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【DX】地方銀行 × DX で出来る可能性

こんにちは。 

インテック RBシステム部のカワシタです。

1.自己紹介

RBシステム部のRBというのは、Regional Bankの頭文字で、 その名の通り主に地方銀行のシステムに携わっている部門のことです。

地方銀行のシステムは各銀行が開発しているわけではなく、いくつかの銀行が集まってシステムを開発・運用・保守するプロジェクトを作っていることがほとんどです。

このようなプロジェクトは地方銀行共同化プロジェクトと呼ばれています。

私の所属するRBシステム部もいくつかの共同化プロジェクトに参画しています。そして社会人2年目の私は、地方銀行の業務に携わってから1年と2ヶ月が経ちました。

今回の記事では、地方銀行におけるDX事例としてどのようなものが考えられるか、地方銀行のシステム開発・運用・保守業務を担当者の視点で記事を書いてみようと思います。

2.地方銀行とDXのいま

地方銀行というと近年話題となっているのは地方銀行再編という言葉ではないかと思います。政府や日銀が新制度である「地方銀行再編策」 を作成しており、これは利益化が難航している地方銀行の再編を支えるものです。

利益を出すためには店舗運営など固定費を下げることが挙げられます。

店舗運営、 つまり窓口で行われる業務こそ人ではなくDXによってできることがあるのではないかと考えました。では実際の窓口利用率とはどれくらいなのでしょう?

一般社団法人全国銀行協会の調査(出典①)によれば、銀行店舗窓口利用率は

2012年 92.7%
2015年 89.3%
2018年 75.8%

3_グラフ(銀行店舗窓口利用率)

と年々減少しています。

一方で急速に利用率を伸ばしているのが、スマートフォン向けバンキング
です。利用率としては、

2012年 6.5%
2015年 11.0%
2018年 20.8%

4_グラフ(スマートフォン向けバンキング利用率)

となっています。6年で利用率が3倍以上にまでなっていますね!

スマートフォンの普及率も世帯ごとの所持率(出典②)は、2012年度時点では49.5%でしたが、2019年には83.4% までに上昇し、個人の保有率は2012年のデータがなかったのですが、最も古い2016年時点のデータでは60.9%であり、 2019年には67.6%となっています。

上記所持率などの上昇を考えると、スマートフォン向けバンキングの利用率の急速な上昇もうなずけますね。

現在の利用率についてはわかりましたが、 実際に使いたいと考えている人はどれくらいいるのでしょうか?

利用意向について、 一般社団法人全国銀行協会の2019年に発表された調査によればスマートフォン向けバンキングを利用したいと答えた人は28.5% となっています。

利用率と利用意向についての情報を見ると、現在利用していないけど今後利用したいと考えている人が少ないことがわかります。

3.いまの問題はなに?

では、これほどスマートフォンが普及し、ネットバンキングが利用しやすい環境になっているにも関わらず、 利用したいと考えている人が少ないのはなぜなのでしょう。
ネットバンキングを利用しない理由(出典①)について、

男性の60~69歳では61.5%
70~79歳では56.5%、
女性の60~69歳では52.4%、
70~79歳では48.3%

5_グラフ(セキュリティに不安があると回答した割合)

の人がセキュリティに不安があるからと答えています。

統計的にセキュリティに不安を持つ人が多いことがわかりました。
確かに、私自身も身近な高齢者の方からスマートフォンを使用した決済サービスなんて不安で使えない!どうしたらいいの?と相談を受けたことがあります。

これらのことから考えられる可能性としてスマートフォンを持っている人は多くなってもセキュリティ面での不安がある人、 銀行のようなお金を扱うことについてはスマートフォンではなく実際に行くという考えの人がまだ少なくないのかもしれませんね。

事実、新たな決済サービスについて利用意向を訊いた質問では、利用したくないと答えた49%の人のうち、複雑でわかりにくいと答えた人が 24.3%もいるんです。

新たなものを複雑だと感じている人には、なかなか新たなものに即座に適応することが困難な高齢者が多いのではないでしょうか。

また銀行窓口の利用頻度(出典①)について、 性別・年齢別に見た際最も多いのは、

2.3ヶ月~2.3 週間に一回の
男性70~79歳であり、 利用率は53.1%となっています。
その他、女性70~79歳の利用率52.0%
男性60~69歳 49.5%
女性60~69歳51.3%

6_グラフ(銀行窓口利用頻度についてのアンケート結果)

といずれも高齢者層の窓口利用率は非常に高いことがわかります。利用率もネットバンキングより店舗窓口のほうが依然として高いのが現状です。

そして、年代のデータからもわかる通り「わかりやすく」サポートしてくれる窓口を利用している高齢者が多くいます。

また、地方では高齢者(65歳以上)が多いことが総務省統計局による人口推計 (2019年 (令和元年) 10月1日現在、出典③) 結果の要約でわかっています。

つまり、 この記事のメインである地方銀行にも必然的に高齢者の顧客が多いといえるでしょう。窓口利用頻度、 新たな決済サービスへの利用意向と人口推計のデータから、高齢者の顧客が多いといえる地方銀行は、この「複雑」「わかりにくい」 が特に課題となっていると考えます。

また、少し視点を変えて銀行からの視点で窓口業務について考えてみても、近年は店舗維持費や人件費がかかるため、 店舗数を減少させている傾向にあります。その場合、 店舗を減らしている分業務も減らなければ店舗の負担は増える一方となってしまいます。

高齢者でも安心して使いやすいネットバンキングを整えることが利用者、 銀行双方のため優先するべきことだといえるでしょう。

4.セキュリティに対する不安って?なにができるのか?

上述した通り、ネットバンキングの課題はセキュリティに対する不安と複雑性(特に高齢者) にあると思われます。

セキュリティに対する不安については、 我々はセキュリティの強さをアピールすることで、 お客さまに安心感を与えてネットバンキングを利用してもらい銀行の店舗運営出資を抑えて、 銀行の利益に貢献できるはずです。

ネットバンキングのセキュリティについて近年話題となっているのは、不正利用ではないでしょうか。

警察庁による発表(出典④、⑤)では

2018年には330件だったネットバンキング不正利用が、
2019年には1808件
2020年には1847件

となっています。

なりすましの対策としては、全銀協のガイドラインに例示されているように、IDとPWだけではなく二要素認証として電話番号を使った認証が効果的で、インテックの「電話認証サービス」で認証強化が可能です。

また、不正アクセスを試みるブルートフォースアタック(総当たり攻撃)などのパスワード攻撃やDDoS攻撃など、Webサイトに不正な通信が発生した際の対策では、セキュリティログの監視が有効です。
お客さまのセキュリティ機器(FW/IPS/WAF等)のセキュリティログをリアルタイムに監視・分析からアラート通知までワンストップで提供しているインテックの「不正アクセス監視サービス」でセキュリティログ監視可能です。

是非ご興味のある方は弊社ホームページをご確認ください。

次に「複雑」で「わかりにくい」と考えている顧客にどのようなDXアプローチをすればよいと考えられるでしょうか。

私の考えでは、 UI に工夫をすることで利用者を増やすことができる可能性があるという結論に至りました。

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一般的に、若者は直感的に操作できるUIを好むとされていますが、 高齢者はわかりやすく、文字が大きくはっきりしているものを好むとされています。

ネットバンキングについても、直感的に操作できるUIとわかりやすいUIの2つをつくることが提案できると考えました。

アカウントの生年月日によって自動的に設定を2つのUIに振り分けるようにすることで、ユーザの手間もなくお客さまに合ったUIにすることができます。

このシステムを実現することで、窓口利用を減らし、ネットバンキングの利用率を高めることができると思います。

今回私が取り上げ、 書いた内容はあくまで私が気になった事柄です。地方銀行でのビジネスシーンにおいてDX導入余地はこの先まだまだあると考えています。これからも地方銀行のIT化を進めるお手伝いをしっかり務めていこうと思います。

ここまで記事を読んでくださってありがとうございました。

※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。

■出典

①一般社団法人全国銀行協会."よりよい銀行づくりのためのアンケートの結果について"一般社団法人全国銀行協会.
https://www.zenginkyo.or.jp/news/2019/n020701/
https://www.zenginkyo.or.jp/news/2012/n3252/

②総務省 ."通信利用動向調査"総務省https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/210618_1.pdf

③総務省統計局."人口推計(2019年(令和元年)10月1日現在)"総務省統計局
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2019np/index.html

④金融庁."インターネットバンキングによる預金の不正送金事案が多発しています。"
https://www.fsa.go.jp/ordinary/internet-bank_2.html

⑤警察庁."警察庁サイバー犯罪対策プロジェクト".
https://www.npa.go.jp/cyber/statics/index.html




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