いず

気ままに。自分のペースで。

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君が居なくなった日から

ある日君は突然居なくなった。その存在感を強く残して。 彼らは言った。それは旅立ちであると。 彼女らは言った。それはめでたいことだと。 それから一年経っても、僕の傷は癒えないでいた。何をしていても思い出してしまう。何をしていても悲しくなってしまう。 君はずるい人だ。僕にこんな思いをさせるなんて。 君は気づいているのだろうか。こんなにも僕が君を想っていることを。 少しだけでいい。どうか僕にもう一度姿を見せてくれ。

    • 一粒の雫

      ぽたり。と一粒の雫が落ちる。 どうしたの?と声をかけてくれる人。 心配そうに見ている人。 関係ないふりをしている人。 泣かないで。と言ってくれる人。 きっとどれも間違いではない。 でも何故こんな気持ちになるのだろう。 その雫が落ちた理由は私にすらもわからない。 雫を落としたいわけでもない。 これでも抑えているはずなのに。 成長の証だ。といってくれる人もいる。 でもきっと私の雫は明日も落ちる。

      • 君のいない季節

        僕の住む地域はあまり雪が降らない。 たまに降ったと思っても大して積もりもせずすぐに止む。 寒いのが嫌いな僕はお家に居たかったけど、君はそんな僕を雪の降る外へと連れ出した。 雪が降ると子どものようにはしゃぐ君。 僕は周りの目を気にしながらも君を見守った。 でも雪ではしゃぐ君を見ているとき、僕の心はとても穏やかだった。 不安や心配事など、どうでも良くなった。 この世界に希望が持てる気がしたんだ。 君が居なくなって初めての冬が来た。 今年一番の雪。 そうは言ってもこの辺りで

        • 白い君と黒い僕

          君の近くにいられるあいつに僕は嫉妬した。 その道に進むと決めたのは僕自身なのに。 心の何処かで僕はそれを受け入れられずにいた。 別れの春。 僕は君について行くことより、自分のやりたい道に進むことにした。 そう決めたことを後悔したことはない。 でも、君との別れは信じられない程に辛かった。 何をしていても、何も手につかない。 いつでも僕の脳裏には君が浮かんでいる。 僕は想像してしまう。 君のそばで笑っているあいつを。 恨めしくなんて思いたくないのに。 考えるたび自分が嫌い

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        君が居なくなった日から

          懐かしさと恨めしさ

          春は嫌いだ。別れの季節だから。 それなのになぜ春の匂いに懐かしさを感じ、気分が高揚してしまうのだろう。 3年前の今日、君は突然別れを告げた。 「遠距離恋愛できる自信がない。」 と申し訳なさそうに言った。 その日は高校の卒業式だった。 君は、やりたいことを見つけたから県外の大学へ進学すると言った。 なかなか言い出せなくてずっと僕に嘘をついていたらしい。 それもそのはずだ。 僕はやりたいこともないままテキトーに大学を受けた挙句、滑り止めの大学しか受からなかったのだから。

          懐かしさと恨めしさ

          雪に咲く一本のバラ

          君のおかげで僕はスキーが上手くなったよ。 でも、いつも見てくれていた君はもういない。 君はその名の通り雪が好きで、毎年冬になると僕をスキーに連れ回した。 「ボードをやる人がいない方が安全でしょ!」 君はそう言って、スノーボードのできないスキー場にしか行かなかった。 そこは子供が多くて僕は少し恥ずかしかった。 君と出会うまでスキーとは無縁だった僕は、慣れるまでスキーが嫌いだった。 「板をハの字にしたら止まれるからねー。」 君はそれだけ言って凄いスピードで去っていっ

          雪に咲く一本のバラ

          間違いだらけの僕ら

          あの頃の僕らは無知だった。 そのことで人を傷つけるとも知らずに。 小学校のバスケ部ではそれなりに楽しくやれた。 僕らは下手くそだったけど特に気にすることもなく3年間の部活を楽しんだ。 中学生になった僕らはまたバスケ部に入った。 その先に楽しいバスケ生活が待つと信じて。 中学で新しい仲間が増えることもなく、僕らの学年は見知ったメンバーでスタートした。 でも次第に君は練習を休むようになった。 君は僕らにも嘘をついて休んだ。そのことに傷ついて、腹立たしくて、その時の僕は君

          間違いだらけの僕ら

          光の指す方へ

          初めて見た君は、僕の心を明るく照らしてくれた。 僕は昔少しばかり荒れていて、その日も夜中に街で遊んでいた。 何もかもが嫌になり、どうしようもない不安に苛まれていた僕を、君はその笑顔で救ってくれた。 君のおかげで僕の心は軽くなった。 自信を持って君に会えるように、僕は真っ当に生きることにした。 まだもう少し時間がかかると思う。 でも僕は君に似合う人になって、また君に会いに行くよ。

          光の指す方へ

          金魚のフン

          無力な僕は、君に付いていくことしかできなかった。 行動力のある君に僕はずっと惹かれていた。 「ねぇ、付き合ってよ。」 そう言われたときは、嬉しさより驚きが勝って、きょどりながら返事をしてしまったんだ。 その日から、僕とは正反対だと思っていた君と一緒にいることが多くなった。 教室の隅にいる僕と、中心で笑っている君。 考えてみれば、そんな僕らが分かり合うことなんてできないよね。 僕は君に惹かれつつも、君と中心に立つのは少しの嫌悪感があった。 君も何にもできない僕に

          金魚のフン

          不完全な僕ら

          事あるごとに君は言った。「恋をしたい。」と。 だから僕は勇気を出して言ってみたんだ。 大学生になったある日、僕らは初めてデートをした。どうしていいか分からない僕を気にすることなく君ははしゃぎ回った。どんくさい僕に呆れることなく君はずっと楽しそうに遊んでいたね。 その日から二人で出掛けることが増えた。おかげで自分の無力さを沢山感じた。君にできないことも沢山見つけた。 でも僕らはまだ学生だから。いろんな経験をして共に成長していこう。

          不完全な僕ら