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本棚の森 〜書評集〜

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動物本、動物園本を中心とした書籍のレビューをまとめました。
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#おすすめ本

リトルプレス、詩歌、いそがない(文芸アドベントカレンダー4日目)

リトルプレス、詩歌、いそがない(文芸アドベントカレンダー4日目)

 久しぶりのまとまった記事の更新です。2020年、いろいろありましたが、読書によって「いま、ここ」ではないどこかを想う時間は私にとってある種の救いでした。その中で、今まで触れてこなかった表現の世界にも視野を広げられたことが、個人的には大きな収穫だったと思っています。特に印象的だった書籍を、三冊選びました。

 今回は「文芸アドベントカレンダー」の四日目の担当として記事を公開します。ランドル・マリオ

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【ブックリスト】霊長類は……お好きですか?サルを知り、ヒトについて考える6冊

【ブックリスト】霊長類は……お好きですか?サルを知り、ヒトについて考える6冊

■「霊長類は……お好きですか?」

    動物園や水族館に意識的に足を運ぶようになってから、特に心惹かれてきたのはサルの仲間でした。

    オランウータンやチンパンジー、フクロテナガザルといった類人にはじまり、日本モンキーセンター(愛知県犬山市)を繰り返し訪問する中で、関心はヒトを含む霊長類全般へと拡大していきました。
     いつしか私の本棚の多くのスペースはサル関係で占められるよう

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【書評】Ordinary Whales ありふれたくじら vol.5 神を食べる:唐桑半島

【書評】Ordinary Whales ありふれたくじら vol.5 神を食べる:唐桑半島

すごい本に出会ってしまった。

    リトルプレスと呼ばれる小規模出版の書籍に普段私はあまり手を伸ばさない。文学フリマなどの「同人誌文化」にこそ慣れ親しんできたが、「知り合いが出展している」から、という風に「ヒト」がフックになって関心を持つことが多かった。

     是恒さくらさんの『ありふれたくじら』5巻とは、違う出会い方をした。下北沢の書店で、幻想的であたたかみのある表紙が目に止まった。こ

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