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間違いだらけの僕ら

あの頃の僕らは無知だった。
そのことで人を傷つけるとも知らずに。


小学校のバスケ部ではそれなりに楽しくやれた。
僕らは下手くそだったけど特に気にすることもなく3年間の部活を楽しんだ。

中学生になった僕らはまたバスケ部に入った。
その先に楽しいバスケ生活が待つと信じて。

中学で新しい仲間が増えることもなく、僕らの学年は見知ったメンバーでスタートした。

でも次第に君は練習を休むようになった。

君は僕らにも嘘をついて休んだ。そのことに傷ついて、腹立たしくて、その時の僕は君を見離してしまった。


僕らの代になり、また僕がキャプテンになった。

小学生のときのキャプテンは名ばかりで、全部先生に任せっきりだった。
何も知らない僕は、中学でもそれで通用すると思っていた。

僕らの代での初めての選択。
『勝つために練習するか、楽しく練習するか。』
きっとここでも僕らは選択を大きく間違えたんだと思う。

僕らは圧倒的に話し合いが足りなかった。みんな楽しくやりたかったのに、まわりを気にして勝つ方を選択してしまった。

その後も僕らはたくさん問題を起こした。
苦情の電話が来たこともあった。
顧問の先生が怖くて、常に顔色を伺っていた。
練習に来ない君の選択が合っているかのように思えた。

引退間近で君の話が出てきた。
「部活に来ないのはお前たちのせいだ。」と言う先生もいた。
「引退前に退部させるから安心してね。」と言う先生もいた。

全部違う気がした。何も分かっていない。
全部おかしいのに、気の弱い僕らは歯向かうことが出来なかった。

結局君は去っていった。
先生は問題を解決したと思って満足気だった。
僕らはずっとモヤモヤしたままだというのに。


なんだかんだで僕は高校でもバスケを続けた。
一番の理由は本当のバスケ部がどんなものなのか知りたかったから。

何も知らなかった僕らがどこで何を間違えたのか、全部知りたかった。

やっとわかったよ。
僕らは全部間違っていた。
きっと全ての2択を間違えたんだ。

君が休むのに怒ったこと。
君が休む理由を聞かなかったこと。
君に寄り添ってあげられなかったこと。

僕らは君を放っておくべきではなかった。

なんとかなると思っていたこと。
時間が経つのを待ってしまったこと。
自分たちで解決しようとしなかったこと。

僕らは何も変えようとしなかった。

顧問の先生の顔色を伺ってばかりいたこと。
まわりの目を気にしすぎたこと。
自分たちのやりたいことを押し殺したこと。

ほんとはもっと話すべきだった。
逃げてばかりじゃダメだったんだ。


あの頃の僕らは何も知らなさすぎた。
人に聞くこと、相談することさえ知らなかった。

沢山の人を巻き込んだ。沢山の人を傷つけた。
きっと一生分の間違いを犯した。

けどもう僕らは学んだ。この世界を知った。

もう間違いは犯さない。
今までの罪の分、まだ見ぬ君を救いに行くよ。