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グラシアス

のたりのたりのなまけもの 2021.9.13

私たちが住んでいる町コロンは、
緑深い山の麓のこじんまりとした長閑な町だ。

二本のメインストリートまでは
家からのんびりゆっくり歩いて15分。

小さな公園、多目的広場、食堂、公民館、教会、スーパー、カフェ、レストラン、銀行、雑貨屋などなどが集まる。

生まれるよりも遠く昔に暮らしていたどこかの町のような、
懐かしい温もりを持った町。

人間の営みの根源のようなものが、町のそこここに漂っている。

この町に暮らす人々は皆とても優しい。

到着した夜に、コミダ(ご飯)を用意してくれていた大家さん。

いつも何かと気にかけてくれて、
お喋りしたり色々なことで助けてくれる、
お隣に住む大家さんの息子さん夫婦。

夕食に招待してくれる、
お隣のおじいちゃんとおばあちゃん。

目が合うとニコリと笑って挨拶をしてくれる、道行く人。

ほぼ毎日行く公園で坊が水遊びをしていたら、
いつもニコニコ挨拶をしてくれるお掃除屋のセニョールが話しかけてくれた。

「やぁ、かわいいねぇ!何才だい?」

スペイン語があまり分からないなりに、
彼が言っていることが大体わかって会話のキャッチボールが成立する不思議。

彼の名前はフレディさん。
この仕事をもう22年やっているそうだ。
広東料理が大好きで、奥さんは三つ子で(多分)
そして女の子と男の子、2人のお子さんがいるそうだ。

そんなフレディさんが去る時
坊がすかさず
「Bye!! Gracias!!」と言う。

お店で何か買って物を受けとる時にレジの人に
「Gracias!」
ウーバーを降りる時に運転手さんに
「Gracias!」

フレディさんも、みんなみんな
「Con gusto!!!」とニッコニコで返してくれる。

Gracias グラシアス ありがとう

これが、
この優しい町で坊が
一番最初に言えるようになった
一番大切なスペイン語。


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