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ダライ・ラマに恋して (たかの てるこ)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 たかのてるこさんの本は、以前「ガンジス河でバタフライ」を読んだことがあるのですが、彼女のその無謀ともいえる行動力に圧倒された覚えがあります。

 先日、いつも聞いているpodcast番組のゲストでたかのさんが登場していたのをきっかけに、久しぶりに彼女の本を手に取ってみました。
 本書は15年近く前の著作なのですが、感じる熱量は変わりませんね。

 今回のチャレンジは、「ダライ・ラマに会う」というたかのさんの夢を実現するプロジェクトです。
 その最終目標に至るまで、たかのさんのチベット地方の旅は続きます。

 訪れる土地土地での現地の人びととの触れ合いの様子がたかのさんの著作の読みどころのひとつですが、本書でのエピソードは前作等で紹介されていたようなスリリングなものは全く登場してきません。
 チベット西端、インドのラダック地方に滞在したときのたかのさんが抱いた感想です。

(p133より引用) ラダックでは素直に、いい人って素晴らしいなぁ!と思うことができた。他の人のために、世の中のために、ひいては世界中の人のために、徳を積まんとしている人たちの話を聞いていると、ほんのスを少し、彼らの思いにシンクロできたような気持ちになって、心がポカポカしてくるのだ。

 さて、今回のたかのさんの旅のクライマックス、本書の最終章に綴られているダライ・ラマ師との面会でのやり取りは、とても印象的でした。
 その対話の中からひとつだけ書き留めておきましょう。

 「『生きる目的』とは何か」というたかのさんの問いに対して、ダライ・ラマ師は「深い意味は分かりません」と答えた後、こう続けました。

(p281より引用) 「ただ、明らかなのは、私たちの生きる目的のひとつは、『存在する』ということです。『存在する権利がある』ということ、また『幸福に存在する」ということです。もし、私たちの存在が惨めなものになるとしたら、それは人生の目的ではありません。人生が、平和と幸福、満足、平安、尊厳とともにあるということ、これが正しい人生なのではないでしょうか。
 私たちは、日々の暮らしが幸せに満ちたものであり、有意義なものであるよう努めるべきです。これはとても大事なことだと思います」

 確かに魅力的な方ですね。
 今度は私もダライ・ラマ師について一から勉強しなくてはならないようです。



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