"良い"チームづくりのデザインパターンを模索するワークショップ
『Why Design Tokyo 』のDay2で「チームビルディングを学ぶワークショップ〜まちづくり編〜」を実施させていただきました。DMMの"プロの酔っぱらい" @norinity1103です。
本来このワークショップは自社向けのスクラムチーム組成時の研修や、新卒教育のカリキュラムとして実施していましたが、今後はナレッジのオープン化と学習促進のために社外展開することにしました。
原型は「LEGO®を使ったスクラムシミュレーション」
このワークショッショップ原型は「Scrum simulation wth Lego Block」をベースに、国内でワイクル株式会社さんが教材として展開しています。弊社もサポートをうけた企業の1つで、私を含めた50名超えるのメンバーがスクラム研修を体験させてもらいました。
当時(2017年頃)の弊社では、自律・自走できるチームの組成するために、ウォーターフォール型の開発しか経験のなかったメンバーに対してスクラムの型や原理を学習してもらう対策がおこなわれ、LEGO®研修もそのような経緯で実施されました。
この研修では、LEGO®という誰でも馴染み深いものを通し、職域や役職の壁を越えて1つのヴィジョンを掲げます。「まち」を「プロダクト」に例え、顧客と開発者の両方の視点でプロダクトを「共創」する体験が得られます。結果的に初心者でもスクラムの型を楽しく学べるのですが、本質的には『アジャイル宣言の背後にある原則』を体系的に理解することが目的ともされています。詳しくは過去の弊社の記事にて。
DMMのチーム組成で浮き彫りになった課題
改めて、これら従来の研修は大変有意義なものでしたが、限られた時間で多くの知識を急速に補填したことで個人の理解度や知識レベルにギャップが発生しました。これに影響を受け「スクラムの型を学ぶ」と「信頼しあえるチームづくり」が半端に交じり伝わってしまい、実施する側の意図に反して受講者にはスクラムの導入が「手段=目的」の文脈で浸透してしまったり、メンバー個々に納得感がないまま開発がスタートしてしまうケースもありました。
スクラムはあくまでフレームワークであり手段です、「作法」を学び「型」を覚えることは組織としての生産性やアジリティーを高めるために非常に重要ですが、強いチームづくりは「チームの協業化」、「コミュニケーションの活性化」、「信頼関係の構築」など、本質的な部分に目を向けなければなりません。ロジックで理解はしていても組織設計とはなかなかうまくいかないもので、"良い"をつくることはエモーショナルな部分が大半を占めます。
有志によるワークショップデザインの開始
DMMでは多数のサービスやプロダクトがあり、後発でチーム組成を実施したりタイミングで研修を受けられなかったメンバーも多くいました。そこで、改めてコーチングやサーヴァントリーダーの視点を持ったデザイナー有志を集めワークショップを再構成するプロジェクトがスタートしました。
「Scrum simulation wth Lego Block」の原文を翻訳し、海外のスクラムコミュニティーの事例の調査、周辺ナレッジに対しても理解を深めました。社内文化にトーンを合わせながら、アジャイル開発のビギナーでも理解しやすい内容にできるよう工夫しながら検査を繰り返してきました。気がつけば社内外での実施回数はすでに10回を越え、インストラクターの育成も含めて多くの経験が積めました。
"良い"チームづくりのパターンを模索する
本来はスクラムの型を学習がメインだったワークも、回を重ねるごとに専門用語や技術的な言い回しを排除し、ワークショップ内でのメンバーコミュニケーションや、ふりかえりによる「共通言語(パターン)づくり」を重視しするようになりました。
この理由としては、同時期に並行して実施していた『パターン・ランゲージ(成功の秘訣を言語化・体系化する手法)』ワークショップの影響で、当時スクラム開発を実施していたチームの「成功体験のパターン」の共有する取り組みにある種の手応えを感じたからです。
「パターン・ランゲージ」はもともと建築分野でクリストファー・アレグザンダー氏が提唱したもので「美しい街並み」など、"たとえ得ぬ美しさ"を構築する要素を事象に照らし合わせて、再利用性が高いものを言語化・体系化(パターン化)する手法です。現代では組織設計やコミュニケーション設計の分野で活用されはじめています。
これらの視座を得て、まちづくりワークショップでは「単にスクラムの型を体験して覚える」以上に「"良い"チームづくりを実現するためのパターン」を異業種や立場の違う者どうしで議論してふりかえる機会としての意味合いが強くなりました。
事象に応じた本質的な課題に向き合う
それぞれの"良い"は個人の立場や境遇、所属している組織の文化や、直面している事象によって違います。
DMM内でも多くの事業部向けにワークショップを実施しましたが、組織の文化や抱える課題は企業ごとにも大きく異なりました。
我々のワークショップでは、「まちづくり体験」という、プロダクト開発・チームビルディングのシミュレーションを通し、体験のふりかえりの中に、チームづくりにおいて再利用性が高いデザインパターンを見つけ、共有することを受講者の1つの成果目標として定めてみました。
さいごに
今後のワークショップ継続開催することで多くのチームづくりのパターンが発見され、あるパターンが全く別の組織やチームの課題を解決する鍵となり、再利用できる状態になるといいなと考えています。
"良い"プロダクトを作るのは"良い"チームで、"良い"チームを作るのはメンバー個々です。ワークショップに参加した人方が、1つでも多くの気づきを持ち帰り、ネクストアクションを起こす勇気になったり、チャレンジの後押しになれることを願っております。
さいごに一言ですが、実はコミュニケーション円滑化やチーム協業や一番の課題は自分自身の中に眠っているということも忘れてはなりません。課題は必ずしも環境や他人が要因とも限りせん、みんなで良いモノつくっていきましょう。
参照記事:「書籍『クソ野郎にならずによい仕事をする方法』を"クソ野郎予備軍"が読んでみた。」
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