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雑誌連載の漫画家になるにはどうすればいいのか

漫画家は人気のある仕事です。
漫画は世界でも人気があり、日本のサブカルチャーの根幹。
週刊誌に連載されたら一躍有名人だし、お金も沢山手に入ります。

その分目指す人も多いわけですが、大半の人はその成り方については知りません。
では漫画家になるにはどうすればいいのか。ということを解説します。

イラストレーターやグラフィッカーやアニメーターとは別の仕事

漫画は絵の仕事ではありません。絵も使う仕事。というだけで一般的なイラストとは違います。

「イラストやアニメーターの動画マンらは絵の仕事で、漫画家はストーリーが入るからでしょ」
その通り、分かりやすいです。

ところが超重要なのに分かりにくい違いがもう一つあります。それは

漫画家は保護された労働者になれない
※雑誌連載漫画家の場合のみ

という点です。
連載漫画家はイラストレーターではなく、どちらかというと映画監督と類似しています。
プロの週刊・月間連載漫画家の多くは、実際の仕事は映画監督とほとんど同じです。

むしろ週刊誌・月刊誌漫画家になるには絵を学ぶより映画を学んだほうが近道だとすら思います。

一般的な絵の仕事の99%は作業員、いわば歯車です。
プロジェクトを計画することはなく、監督やリーダー、クライアントの指示に従います。

労務管理は雇われているなら基本的に会社が行います。フリーランスであってもクライアントの指示が絶対であって、イラストレーターは専門家の立場から、それに対してアドバイスをすることはあっても、プロジェクト全体を指揮することはほとんどありません。

絵の仕事はほとんどの場合、絵描き側に裁量権はありません。
指示によって動きます。つまり労働者になれるという利点があります。
時給換算もしやすく、やることやればお金になります。

一方で映画監督や漫画家というのは、自分でプロジェクトを運営しないとなりません。

その場合、売れなかったら自己責任で、時給換算というものも成り立たず、労働者として「これだけやればこれだけ稼げる」ということはできません。
全部が運と実力と環境に左右されるギャンブルとなります。(アシスタントや業務分担がある場合を除く)

採用基準がない

上記の事情から、漫画家は採用基準がありません。

例えばアニメーターなら、専門の知識と相手が求める技術があれば、あとは人間性に問題でもなければ採用されます。

一方で漫画家は世界一絵が上手くて構図も上手くても採用されるとは限りません。一方で絵が比較的技量に乏しく経験もほぼ全くないのに即採用された例もあります(ボーボボとか)

これは、漫画家が監督であって労働者や歯車になれないところから来ています。

あなたが映画を見に行く時、どうしたら行きますか。
その映画が数百億円の宣伝費と製作費をかけているからでしょうか、その映画の監督は絵が上手いからでしょうか。

そうではありませんね。「その映画が(自分にとって)面白いかつまらないか」が最大の判断材料ではないでしょうか。

有名週刊誌の方がかつて「漫画は面白いか詰まらないかしかない」と言ってプチ炎上したことがありましたが、あれは概ね正しいです。

つまり採用者(編集)あるいは読者が「面白いかつまらないか」だけで決めていて、絵が上手いかどうかなんていうのも、面白さの一つの判断材料に過ぎません。

そして面白いか詰まらないかというのは、人と時と場合によって異なります。
だから基準はありません。アニメやイラストのように「これができれば採用」「この役割ができる人であれば採用」ということはなく、攻略法は「時と場合と運による」もので、一定の攻略法なんてものはありません。

有名週刊誌に持ち込みをして「こんなもの売れるわけがない」とバカにされた後、別の日に全く同じ漫画を持ち込んで即採用(担当者がたまたま別だった)なんてこともあります。

持ち込みをしてボロクソ言われて、隣の会社に同じの持ち込んだら採用されて世界的に有名な漫画になって、その時不採用した会社が苦しんだなんてこともあります。

このように、基準がないから評価が天と地ほど変わります。

専門学校や美大でも有利さはそこまで無い

あなたが映画を見ようと思ったとき、その映画監督が有名美大卒とか、専門卒であったとしても判断基準にはしないでしょう。
その映画が自分が好きか嫌いか、世の中の評判だとかで判断します。

立派な経歴があっても、漫画は売れるとは限りません。
専門・美大卒かなんてどうでもいいし、何なら世界的に爆売れした漫画家の次の作品が宣伝しまくっても大爆死という例もあります。

漫画において、あなたは経歴が問われません。
持ち込んだ作品がその相手に刺さるかどうかだけが重要です。

そのため、アニメーターのように専門技術が専門学校で身につき、会社とのコネもあってということは漫画家にありません。

専門学校でやってくれることは、編集者と引き合わせることくらい。それは東京近辺にいれば今日明日にも電話予約して誰でもできることです。

だからと言って、これら学校に通うことは無意味とはいいません。
技術は確かに身に付きます。

しかしアニメーター等の機械の専門技術や知識を多数必要とすることもなく、ペンとインクと紙などがあればデビューできる漫画家は、学校行ったからといって成れるものではないのです。

具体的にどうすればいいのか

これについては、長くなるのでまた別の記事に詳細を記します(よければマガジン・フォローお願いします)

簡単に言うと漫画業界はかなり古いです。
映画監督と同様に、事実上の子弟制度も健在です。平成通りこして昭和ですね。

週刊漫画家になりたいなら、まずはとにかく編集者の目に触れることです。
その中で最もダイレクトなのは、持ち込みです。

基本的には電話して予約して漫画見せてフィードバックもらう(基本1対1)です。
※コロナ禍で対応が変わっている場合もあるかも

ちなみにフィードバックですが、一定水準までは共通しています。
一定水準というのは、漫画としての完成度です。絵が下手とか、ストーリー構成が下手とか、そもそも枠のルールを守ってないとかですね。
ただ、一定水準以上になると、編集者によって発言が180度変わることもあります。

なんのために編集者っているのか

漫画は映画監督と同じで、不安定な賭け事です。

ただ、漫画家は資本や労働者を抱えているわけでもなく、最初はみんな独りきりです(合作は別として)
副業として、主婦が、学生が、修行の身が、というように何かしら本業を抱えている人たちです。

そういった人が、漫画家(個人事業主兼プロジェクトマネージャー兼監督兼作画担当)をやれるはずもなく、支援者を必要とします。
収入を確保しつつ、修行をしつつ漫画のデビューに向けて頑張る。かなり厳しいです。

そこでアドバイザーやマネージャーとして存在するのが編集者です。
もちろん編集者は漫画家の対応以外にも多数の仕事が存在するので、あくまで一場面ですが漫画家にとっては、そうです。

担当となった編集は一蓮托生です。編集側もデビューさせるかの判断を個人で決められません。
賞への応募を勧めて受賞歴を持たせ、デビューの口添えをしやすくしたり、漫画の内容を需要に合せさせて売れるようにしたりと、編集者と二人三脚になります。

漫画家の業界ではあまりできませんが、本来なら漫画家も編集を選ぶくらいでも良いほど、運命を託す相手になります。
それは、漫画家個人の力では、自分で資本を集めたり営業したりといったことが不可能だから、それら業務を委託するのです。

映画監督も自分の好きなものをいくらでも作れるかというとそうではなく、売れるための算段をつけねばならず、そのために様々な人の意見を聞き、様々な人の営業の手助けやコンサルティングを受けます。
ただ、売れなかった時の失敗はすべて自分ひとりにかかってくる点は、アニメーター等とは異なる点です。

まずは何よりパートナー(担当編集者)になる人を探すため、とにかく彼らの目に触れるところからがスタートです。

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