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エシカル消費のマーケティングフレーム ーエシカル消費研究会第5回レポート

こんにちは。「Tカードみんなのエシカルフードラボ」事務局です。
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」では、食の領域を中心とした生活者のエシカル消費に関してさまざまな視点で研究開発し、その成果を発表していく「エシカル消費研究会」を立ち上げました。
2023年3月2日、流通・メーカー・専門家が一堂に会し、第5回の研究会をオンラインで開催しましたので、その様子をお伝えします。

前回の様子はこちら

第5回「エシカル消費研究会」の参加企業 ※五十音順
・味の素株式会社
・株式会社こだわりや
・ハウス食品グループ本社株式会社、ハウス食品株式会社
・株式会社ファミリーマート
・明治ホールディングス株式会社
・河口真理子さん(立教大学・不二製油グループ本社株式会社)
・佐々木ひろこさん(一般社団法人Chefs for the Blue)
・山本謙治さん(株式会社グッドテーブルズ) 
ほか1社 

1. エシカル消費におけるマーケティングフレーム

前回第4回の研究会では、エシカル消費における消費者ステイタスについて、仮説としての態度変容ステイタスを示し、参加者でのディスカッションを行いました。
第4回研究会で出た意見を踏まえて仮説検証調査を行い、その結果をマーケティングフレームに反映しました。図中のパーセントは2023年1月時点での各ステイタスの構成比を表します。また、赤色の吹き出しは各態度変容を促す際のキーポイントになる事柄です。

エシカル消費のマーケティングフレーム

検証調査の結果からわかったことを整理します。
各ステイタスのボリュームは依然エシカル認知なしが6割以上を占めています。認知ありの中では、理解8.2%、不明瞭26.6 %で、実践ありは合計して15.2%でした。
実践ありの中で、理解ーいつも(Ae-1)の層は、理解ーときどき(Se-1)と比べて平均世帯年収は低いものの、男性、未婚者、ひとり暮らしが多く、可処分所得が高い可能性が考えられます。
 
認知なしから認知ありに至る態度変容では、テレビ、インターネット記事、新聞などメディアに次いで、流通やメーカーの情報発信がきっかけとなっていました。また、不明瞭から理解に至る態度変容では、インターネットを中心に自主的な情報収集がその要因となっており、自分の生活とどう関わるのか知りたい、理解が不十分な部分を知りたい、自分の生活を豊かにしたい、などとともに、知的好奇心の刺激がその原動力となっているようです。
 
実践なしから実践ありへの態度変容では、「食品ロスへの関心」がボリュームとして最も多くなりました。生活に直結するイシューであることとともに、消費者にとって追加のコストが発生せず、経済的メリットも得られるためと考えられます。その一方で、理解-いつも(Ae-1)、不明瞭-いつも(Ae-2)のステイタスでは、「エシカルへの共感」が食品ロスよりも高く、エシカルという概念自体が訴求ポイントとして有効であることが示唆されました。
また、おいしい、健康によい、と思って買っていた商品がエシカルだと後から気づいた人も、ボリュームとしては15%ほど存在しています。また、普段買っている商品が実はエシカルな商品だったとしたらどう感じるかを聴取すると、エシカル認知なしや実践なしの層でも6割前後が今後エシカルを意識して食品を買ってみたいと答えているため、購入した商品がエシカルだと知らせることは、実践者の増加やその商品自体のリピート購入にも有効であると考えられます。

2. 参加者からのコメント

こうしたマーケティングフレームを元に行ったディスカッションで、参加者から出たコメントを紹介します。

・何百と商品がある中にエシカルな商品が混ざると選ばれるのが難しいが、エシカルな商品をまとめて規模感の中で展開していくのが近道ではないか。より興味を持てるような、理解したくなる仕組みを用意していかなければならない。原料である農産物が、どんな人たちに、どんな苦労で作られているのかまだ知られていない。それを訴求して購買接点と連動しながら進めていけるとよいと思う。(メーカー企業)
 
・メーカーも情報発信しながらエシカルを普及啓発していくのが重要ではないか。社会課題はマイナスの情報なので、今まではあまり発信していなかったが、それでは伝わらなかった。社会課題をみんなが理解するとそれを解決するにはどうしたらいいかという意識に繋がる。課題があることから伝えていくことが必要だと考えている。(メーカー企業)
 
・テレビの力は未だ強いと感じている。最近もテレビで取り上げられたものの売上が上がっている。そんな中で、若い世代には環境についての教育を受けた人が出て来ているのではないか。(流通企業)
 
・中学生からエシカルな取組について質問が来ている。学校で習って企業に問い合わせをする宿題が出ている様子で、学生は「エシカル」という言葉を使っている。学校教育での認知はかなり上がっていると感じる。(流通企業)
 
・現在各社が食品の値上げをしているが、値上げのタイミングは新たなことが出来るタイミングでもある。同じ値上がりならエシカルな方を選ぶ、という展開も考えられるのではないか。(流通企業)
 
・食品ロスは家計にもお得感があるが、それ以外のイシューはお得にならない。消費者のコスト増になることを情報番組では伝えにくい。しかし消費者が知るべきことでもあるので、その難しさを超えて番組を作ろう、となるように、メディア関係者向けの勉強会ができるとよいのでは。(有識者)
 
・食品ロス以外にも様々なイシューがあることをメディア関係者にも伝えることが必要ではないか。様々なメーカーがそれぞれ関わることができるイシューは違うが、それぞれのイシューを「エシカル」で束ねて伝えることができれば、メディアも幅を持った伝え方ができるようになるのではないか。(有識者)

今後も進捗状況についてはこちらでレポートしていきます。



※CCCMKホールディングスでは、セキュリティ上厳重に管理された環境のもと、個人を特定できない状態でマーケティング分析を行っております。



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