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エシカル消費を取り巻く企業課題ーエシカル消費研究会第2回レポート

こんにちは。「Tカードみんなのエシカルフードラボ」事務局です。
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」では、食の領域を中心とした生活者のエシカル消費に関してさまざまな視点で研究開発し、その成果を発表していく「エシカル消費研究会」を立ち上げました。
2022年1月12日、流通・メーカー・専門家が一堂に会し、第2回の研究会をオンラインで開催しましたので、その様子をお伝えします。

第1回の様子はこちら

第2回「エシカル消費研究会」の参加企業 ※五十音順
・味の素株式会社
・株式会社こだわりや
・一般社団法人Chefs for the Blue
・ハウス食品グループ本社株式会社、ハウス食品株式会社
・株式会社ファミリーマート
・明治ホールディングス株式会社
ほか1社

1. エシカル消費を取り巻く企業課題

エシカル消費研究会では、参加企業の皆さまにヒアリングを行い、エシカル消費に関する企業課題の整理を行いました。その中から、いくつかポイントをご紹介します。

『エシカルフード』への取り組み状況
・ プラスチックを減らす、再生紙やFSC認証の紙を使う、リサイクルできるようにするなど、商品の包装材についての取り組みが進んでいる
・ 食品カテゴリの中では、チョコレートやコーヒーでの取り組みが先行している。フェアトレードやレインフォレスト・アライアンスなど認証が付いた商品があるので消費者へもわかりやすいため、企業も取り組みやすい
・ パームオイル、コーヒー、カカオなどで調達ポリシーが制定されている企業もあるが、最終商品ではその情報をパッケージなどに表記はされていない。商品パッケージのスペースは限られているので、伝えきれていない
・ 環境負荷については、工場や事業所単位で取り組みがされているが、個別の商品単位では算出するのが難しい

『エシカルフード』の消費者への伝え方
・ 環境によい、フェアトレードある、などエシカルな側面だけではなく、おいしさや利便性など消費者にとってのメリットも必要だと考える企業が多い
・ 商品の持つストーリーや価値を、どう伝えていくかが企業側の課題

流通企業・メーカー企業間の課題
・ 流通企業側は、消費者のため店舗のため売れそうな商品を仕入れる必要がある。そのため、メーカー企業がエシカルな商品を作っても、流通企業では売れそうかどうかを考慮しなければならない場面もある。持続的にエシカルフードが製造され、流通するためには、市場自体の伸びも必要になってくる

課題整理を受けて、改めて研究会参加者の皆さまから出たご意見を紹介します。

・ ある企業が先んじて取り組んでも、商品が高くて、買わない、売れない、続かない、広がらないというのが順番。環境に対していいことをしようではなく、お客さまにとって楽しく、結果的に環境につながっている、という最初のステップが大事。(メーカー企業)

・ コーヒーやカカオのように天然品を訴求するような製品はイメージしやすい。逆に加工度が高いものはどうしたらいいのかというところがある。環境面での価値はあるが、なかなかお客さまには遠いので、共感を得られるような価値と両立させることが必要。(メーカー企業)

・ 商品の社会価値をお客さまの選択肢に入れていただけると非常にやりがいが出る。商品ストーリーをどう伝えていくか、お客さまに何をわかっていただくとお客さまにとっての価値になるのか、この辺りが課題と考えている。(メーカー企業)

作る→売る→買う の循環を作っていくためにも、消費者にとって魅力的な商品であることが必要です。そこでエシカル消費研究会では、「消費者へ向けてどのような価値をどう伝えていくべきか」をテーマに研究を進めていきます。

2. 「明治 ザ・チョコレート」を題材にしたケーススタディ

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次に、「明治 ザ・チョコレート」を題材にしたケーススタディの分析結果を報告しました。
「明治 ザ・チョコレート」は、カカオ豆からチョコレートに至るまでのさまざまな工程にこだわり抜いたBEAN to BARチョコレートです。また、カカオ農家の支援などサステナブルな取り組みをされていることも特徴であるため、エシカルな商品の例として取り上げました。

この「明治 ザ・チョコレート」と同程度以上の高価格帯チョコレートを購入している人と比べて、「明治 ザ・チョコレート」購入者にはどのような特徴があるのかを分析することで、エシカルフード購入者像を探る手掛かりとします。食品、日用品等の購買傾向を元にした行動面の他、アンケートも行って意識面も分析しました。(※)

そこから見えてきた傾向として、「明治 ザ・チョコレート」購入者は、次のような特徴があることがわかりました。

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これに対して明治さまからは、

『まさしく分析されていた結果が「明治 ザ・チョコレート」の購買層として想定していたものだった。商品のコンセプトはカカオ農家の支援だが、最初に手に取っていただくためにおいしさ、特別感、贅沢感に焦点を当ててコミュニケーションした。コミュニケーションの情報の深度は段階を経る必要があり、まずは手に取って、食べて、おいしいと思っていただかないと買っていただけない。その後ロイヤルユーザーとしてファンになっていただくために、商品の原材料やモノづくりのフィロソフィーを、より深いコミュニケーションとして展開してきた。いかに飽きを感じさせず取り組みへの理解を深めていただくかのバランスが、エシカル消費を推進していく商品の難しいところになるのではないかと思っている』

というコメントをいただきました。

また、それ以外の参加者のみなさまからも、こちらのような感想をいただきました。

・ データを見ているとエシカルなことを意識している方と、自分のご褒美消費で買っていたり、クラフトっぽいものを好きだったり、おしゃれな製品だというところに魅力を感じている方と混在しているなと思う。(メーカー企業)

・ 例えばエシカルへの興味が本から始まって理解が深まって日用品や食品を買うのか、実際に食品で試して行動から入って、理解して、いろんなところに広がっていくのか、こういったところは属性や人によって違うと思うので、より読み解いていけると今後の取り組みにつながると思う。(メーカー企業)

今回は1つの商品を題材にしましたが、チョコレート特有や商品特有の要素もあれば、広く応用できる要素もあると思われます。

エシカル消費研究会では、今後、消費者インタビューなどを通じて、「消費者へ向けてエシカルフードのどのような価値をどう伝えていくべきか」をテーマに研究を進めていく予定です。今後も進捗状況についてはこちらでレポートしていきます。


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