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385.勝手に「撮る権利」「撮る自由」なんてない。令和5年(2023年)7月13日に「撮影罪」という新しい法律が施行された。


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令和5年(2023年)7月13日に「撮影罪」という新しい法律が施行された。

この「撮影罪」とは、他人のスカート内の下着や性的な部位などをひそかに盗撮したり、相手の意思に反して性的な部位などを撮影したりした場合に成立する罪のことを指す。


※撮影罪の正式名称

撮影罪については、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」通称「性的姿態撮影等処罰法」に定められられた。

これは、「撮る権利」などという甘い主張を翻す、新しい法律だ。それだけ、写真や映像のトラブルや事件が多すぎるからだ。

要は、勝手に「撮る行為」「無断で撮る行為」、相手にわからぬようにこっそり撮影を行う、典型的な「盗撮」行為だけでなく、被害者が抵抗できない状態にして性的な部位を撮影したり、撮影された画像や動画を拡散されたりしてしまうケースもしばしば発生しており、これらについても処罰できるようにする必要があった。

写真は「撮る自由」を取る側は主張するが「撮られる側の自由」もある。
これは、被害者に発覚しないように撮影した場合だけではなく、暴行や脅迫などを用いて被害者の抵抗を抑えつけて撮影した場合など、被害者が自分の姿態を撮られていることを認識している場合でも、撮影罪として処罰される可能性がある。

これは「盗撮」「隠し撮り」「盗み撮り」だけでなく、肖像者が撮られている事を認識している場合もあてはまる。

この法律が施行されたことによって、「性的姿態撮影等処罰法」が定められたことにより、都道府県ごとに処罰の内容に差があった盗撮行為をはじめ、違法な撮影行為や撮影データの保管行為・提供行為・送信行為などについて、全国で一律に処罰の対象となった。

撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金刑」となっており、未遂に終わった場合も処罰の対象となる(法第2条2項)。

では、どんな場合何だろう?
(1)「性的姿態」とは、胸などの性的な部位や身につけている下着のほか、わいせつな行為や性行為等を行っている人の姿のことを指す。

(2)今まで一番の「盗撮行為」として、スカートの中にスマートフォンを差し向けたり、隠しカメラを使って撮影したりなど、撮影の対象者に気づかれないようひそかに撮影する盗撮行為が挙げられている。

さらに、対象者が拒否できないような状態にあることを利用して撮影した場合、性的な行為ではない・他に誰にも見られることはないなどと誤信させて撮影した場合、5歳以上歳が離れた16歳未満の子どもの性的姿態等を撮影した場合も、撮影罪が成立する可能性もある。

(3)撮影行為を行う「正当な理由」がないこと(盗撮行為・16歳未満の子どもの撮影の場合)。つまり、正当な理由がない限り撮影罪とな、恐れがある。

さらに「対象者が拒否できない状態」を要約すると、

脅したり、脅迫して撮影する。
お酒や薬物を飲ませる。
本人の意識がはっきりしていないとき(眠っているとき)
突然、撮影すること(相手を無視して)
相手が身動きできない状態(放心状態等)
恐怖心を与えられている。
上司と部下、教師と生徒、経済的な影響を与えていること。
拒んだ時の心理的不安、不快、不信、その他人格を傷つける行為。

提供罪

さらに、「提供罪」というものもある。
これは、撮影行為によって撮影された画像や動画(法律上、こうした画像や動画を「性的影像記録」と呼びます)を、特定の相手に送信したり、インターネット上にアップロードし、不特定多数の者が閲覧・ダウンロードなどできる状態においたりして第三者に提供した場合、この「提供罪」が成立する。

保管罪

そして、「保管罪」。撮影行為によって撮影された画像・動画を、他人に提供したりインターネット上にアップロードしたりする目的で保管していた場合、「保管罪」が成立する。

送信罪

次に「送信罪」という罪がある。これは、撮影行為によって撮影された性的姿態等の画像や動画を、ライブストリーミングで不特定・多数の者に対して送信した場合、「送信罪」が成立する。
ひそかに配信を行った場合

これも、簡単に要約すると、拒否できない状態にさせて、撮影した場合。「他人には見せない」「といいながら、送信させて配信を行った場合。正当な理由なく16歳未満の子どもの性的姿態を配信した場合。

記録罪

最後に「記録罪」がある。
それは、他人が撮影した画像や動画を、盗撮行為によって撮影されたものであると知りながらダウンロードするなどして記録した場合、「記録罪」が成立する。

コピーの没収、撮影データの消去・廃棄

さらに、「コピーの没収、撮影データの消去・廃棄」を要求できる。

これは、撮影行為や記録行為により生じた画像や動画(盗撮画像等)のコピーデータの没収も可能になった。

以前、撮影者のカメラを勝手に取り上げて撮影写真を、不快を感じた本人立ち合いで警察官にその行為をさせたことは憲法に違反する、と言うカメラマンがいたが、その証拠画像によってたとえ「私的利用」「個人的な趣味」「記録保管用」だといっても通用はしない。

また、2024年6月までに、検察官が保管する押収物(撮影に使用したカメラやスマートフォンなど)に記録されている盗撮画像等を消去したり、押収した物を廃棄したりすることなども可能になるといわれている。

法律論なので、あまりnoteにはふさわしくないかも知れないが、大事な法改正、新しい法律の施行に伴い、あえて、掲載した。

許可なく、無断で「撮る行為」「撮る権利」「撮る自由」などは、人を傷つけたり、不快を与えるものに関しては、そんな自由などない。



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生成AIブーム到来 著作権侵害になるのか【日経モープラFT】(2023年4月10日)


※本内容は、「肖像権」シリーズです。
我が国、1億数千万人、すべてがスマホを持つ、一億総カメラマン時代。
現在、様々な場所でこの写真、映像の問題がトラブルとなっています。写真や映像を撮影した者には「著作権」があり、写された者には「肖像権」があります。「撮る側」には「撮る権利」があるといいますが、撮られる側には「撮られたくない権利」というものがあります。
もっとも大切なことは「撮る側」は人を傷つけてはならないという最低限度のルールやマナーが必要になります。
撮っただけであくまでも「個人的利用」「私的使用の範囲」だという人もいますが、たとえ、公表し、使用しなかったとしても、「隠し撮り」「盗撮」のような、悪質なものもあります。「撮る行為」というのは利用の仕方によっては「暴力」と化します。あまりにも安易に写真や映像が簡単に撮れる時代だからこそ、注意と配慮が望まれます。

本内容は、全国の都道府県、市町村、学校、NPО団体、中小企業、noteの皆様、クリエイター、個人の方々を対象としているものです。また、全国の職員研修での講演先のみなさまにもおすすめしています。
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