記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

最近読んだ本の感想「超圧縮 地球生物全史」

最初に、地球誕生から消滅までの時間軸を確認しておこう。
地球が誕生したのは、45~46億年前、生物が誕生したのが37億年前。今後5憶年で微生物だけの世界に逆戻りする。50億年後には太陽が膨張し地球がのみこまれる。

途方もない時間をかけて、バクテリアのような単純な生物から哺乳類へと進化していきます。その間に生物は氷河期や隕石落下などの試練に遭遇しますが、一部の生物はなんとか生き延びていく様子が描かれています。邦訳につけられた挿絵(ティラノサウルス・レックス、始祖鳥、リストロサウルスなど)が、イメージをふくらませてくれます。
下記は本書をもとに、特定生物の誕生や獲得した機能に注目して記述しており、その分部に〇をつけて太字にしています。また、進化の過程で生物を絶滅においやった氷河期などについては触れていません。

<生物誕生から現在>

〇37億年前には最初の生物があらわれた。→シアノバクテリア
 このころの大気には酸素がほとんどない。
〇シアノバクテリア誕生から数十億年後、核をもつ細胞の出現。
 超大陸ロディニアの分裂は8憶2500年前にはじまる。
〇4.6億年前、ミミズの誕生で生物に消化管ができた。これにより海は浄化され、酸素も増えていく。
〇カンブリア紀(5.4億年~4.8億年まえ)には、目をもった三葉虫があらわれる。
 目という重要な機能を獲得。目のありなしは大きな差です。
 生物は食べられないために鎧をまとったが、別の方法もあった。「逃げる」 尾をもった生物があらわれ、そのつぎには
〇約5億年前、その尾を前へ進むちからにするため脊椎ができる。→魚類
〇脊椎動物の進化の過程で捕食者は、顎(アゴ)を持つ
 4億年前にはヒカゲノカズラが登場し、大量の酸素をつくりだす。
 三畳紀の初期、多種多様な爬虫類があらわれるなか
〇一部の系統の生物は小型化し、毛むくじゃらになり、暗がりに潜り込み、夜行性の哺乳類への進化していた。→哺乳類誕生
 恐竜は2億3000万年前頃に現れた。有名なものは、ティラノサウルスで長い尾を空中にうかせ、後ろ脚だけで歩いた。獲物から血まみれの肉塊をかみちぎり、肉も骨も装甲も鎧まですべてを丸のみにした。
 デボン紀(4.2億年前~3.6億年前)の甲冑魚の体のなかには後頭部に左右1本ずつ、対になった骨があった。これが内耳となり魚の姿勢制御に欠かせないものとなり、のちに生物が上陸をはたしたとき
〇これが鼓膜となった。
 肉や脂肪を食べるヒト属は、歯も咀嚼筋も小さくなった。そして、
〇節約したエネルギーは、脳を大きくするために使われ、
〇節約した時間は食べ物を集めたり噛んだりする以外のことに使われるようになった。
  現在、牛などの草食動物の生命維持のための食事時間が5~7時間かけているところ、ヒトは3食で1.5~2時間でしょうか。あいた時間を文化的なことに使うことができているわけです。
 50万年ほど前に、ヨーロッパ北部と北アメリカが氷にあえいでいた時期にそれまで活動してきたヒト属はきえ、ホモ・エレクトゥスが表舞台に登場した
 脳を動かすにはエネルギーがたくさん必要だ。脳は体重の50分の1の重さしかないのに、利用可能なエネルギーの6分の1を消費している。
 そして持久走にすぐれていた。ホモ・エレクトゥスは非常に忍耐強く大きな獲物を、長時間にわたりおいかけ、獲物が熱中症で倒れるまで追い続けた。
〇毛がすくなくなったこと、汗腺があり体を冷やすことができたからだった。
 ただ、狩りは数人がかりだったため、集団で協力することが重要となった。
 社会性が重要になった。
〇ホモ属は、深まる氷河時代に対応するため、脳を大きくし、脂肪を蓄えるようになった。(600万~800万年前)
 今でもこの機能は残っていて、なかなか痩せられないのですね。
〇進化のある時点で、火を使うことを覚えた。(日常的に火を使っていた証拠は、12万5000年前の遺跡で見つかっている)
 火をつかわない部族にくらべ、火を使う部族は長生きしより多くの子孫を残した。最終的に火をつかわない部族はほろんでいった。
〇ホモ属の社会には「長老」という新しい階層が出現した。
 長老は文字が発明される前から、知識、知恵、歴史、物語を伝える人として重宝された。そして人間は学ぶだけでなく、教えることができる唯一の動物だと思われる。未熟な状態でうまれた子供たちは、長い幼年期をおくるたので、これらの知識を習得するのに十分な時間があった。こうして脂肪を蓄え、脳を大きくすることで、有利な立場となった。
 氷河時代が進むにつれ、ホモ・サピエンスは死に絶えていった。そして最後の生き残りがアフリカ、マカディカディ湖付近に追い詰められた。人類の起源はマカディカディ湿地帯にある。13万年前、太陽は地球を少しだけ明るく照らしはじめた。地球が何千年にもわたって経験してきた気候よりも温暖な時期が訪れた。

何億年単位で生物が獲得してきた機能を人類は受け継いでいる。その機能と気づき上げてきた文明により我々はおおくの時間を手にしている。その時間を大切に使いたいものです。戦争なんて、ばかげていると思いませんか。

<現在から未来>

 今後数千万年にわたり幾度も氷河時代が到来する。現在、私たちは、その入り口にわずか250万年ほどはいったばかりのところにいる。
 今後、数千年のあいだに、ホモ・サピエンスは消滅するだろう。
 人類絶滅の最大の理由は、人口の移り変わりがうまくいかないことだ。人類の人口は今世紀中にピークを迎え、その後減少へと転じる。2100年には現在の人口を下回るだろう。人類の活動によって地球が受けたダメージを回復させるために、さまざまな工夫がなされるだろうが、人類は、あと数千年から数万年以上は生き残れないだろう。
 8億年後の世界、地表に生命はいない。

37憶年かけて、生物は様々な機能を獲得してきた(目、鼓膜、顎、脊椎、汗腺など)。それを現代人は受け継いでいる。生命誕生から現在までの5度の絶滅、氷河期、隕石落下、その間に生物は進化し、食物を吸収する以外の時間を獲得し、文明を発達させ、いまや深海の底や宇宙の果てを想像することができる。この貴重な時間を無駄にしてはならないとおもうし、戦争で傷つけあってはいけないと思う。人類は絶滅にむかっているということだけれど、存続にむけ英知を結集してほしい。

こんなこと書いていても、個人としてはあと数十年ですが。(^^♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?