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186.スナップ写真1枚で、差し止め請求。日本初、角川書店著作権侵害、負ける。

1.「特許庁からの長期派遣されていた教授」
明治大学前教授論文盗用に二重契約!


 
2006年1月20日。特許庁の委託事業で、財団法人「知的財産権研究所」(東京都千代田区)から長期研究費として海外に派遣された、明治大学情報コミュニケーション学部の藤原博助教授(45)(1月24日付で懲戒免職 ) が、他人の著書から盗用して研究報告書をまとめていたことがわかった。

明大によると、藤原前助教授は、特許庁が同研究所に委託した「産業財産権研究推進事業」で、2003年1月から2004年9月までの予定でフランスに派遣されていたが、2004年3月に無断帰国>

その後、在外研究の成果として、仏における著作権の考え方の変遷を報告書にまとめたが、その英訳が掲載された学部の紀要について「盗用ではないか」との指摘が寄せられ、同学部で調査した結果、盗用だとわかったという。 

同学部では、「論文の96%は複数の著作の丸写しで、研究者としては許されない行為。本人も不正を認めた」としている。

藤原前助教授は、同研究所に無断で帰国した2004年4月に明大助教授となった。
このため、助教授と外研究員の「二重契約」が同年9月まで続いていた。
同学部は、採用時に存外研究員になっていることは知らなかったという。日本に帰国後も海外滞在費を不正に受け取っていたことや研究成果の実態がなかったことなどから、同研究所は藤原前助教授の派遣にかかった経費など約2,300万円を特許庁に返納するとともに、前助教授が滞在費や研究費など計1,600万円を不正に受け取ったとして返還を求めている。


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2.「スナップ写真にも著作権あり!」角川書店出版差し止め命令!


©NPО japan copyright association Hiroaki


2006年12月21日。自分が撮影したスナップ写真が無断で書籍に掲載されたとして、撮影者の女性が著作権侵害で、角川書店に出版の差し止め、損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であった。

これは角川書店発行のノンフィクション作品に掲載されている写真を見て、米国在中の女性が訴えていた。

東京地裁の設楽隆一裁判長は、「写真の著作権は女性にあり、角川側は著作権者の確認作業をせず著作権を侵害した」と判決理由を語った。

また、「写真が使われている部分は、書籍のごく一部分に過ぎないが、1冊の本として出版されている限りは、女性の意思に反して写真を頒布することになる」と述べ、出版の差し止めと存庫分について写真掲載部分を廃棄するように命じ、同社と著者に対し、慰謝料など計万円を女性に支払うよう言い渡した>


さらに裁判長は、「取材先から写真提供があっても、ネガなどがない限り、撮影者は別にいると想定して著作権者が誰かを確認する必要がある」と、取材者側に厳格な注意義務を課す判断を示した。

判決は差し止めの仮執行も認め、原告側は仮執行を申し立てる方針だ。

差し止めが認められたのは、米国出身のジャーナリスト・ロバート・ホワイティング氏の著書『東京アウトサイダーズ 東京アンダーワールドⅡ』。戦後の日本の暗部などを描いたノンフィクションで、単行本と文庫本合計約7万部が発行されている。

判決によると、ホワイティング氏の本に、1970年、マレーシアで訴えた女性の夫が長男を抱いているスナップ写真を勝手に東京アウトサイダーズは、この写真の一部を掲載し、元夫を元CIAとして本文に登場させた。
そして、当時の夫を紹介するため、このスナップ写真の一部を口絵の写真の一枚として使用した。

角川書店側は、「写真は元夫の親友から正当な手段で入手した」
「一般人が日常的な場面で、無造作に撮影した家族のスナップ写真には創作性がない」と主張。

しかし判決は、
「証拠はない。女性はネガも保有し、スナップ写真の所有権を元夫や親友に譲渡していたとしても、著作権を渡したとは認められない」

「家族の写真であっても、構図やシャッターチャンスによって、撮影者の創作性を認めることができる」

「角川書店側が著作権の処理に十分な措置を講じたとはいえない」として、著作権侵害を認めた。

これに対し角川側は、「スナップ写真の一部を掲載しただけで出版を差し止めるのは行き過ぎだ」と怒りをあらわにするが、判決は、「写真が掲載されている部分を削除すれば書籍を出版することは可能だ」と述べた。

著作権侵害やプライバシー権の侵害などを理由に、出版物の販売差し止めを認めたケースは過去にもあるが、スナップ写真1枚の著作権侵害で販売差し止めを命じたのは初めてのこと。




今まで、著作権侵害で出版差し止めが認められたケースには、作家の故福島次郎氏が小説「三島由紀夫 剣と寒紅」で、三島氏の手紙を無断で公開したとして、遺族が出版元の文芸春秋に差し止めや損害賠償を求め、東京地裁判決は1999年月、遺族の請求を認めたものがある。

高裁も支持し、最高裁で文春側の敗訴が確定した。
これは手紙での著作権が初めて認められた判決。

プライバシー侵害をめぐっては、作家柳美里さんが1994年に発表したデビュー小説「石に泳ぐ魚」で、副主人公のモデルとされた女性が出版禁止を求め、東京地裁で1999年に認められ、高裁、最高裁も指示し確定した。



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