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お客様と一緒に、ブランドをつくる。noteを使ったコミュニケーションで気付いた価値とは

投資信託「ひふみ」シリーズを運用する、資産運用会社レオス・キャピタルワークス。お金や投資について身近に感じてもらうためのコンテンツを「ひふみラボnote」で発信しています。そしてこれまでに2回、ブランディングやPRの目的で、noteを利用した投稿コンテストを開催してきました。

なぜ資産運用会社がnoteで情報を発信するのでしょうか。そしてコンテストを実施することで得たものとは。常務取締役総合企画本部の白水しらみず美樹みきさんと、マーケティング部の赤池あかいけ実咲みさきさんにお話を伺いました。

世界観の合う場所で情報発信を

ーーレオス・キャピタルワークスさんがnoteを始めたきっかけはなんですか?

白水 もともと弊社の藤野(英人、レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長)が、加藤(貞顕、note社代表)さんがnote社を創業する前からの知り合いで。そのため昔からnoteを知っていて、その理念に共感していたというのが根っこの部分にあったんです。

noteのイベントに藤野が登壇させていただく機会も何度かあってnoteに触れるうち、私たちが目指している世界観と、noteのユーザーさんとの相性が非常にいいと感じたんです。だとしたら、私たちが世の中に伝えたいことをここで発信すればいい、と考えたことがきっかけでした。

レオス・キャピタルワークス 常務取締役 総合企画本部長
白水 美樹さん

はじめてnoteでコンテストを開催して

ーーあらゆるブランディング・マーケティング施策があるなか、なぜnoteでコンテストを開催したのですか?

白水 最初の投稿コンテストは、私たちのメインプロダクトである「ひふみ 」のリブランディングをした直後だったんです。「ひふみ」は新たに「次のゆたかさの、まんなかへ」というブランドメッセージを掲げました。そんなときに、次の時代のゆたかさを私たちが一方的に提案するのではなくて、お客様といっしょに考えていきたいと思い、noteを選びました。

白水 人によってゆたかさの定義って異なると思うんです。いろいろな人のゆたかさに触れることで、自分のゆたかさに対する考えが変わったり、選択肢が増えたりするきっかけにもなるんじゃないかと思いました。

ーー「#ゆたかさって何だろう」というお題を選んだのはなぜですか?

白水 「次のゆたかさの、まんなかへ」というブランドメッセージに関連したお題を設定したいと考えていました。

そもそも私たちは金融商品をお客様に提供しているんですが、ただお客様をお金持ちにしたいわけではないんですね。お客様のお金で投資した会社が新しい商品を作ったり、新しいサービスを始めたり、それに伴って新しい雇用が生まれたり、と回りまわって私たちの生活がゆたかになっていくという経済循環を起こしたいと考えています。

しかし当時「ゆたかさ」という言葉を使う企業やプロダクトって、多くなかったんです。そもそも「ゆたかさ」って少し難しくて、「誰が見てもゆたかだよね」という状態とはちょっと違い、お客様ひとりひとり違うのかなと考えていました。「#ゆたかさって何だろう」にすることで、投稿してくれたその人なりのゆたかさに触れられたらいいな、と思いました。

結果的に想像以上の投稿数があって、たいへん驚いたのをおぼえています。もしかしたら、お題を疑問形にしたことがよかったのかもしれません。そして私たちも「ゆたかさ」の定義って、これほどまでに広義なんだと嬉しくなりました。

クリエイターの作品から、伝えたいメッセージが広がっていく

ーー2回目のコンテストは、どのような目的で開催したのでしょうか?

赤池 今回は、私たちが協賛した映画『異動辞令は音楽隊!』、note、当社の3者共催でコンテストを実施しました。1回目のコンテストは商品のリブランディングに合わせて、マーケティングの一環で開催しましたが、2回目は映画のPR目的です。

レオス・キャピタルワークス マーケティング部
赤池 実咲さん

ーーお題は、どのように選びましたか?

赤池 この映画は、「自分が意図していなかった困難に直面した時に、どう乗り越えるか」が描かれている作品です。映画のPRですので、もちろんこの映画を通して伝えたいことを踏まえたお題にするという前提がありました。

実は1回目のコンテストをしたのは、新型コロナウイルスが日本で広がり始めたときなんです。これからの生き方を考えるという意味でも「ゆたかさって何だろう」というテーマが響いたんだと思うんですけど、2回目は比較的コロナが落ち着いてきたタイミングでした。

当時、新型コロナの影響で失業してしまった人がいたり、経営が苦しくなった飲食店の方がいたり、困難な状況に置かれた人がたくさんいたと思うんですね。

私たちが伝えたい投資って、お金だけではなく、何かにチャレンジすること全てだと思っているんです。そこでできたのが、「#一歩踏みだした先に」というテーマです。

赤池 ただ、「挑戦」とまで言ってしまうと、少しハードルが高くなってしまいますよね。多くの方に参加していただきたかったので、お題設定は非常に悩みました。いろんなワードを整理したり、くっつけたり、を繰り返して、辿りついたのが、このテーマだと思います。「一歩踏みだす」なら、簡単な身近なことを決めるのも一歩と言えます。

ーーこのお題を選んで、どうでしたか?

赤池 集まった作品を読んで、本当にさまざまな一歩を皆さんが踏みだしていたことを教えていただきました。仕事のことだったり、家族のことだったり。大きなことも小さなことも。今もきっとどこかで一歩踏み出している人がいるんだなって思うことができるコンテストでした。

白水 私たちが映画を通して伝えたかったことを、みなさんに言語化してもらえたような気がしましたよね。

コンテストでたくさんの記事を読むと、視野が広がっていく感じがするんです。人間の視野って意外と狭くて、自ら広げにいかないとなかなか広がらないのではないでしょうか。でもコンテストをしたり、noteで情報を発信したりしていると、いろいろな考えがあるということを知ることができて、自然と視野が広がっていく感じがします。

たくさんのクリエイターと出会って気付けたこと

ーーコンテストでは、クリエイターが書いた参考作品を読むのが好きな方も多いようです。

赤池 2回のコンテストで合計6本の参考作品を書いていただいたのですが、どれもすばらしくて、とても共感する内容でした。例えばうえはらけいたさんの「やまむーと僕たちの密かなる挑戦」は、自分ではなくても、誰かが得意なことをするとまわりに良い影響を与えていくことについて書いてくださいました。

会社も一緒で、私たちの会社だったら投資された資金を運用をする人がいたり、noteにコンテンツを書く人がいたり、もちろん管理部門の人がいたり、多くの人がいて成り立っているというのを再認識させられました。他の方の作品にも、それぞれ共感できたり考えさせられたり、本当に読み応えがありました

白水 2回のコンテストとも、審査員の方々にもたいへん恵まれました。とくに私は、以前から株式会社わざわざの平田はる香さんのファンだったので、審査員になってくださった時はとても嬉しかったです。

ーーコンテスト中にやって良かったことはありますか?

赤池 今回も前回も、多くの社員に協力してもらって、個人個人で好きな記事をnoteで紹介していったんですね。そしたら、それに反応してくださる方がたくさんいたんです。コンテストをやるにあたって、一方的に投稿してもらうだけではなくて、交流しながら一緒に作り上げている実感がありました。そんな中で、普段はなかなか触れることがないクリエイターの皆さんに出会うことができたのもよかったです。

ーー会社の皆さんの反応はどうでしたか?

赤池 私たちは普段からnoteを書いているので、noteにどんな作品があるかをある程度知っていたのですが、社員の人たちはひふみラボ以外のnoteに触れる機会ってそれほど多くないので、いろいろなクリエイターさんや作品を知るいい機会だったんじゃないかと思います。

あとは、社員がどの記事を紹介するかを見ていると、結構人柄が出るなあと思って。この人はこういう部分を魅力に感じるんだと、一緒に働いていてもあまり見られない部分を見ることができました(笑)

▼社員のみなさんを巻き込み、コンテスト期間中に投稿作品をピックアップ

noteは「学んでもらおう」ではなく「一緒に学ぼう」

ーーnote以外の場所でも情報発信をされていますが、運営体制やメディアごとの使い分けはどのようにされていますか?

赤池 今は編集部としては2、3名で運営しています。全員、他の業務を行ないながらnoteになんらかのカタチで携わっています。企画は基本的に編集部が行なうのですが、社内でも発信したいことがある人が多いのでその都度話し合って決めています。1人につき2、3連載担当していて、それを順番に掲載している、という感じです。記事テーマによっては専門のライターさんにお願いすることもあります。だいたい、半分ぐらいは社内で記事を書いているでしょうか。

note以外では、自社のWebサイトとYouTubeも運営しているのですが、その中でnoteは、認知の拡大とブランドへの共感というポイントを担っています。投資ってハードルが高いイメージがあるので、noteのカラーにも合わせて、柔らかい文章で親しみやすい内容を意識しています。あとは、「学んでもらおう」ではなく、「一緒に学ぼう」という姿勢でコンテンツを発信しています。

白水 自社のWebサイトにもひふみラボがあって、そちらはもう少し投資について勉強をされている方向けに運営しています。noteも初級者向けというより、経済全体を緩やかにお伝えしているイメージですね。そこで問題提起をしつつ、ディスカッションを広げていくマテリアルのようなものだと思っています。

ーー最後に、今後さらにnoteで挑戦したいことはありますか?

赤池 noteのクリエイターと「一緒に何かする」という軸で企画を考えていきたいですね。

白水 「子どもに伝えたい、お金のこと」という連載があるんですが、これもまさしく「一緒に学ぼう」と思って作っています。いざ子供が大きくなった時に、お金のことを知らないとだまされたりするかもしれない。子供にどうやってお金のことを教えたらいいんだろう、という内容の連載ではあるんですが、親御さんも一緒に学べる内容になっています。この連載が、親子でお金について話すきっかけになってほしいという思いも込められています。

赤池 すべてのコンテンツに共通するんですが、私たちから「これが正解」ということを言いたくないんです。自分で考えて、共感して、納得したものを生活に取り入れていただきたい。その選択肢の幅を広げるお手伝いができるコンテンツをこれからも発信していきたいと思います。


■プロフィール
白水 美樹

レオス・キャピタルワークス株式会社 常務取締役 総合企画本部長
三菱UFJモルガン・スタンレー証券にて株式トレーダー、ソニー生命保険を経て、楽天証券の創業より勤務。サービスから企画・管理まで、長年インターネット証券業務に携わった後、2008年レオス・キャピタルワークス入社。2009年取締役就任。2020年11月より現職。

赤池 実咲
レオス・キャピタルワークス株式会社 マーケティング部
地方銀行にて投資信託や保険のコンサルティング営業を担当したのち2018年4月にレオス・キャピタルワークス入社。コミュニケーション・センター部で顧客の取引管理等に従事。2020年7月よりマーケティング部にてコンテンツやイベントの企画・ディレクションを担当。セミナー・イベントではMCも務める。

■アカウント紹介
ひふみラボ note
投資信託「ひふみ」を運用するレオス・キャピタルワークスの公式noteです。ちょっととっつきにくいと思われがちな「投資」のこと、「お金」のこと。本当の楽しさ、おもしろさを伝えたくて、あれこれ研究していきます。


interviewed by 須賀原優希 text by 大熊信


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