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『ドライブ・マイ・カー』の映画感想まとめ

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「#ドライブ・マイ・カー」で投稿された作品をまとめるマガジンです。
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記事一覧

ドライブ・マイ・カーを観た

今更だけど、ドライブ・マイ・カーを観た。 サントラの曲が気に入ったので、観ようと思って。ジム・オルークがアレンジした(と思われる)曲が、どう使われているのか観たかった。 夜に観始め、寝てしまい、起きたり寝たりを繰り返し、気付いたら終わっていた。どんな話だったのだろうと思って、作品の紹介を見たら、主人公の妻が死んだとあり、妻が亡くなっていた事すら気付いていないことに気付き、また観始めた(結構始めの方で亡くなっていた)。が、ほどなく、また寝てしまった。 主人公とその妻の性的

【映画解釈/考察】『寝ても覚めても』/『ドライブ・マイ・カー』「不条理な世界の存在として、それでも言葉の世界で生きようとする者たち」

『寝ても覚めても』(2018)濱口竜介監督 『ドライブ・マイ・カー』(2021)濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』を扱った以前の記事で、『ドライブ・マイ・カー』は、不条理な世界を認めざるを得ない一方で、それでも言葉による新たな物語を創出して生きていく人々を描いた物語であるという解釈をしました。  そして、『ドライブ・マイ・カー』を見た後、再度、『寝ても覚めても』を見返してみると、非常に多くの共通点を発見することができ、『寝ても覚めても』は、『ドライブ・マイ・カー』に直接影

欧米映画への感性を磨きたい方へーカイエ・デュ・シネマの「作家主義」という本

◆「カイエ・デュ・シネマ」って知ってますか。 映画を受け止めるには知識も必要、私は常々そう思っています。 去年オンラインの勉強会で「カイエ・デュ・シネマ」という雑誌の存在を学びました。戦後間もない1950年頃にフランスで創刊された雑誌です。「作家主義」という考え方を提唱したのは映画史への大きな貢献ではないかと私は思います。 そのカイエ・デュ・シネマがかつて世に送り出してくれた「作家主義」という本が2022年4月に復刊しました。「体系的に欧米映画を知りたいな」「欧米映画へ

『ドライブ・マイ・カー』は観る者の中で「成長していく」豊かな作品だ

文=SYO @SyoCinema  第74回カンヌ国際映画祭で脚本賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、AFCAE賞の4冠に輝き、第94回アカデミー賞では作品賞を含めた4部門にノミネートされ、国際長編映画賞を受賞した『ドライブ・マイ・カー』が、7月23日(土)にWOWOWで初放送を迎える。これを記念して、濱口竜介監督特集や西島秀俊出演特集の放送も決定。日本映画の歴史を変えた本作に至るまでの両者の軌跡を楽しんでいただきたい。  『ドライブ・マイ・カー』がどういう

ドライブマイカーの渡みさきの生い立ちの謎について考察してみた

ドライブマイカー。言わずと知れたアカデミー賞の外国語映画賞でグランプリを受賞した作品です。 私は濱口竜介監督のファンであり、この作品もすでに4回映画館で鑑賞しており、大好きな作品でございまして、 本日聖地の赤平まで彼女とドライブをしてきたわけですが。 今日のドライブ中に自分の恋人のふとした発言から、この物語の真相にかなり近づけた気がしている。 彼女いわく、「みさきの母親はすすきので働いてるのに、なぜ赤平から片道3時間くらいかけて毎日仕事に行くんだろうね」とのこと。 これ

オオナリ・ミーツ・ハマグチ

某カフェ(以下「Kカフェ」とする)の階段を上り、Bランチ(カレー)とアイスライチ茶を注文し、いちばん奥のカウンターに座ると、マスターはどうやら鼻声だ。風邪か、花粉か、鼻炎か。最近は昼と夜の寒暖差が激しい。体調を崩すのも仕方がないですよね…なんて話していると、マスターがあることを告げた。どうやら濱口竜介がこの後Kカフェにやってくるらしい。偶然だ。 濱口竜介というと、映画監督であり、それもただの映画監督ではなく今の日本映画を引っ張ってゆく第一人者と言っても過言ではないほどの映画

#324 ふみはんとの超雑談17 私たちは他者になれるのか? 感想

主にメタバースについての超雑談でした。 ふみはんさんが、メタバースを実際に体験されていることが流石、行動力高くて素晴らしいと思いました✨ 自分なりに理解したい姿勢と最後の問いも共感しました。 Voicyプレミアム放送なので、あまりネタバレにならないように、感想だけ書かせていただきます。 VR空間では、声は変わらない問題... 音響的存在としては、キープされるところを 声調整をかけるか否か、 聴き慣れてる荒木マスターvoice 笑 『自分の頭で考える読書』もマスターの声で脳

繊細な脚本と演技で、原作を補完した作品 映画『ドライブ・マイ・カー』評

*映画『ドライブ・マイ・カー』評。ネタバレあり。約2400文字。5分割ごとに印をつけています。 (1/5)  私は、原作『女のいない男たち』を読んでから、映画を鑑賞した。この批評文はそれを踏まえて書かれたものだ。  原作『女のいない男たち』は短編の連作集である。基本はどれも恋愛小説だ。そして、そこにおける一番のテーマは『喪失』である。  しかし、映画は原作とは、その軸足を変えている。  映画版では、原作とは違い、恋愛小説という側面は薄れ、「男性性」や「ジェンダー」を描くこ

ドライブ・マイ・カーはひらめきだらけ

映画「ドライブ・マイ・カー」、ご覧になりましたか? (誰に話しかけているか謎ですが) わたしは、すきすぎて映画館で2回観ました。 3時間の長編とは思えないほど、映画の中に吸い込まれていき、一緒にロードトリップしているような気分になる映画でした。 とってもすきな映画のひとつになりました。 映画を観た友人たちと話していると、これでもかというほど、みんなの着眼点がちがう! それがまた、本当におもしろい! ドライブ・マイ・カー談義をしたいほど。 ・・・と、今回のnoteタイトル

三浦透子さんを悪女にするのはヤメテww第19回「果たせぬ凱旋」見どころ振り返り!【鎌倉殿の13人】

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第19回の感想です。 (※以下、ネタバレ注意) いやぁ、今週インパクト強かったのは、義経の正室・里(史実では「郷御前(さとごぜん)」と呼ばれていたらしい)ですよ。 彼女は今回の放送で、義経の寵愛を受ける側室・静御前に嫉妬するあまり、土佐坊をけしかけて京の義経邸を襲わせるわけですが。 「義経さまは傷つけちゃダメよ!女は殺していいわ!」 なんて。いやぁ、演じられていた三浦透子さん、スゲー嫌な役だなぁwwwwやめてくれよ、三浦透子さん大好

サウンドトラックと調和

4月11日 那須塩原駅に到着した。 駅を出ると、何も無く駅の周りに小さな建物が数軒あるだけでその向こう側には畑が見えた その数件ある建物の8割はレンタカーショップで 競合レンタカーが7軒程連なっていた そこで既に予約していた安いレンタカーショップで車を借り走り出すと、カーステレオにはBluetoothすら付いていなかった。 数日前にドライブマイカーを見ており、そのサウンドトラックを流しながら走りたいなと思っていた為少し残念な気持ちで、アクセルを踏んだ。 しかし、窓を開け

【ディスコミュニケーションとは】 映画 「ドライブ・マイ・カー」

 私の言葉が通じないのは、いつものことだから。 様々なレイヤーでの、ディスコミュニケーションのお話だった。 抑揚のない本読みで、言葉を落とし込んでいく舞台稽古。 言語が異なる為、意味内容で次の話者が話すタイミングを図ることができない。だから、コツン、とゲンコツで机を叩いて自分のセリフが終わったことを合図する。 テープに吹き込まれた自分以外のセリフを流しながら、自分のセリフの練習をする演出家。うまくいけば、息遣いから何から、掛け合いがピッタリと合う。 その声の主はもう

映画鑑賞「ドライブ・マイ・カー」を見て思ったこと

こんにちは、しきです。 久しぶりに映画館に行きました。 いつぶりだろうと振り返ったのですが、多分、最後に映画館で見たのは「TENET(テネット)」(2020年9月公開)なので、1年半以上振りでした。 今回見にいったのは、親しくさせていただいている経営者、向山かおりさんが激推しされていて気になった「ドライブ・マイ・カー」です。 鑑賞前の印象原作が村上春樹さんということで、小難しそうな話だなあということ。 また、岡田将生くんが出ていて、個人的にかなり好きな役者さんで舞台出演作品

映画🎞『ドライブ・マイ・カー』監督.濱口竜介/原作.村上春樹/チェーホフ

『ドライブ・マイ・カー』 2021 :179分 監督   濱口竜介 脚本   濱口竜介、大江崇允 原作   村上春樹『女のいない男たち』文藝春秋 出演   西島秀俊、三浦透子、岡田将生、霧島れいか ずっとチェーホフ。ずっと戯曲。 冒頭の棒読みの台詞に違和感がありましたが納得。 そういうことだったかあ... 。 原作から膨らませた映像の世界。感動の余韻がいい。チェーホフの台本読みの稽古から開幕まで途切れ途切れで進行しますが、まるでチェーホフの『ワーニャ伯父さん』を最後まで