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栗の里のマロンペーストと、生クリームの厚みある甘露なデュエットが、口のなかで夢に変わる。#レトリカル食レポ

栗の栽培面積・出荷量とも全国第1位を誇る
茨城県のなかでも
大産地として知られる笠間市。
その玄関口である
JR「笠間」駅のすぐ前にある名店
「Gruyère/グリュイエール」の
モンブランを味わう。                   

                                 *

JR「笠間」駅前に、1軒だけあるお店。
周囲には人影がないのに、常にここだけ顧客で賑わう。

やや太めに絞られたマロンペーストを
たっぷりと掬えば
そこには、
ずっしりとしたボリュームの
生クリームの白い気品が
寄り添うように二重にフォークに乗って、
舌を抱くようにくるりとすべり込む。

ペーストの栗色のほっくりとした甘みと、
きめ細やかな生クリームの
なめらかで厚みある甘味が、
まるで夢のようにミックスされて
うっとりと繊細な甘やかな渦のなかに
舌が、頬が、とろける。

待ちかねたように
もうひと口、すくっと掬うと、
吸い込まれるほどにまろやかで
クリーミーな口あたりのなか、
ペーストと生クリームの
甘美なデュエットが、
口のなかでやさしく溶けて、
底のパイ生地をくだけば、
それは目を細めるような
触感のアクセントになって。
やがて、
とろりとした
濃甘味に再びひたっていく。


裏庭のテーブルを懸命に拭くスタッフの姿に、
真摯な菓子作りの姿勢が伝わる。

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