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なぜ日本の絵師は世界で活躍できないのか? 日本人が英語を話せない意外な理由

日本のトップレベルのコンテンツや人材は、世界で大活躍しています。分野によっては他の先進国と同水準、あるいはそれ以上の成果を上げています。

しかし、趣味やプロのクリエイターの多くは、個人で海外と繋がる機会がほとんどありません。プロクリエイターの多くは出版社や商社を通して海外に販売しており、個人で直接海外に売るのは、トップレベルの一部を除いて稀です。

日本では、大学生が「外国人向けに絵を描いて売った」だけで「すごい」と思われるほど、海外は遠い存在と感じられています。

まず絵師がそもそも海外に出る必要があるのか
実はこれは日本人が外国語が話せない理由の一つでもあります。

答えとしては「すぐに必要ない」です。

まず最初から海外狙いだとか、海外に需要が高い日本画の専攻とかでもない限り、日本の趣味の範囲の絵師さんたちは日本人に特化して日本人に受けやすい絵柄なのだから、日本で売るほうがお客さんも多くなるわけです。

ただ、現状AIイラストや中国や韓国が日本文化消費者から生産者になって参入してきていることから、需要に対して供給過多になっています。

また日本では生産過多なのでクリエイターの報酬も低くなりがちです。

海外の日本のサブカルチャーを求めて高いお金を払ってわざわざ訪日する人もいるくらいですから、ニッチであっても需要も単価も高いという例はよくあります。

そのため、海外を狙うというのも手段の一つになり得ます。

個人で海外とやり取りする場合、最も問題となるのが言語です。

翻訳ツールはありますが、海外に仕掛けて自ら売りに行ったり、個人間の絵の交換(売買)のコミュニティやサイト、アプリをそもそも発見するためには翻訳だと片手落ちになることも。

そもそも翻訳する気概を持って海外に仕掛けようと考える人もそう多くありません。
翻訳は簡単でも、翻訳してまで海外とやり取りするコストは結構大きくなるのです。

「日本語が難しいから」は嘘

日本語は世界で最も孤立した主要言語のひとつです。話者数は世界で10位前後に位置し、日本が世界に影響力を持つ国であることから、それなりのパワーを持っています。しかし、これが日本人が海外で活躍できない理由のひとつでもあります。

確かに、日本語は書き文字が一部同じである中国語とも文法からして異なります。日本語は言語学上、アイソレート(孤立言語)とされ、影響力のある言語の中で最も特殊な存在です。

もし日本語ではなく英語を学べば、文字や言語体系がほとんど共通する欧州や全世界の言語を方言レベルで習得することが可能です。

確かに、先進国や全世界で使用できる英語話者の国から言語的に孤立している日本だから、日本人が海外と交流するのは難しい。というのは理にかなっています。しかし、それは本当でもあり嘘でもあります。

同じ条件の韓国では英語習得者が多い

例えば韓国では大学の卒業生のうち海外で活躍する人材の割合が、日本のそれと比べて高いです。韓国ではハイレベルな大学でなくとも大卒生の多くが英語を使用できます。

海外掲示板やゲームコミュニティでも韓国人の影響力は結構大きく、それは単純に英語ができる総数が多いからでもあります。

韓国語も世界では珍しいアイソレート言語です。日本とは血のつながらない孤立兄弟というわけです。

日本とほとんど同じ立場にありながら、韓国人は英語が話せるのです。それはなぜでしょうか。

日本の英語教育の失敗?

なぜこうにも日本は世界(≒英語)で活躍できないのか。よく日本の英語教育が低いとか、韓国や世界と比較してダメだとか言われていますが、それも根本の原因ではありません。

まず考え方として「日本人は英語ができない」のではなく「英語がなくても生活できる」というのが正しいです。日本人が当たり前だと思っている2大勘違いは「水道水が飲める」ことと「自国語で大卒までできる」ことです。

世界の9割の国では、自国語だけで大卒することはできません。それどころかほとんどの国では小学校以降は自国語が使えなくなる環境にあります。なぜかというと、ほとんどの出版物が翻訳されていないし、自国で生産されていないからです。

つまり英語ができないと高等教育を受けることができないというわけです。韓国の場合、韓国語だけで大卒まで行くことはできるようになりました。
しかし卒業後にまともに暮らすには英語が必要です。

韓国の大企業はほとんど市場が海外で英語が重要になるのはもちろんのこと、大手以外に就職すると賃金が最大10分の1などになってしまうので、その場合は海外に出ていきます。
その行先は日本、アメリカなどで、韓国人の高学歴は多くが複数言語を習得する必要が出てきます。

言語の壁を取り払うには

言語の壁は、よほどのことが無い限り取り払うことは難しいです。

日本人でも2年も海外に住めばその国の言語で会話できるようになるでしょう。

日本人がそうしないのは、そうする必要がないからです。

多くの国は自国から出て出稼ぎしたり、高等教育を受けるために英語を学ぶ必要があります。

そういった国の場合、高等教育を受ける=外国で何年も住むのと同じ。ということで言語習得は容易というか必須です。

であれば日本人でも海外に数年間、目的達成まで住んでがむしゃらに絵を売れば海外に打って出られる絵師になれます。

でもそこまでするより、やっぱ低価格でも日本で戦ったほうがコストが安いでしょう。
そこまでしたくない、けど海外とやりたい。

そういった場合はどうするか。

海外に売りたい(英語圏)

細かい話は長くなるので、別の記事にて記載します。

1、英語圏で設定する

日本のSNSの絵師の多くは海外では「アニメ絵」に該当します(ジャンルそのものが無い可能性もある)
ところでアニメ絵は海外の絵の市場全体からしてもかなりニッチです。

なぜ英語圏へ売る=海外に売るになるのか。というとニッチすぎる市場ゆえ、アニメ絵が欲しい人は日本語や日本の英語翻訳されたアニメ絵オンラインショップを漁ります。
しかしそこまで至らない中間層、あるいはアニメ絵でも日本の絵以外も含めて探している人はどうなるか。
というと英語で検索します。珍しいものを探す時、世界的にとりあえず英語で検索する確率が高いです。

2、戦略を考える

・とりあえず手軽に売るなら日本のサイト
元も子もないですが、日本のサイトのうち海外語に翻訳されて海外からも買えるサイトがあります。
そういったプラットフォームに載せることで海外の目にも触れますが、あまり効果的ではないでしょう。

・プラットフォームを利用
海外のアニメ絵売買サイトに掲載することができます。
「Gumroad」など海外版ピクシブみたいなサイトもあります。

英語圏では個人単位の絵のコミュニティでもちゃんとお金を渡しあって絵の交換を行います。
素人であっても対価を必要とする。カネで評価するという文化があるので、低価格個人絵の売買サイトも結構あります。

・より需要の高い売買サイトを選ぶ
https://www.artgallery.co.uk/
アニメ絵よりも海外ではArtとしての絵のほうが需要が高いです。
なので日本ではなく最初から海外向けに喜ばれる絵を作成して挑むことも有効です。

日本よりも取引単価平均が高いですが、日本ほど評価は甘くないです。
もし、カネではなく絵でちやほやされたい。という場合は日本のSNSが最適です。

・自分でECサイトを構築する
用意するものはSNSアカウントとECサイトで、どちらも英語かつ英語圏向けに絵を販売する専用の目的で運営します。
最もコストが掛かりますが、中間業者はECサイトの決済手数料とプラットフォーム代くらいで、それ以外のしがらみもなく、自分の知名度を高めていくことができます。

通常はオークションサイトへの掲載とSNSアカウントとECサイトは全部持っています。

ターゲットを「日本のアニメを求めるけど英語までしかできない海外の人」に最初から絞って、彼らの中で人気のあるジャンルや絵柄のアニメ絵を制作することで、ライバル少なくチャレンジできます。

絵を広めるには様々な手段があります

が、日本人は国が豊かすぎて学びに英語が必要なく英語文化に溶け込みにくい(よく言えばライバルが多くない)
という特性を逆に利用し、最低限の翻訳や英語スキルだけで、大きな市場を掴める可能性は十分にあります。

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