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noruniru
2024年9月1日 18:47
そこにいたのはたった2ヶ月なのに、まるでフィルムが掠れたホームビデオでも見ているかのようであった。古びた幸せがまとわりついたそれは、思い出をなぞった映像のように思えた。2ヶ月にわたる出張が終わり、ようやく東京へ帰ろうとする駅の券売機の前に立っていた。この地とようやくお別れか。と、感慨に浸る余裕もなく、また次の日はやってくる。券売機で一番端にある切符を買った。僕の身体を運んでくれるこの長い箱