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記事一覧
【短歌】羽根はなくても
晴れたなら光が入るはずだろう津田沼パルコ曇天の下
大寒にケトル震わせ海竜の今際の声を放ちつつ朝
三万円 罰金刑に処せられるのも怖いから 束ねたら薔薇
ぬるま湯で溶いたじごくにまみれそう やわこく地獄、めんこく地獄
板橋と呼んでほとんど差し支えないほど北の、そうなの、来たの
さざんがく、さざんがくって唱えたら散々な夜にひらくさざんか
豆の数だけ歳を取り 鳩、ぼくら、よわよわしくていい、と
【短歌・自選百首】幻猿図鑑
むかしむかしあるところにはあるという愛を探した柴刈りでした
世界一美しい猿も水辺にてわれは猿だと思うだろうか
海獣の骨格だけが知っているかつて入江であった日のこと
パーで勝つ。パイン、パインと歩みよる。ち、よ、こ、れ、い、と、を、ぼくにください
翼よ、とリンドバーグになり切って指差す名無き街や街の灯
カテーテルつながれた駅 地下鉄も持病抱えて走り続ける
【取り急ぎ】【至急】【緊急】わく