたりに回っても一瞬壊れたり、燃えそうになって焦げても元通りになってしまうのだ。
その事についても魔王はイライラしている様子だった。
いくら攻撃してもダメージも与えられない。
フジくんも戦ってくれない。
建物を壊して物に当たろうにもすぐ直ってしまう。
イライラすればするほど、魔王の攻撃は激しさを増す。
その限界になった体力をホセが回復してくれて何とか持っているものの、攻撃を耐えるのも、回復する力ももう限界だ。
チャマが攻撃を必死に止めている。
「フジくん!フジくん!いつまでそうしてるの?俺らはどうしたらいいの?」
俺が聞いたが、集中している。何を聞いても答えてくれなそうだ。
「何となくですけど、フジさんが何を言っているか少し聞こえました。とにかく今はフジさんを信じるしかありません。皆でもう一踏ん張りしましょう!」
ホセは何か聞こえたようだ。
怒りで制御不能となった魔王は目が爛々とし焦点があっていない。口からはヨダレが止まらず、垂れてくる程叫び続けている。
いくらか疲れてきたのか絶え間なく続いていた攻撃が今は少なくなっている気がする。
「…が……であります…うに。」
ん?俺にもフジくんの呟きが聞こえてきた。
「…が……でありますように。」
最後の力を振り絞ったような叫びとパンチをチャマが止めた後、魔王は一度大きく離れた。
「はぁ。はぁ。はぁ…ん。」
息が切れてかなり苦しそうだ。
「MORの……が……に。」
「……フジよ。…なぜ、俺の名前を知っているんだ…?」
MORという言葉が出てから、魔王が驚いて動きが止まった。
なぜ俺の名前を知っているんだ…?と言っていたが魔王の名前で間違いはなさそうだ。
つづく
次の話
↓
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