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マツコ会議でのヒロシのソロキャンプ考。それと逃げ恥。

ソロキャンプの準備に勤しんでいた週末、深夜番組の「マツコ会議」でヒロシが出てきた。「ヒロシです」は、もはやキャンプ男になっている。お笑い芸人がYouTubeを始めるのがこの世で8番目くらいに毛嫌いしている古い頭の私は、ヒロシのYouTubeを見たことがないのだが、最近のヒロシについてはアメトーークのキャンプ芸人で見たこともあり、彼が本気のキャンパーで山を買って焚き火を好んでハンモックで寝ていることくらいは知っている。そして今のヒロシには好感を持っている、顔つきも良くなった、ただ私がYouTubeというものが嫌いなだけだ。
そんなヒロシとマツコのマツコ会議での対談がとても良かった。

「逃げるって大事」というのがキーワードになっていて、マツコは、「自分の半径100mなんか社会の一部でしかないから、逃げたっていい」と話していて、それを軽やかに鮮やかにやったのがヒロシだと言い、
ヒロシは、「軽やかじゃなかった。自分で計算したわけじゃなくて、いいや逃げちゃえと行った先にお花畑があった。」「キャンプに限らずいろんなことをするのは良い、世界が広がる」と話していた。
多分、番組的には、「逃げるって大事」がキーワードで、見ている人々に響くポイントだったんだと思う。


私が響いたポイントは少し別で、
ヒロシの言葉を要約すると、
日頃の人間関係のたとえで、5人でご飯を食べに行って、4人がパスタを食べたいと言い、1人はカレーが食べたいと言い、一人が妥協してみんなでパスタを食べに行く。そのカレーを食べたいと言う1人、つまり人に合わせる側がいつも自分だった、という話。
いつも妥協したり人に合わせたり、同調圧力に負けて妥協して生きるのが苦しくなって、ヒロシはソロキャンプへと進んだのだろう。分かる。身にしみるくらいに分かる。
人と食べに行く時に、私もカレーを食べたいけど妥協して、パスタの人に合わせることは多い。だから私もあまり大勢でご飯を食べに行きたくないし、行かないし、一人の方が好きだ。
だけど、私の場合、自分の食べたいものを妥協して人に合わせることは不本意ではあるが、それはずっと子供の時からやってきていることなので体に染み付いていて、人に気を使われるより自分が気を使う方が楽だと思っている。
自分の食べたいものは一人の時に食べればいいし、人といる時は人に合わせておこう、その方が楽だ、自分の意思は自分一人の時に持てばいい、と、今は、はなから諦めている。それが楽ちんだ、と思っている。
しかし、逆に、
パスタを食べたい4人側に自分が回った時の、残り1人のカレー派の合わせてくれる側の人のことを考えてしまって気を使ってしまう性格なのでパスタを全力で楽しみにくい。
また最近は、年齢やキャラもあって少数意見なのに私の希望が採用されてしまうことも増えてきた。「みんなはパスタを食べたいけど、あなたが言うなら分かりました、カツ丼を食べましょう」みたいな恐ろしいノリ。自分が人に合わせてもらう側になることが増え、違う疲れも増えた。
いいのよ、私の意見は。一人の時に思う存分、自分のしたいことだけして、自分の食べたいものだけを食べるから、と思ってしまう。
人付き合いは面倒くさいからやっぱり好きではない。
しかし、一人の時間を持ち、思う存分自分の意見を採用してあげることが増え、たまの時間に人といて、人の意見を尊重することで、それなりに人付き合いはうまくやれている気がしているな、とふと思った。


マツコデラックス様(尊敬の念を込めて)は、ポロっとヒロシのことをこう言った。
ヒロシは、色んなことから逃げてソロキャンプをやっていても、
「やらなければならないところは人と密に話して、
自分で意思を持ってちゃんと線引きしてれば、
意外と上手に社会と付き合えるよ、というのを具体的にやられている方」
だと。
マツコはヒロシのことをそう言っているのに、私は勝手に、私に言ってくれているような気がして嬉しかった。
ありがとう、マツコ。

人と一緒に過ごすことに居心地の悪さを感じたり、人とやりたいことがズレる人や、合わせてもらったり合わせたりが面倒くさい人は、自分のやりたいことを自分一人でちゃんと責任を持ってやらせてあげる場を自分が用意してあげれば、そこで満たされて、結果としてその後の人付き合いは前よりも少し楽になるのかも知れない。その場所が、私の場合は一人旅であり、一人ラーメンであり、ソロキャンプだと思う。
小さな希望をたくさん叶えることで自己実現が叶えられていけば、余裕も生まれるし、他者と社会で生きることも少し容易くなるのかも知れない。
なんてことを、ソロキャンプの準備を中断して、テレビを見ながら思った週末の夜だった。

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フジロックのテントサイトで夜中に1人で食べるラーメンは世界一うまい。


脱線ついでに、もう一つ。
逃げると言えば、私が、ジェンダーを扱っていてここ5年で一番好きなドラマ、「逃げ恥」こと「逃げるは恥だが役に立つ」で、古田新太演じるゲイの沼田さんのことを、平匡さん(星野源)が、「沼田さんはゲイだから男の気持ちも女の気持ちも分かる人」と褒めたら、風間くん(大谷)が、「そんなことないですよ。ゲイだからってどっちの気持ちも分かるなんてことはないですよ、沼田さんだからでしょ」とサラッと訂正するシーン。
ドラマでは平匡さんが、「自分は人にレッテルを貼られるのが嫌いなのに、自分は知らず知らずにレッテルを貼ってしまっている」と気づいて反省する。こういう些細なシーンが散りばめられていて「逃げ恥」っていいドラマだなと思ったことを、週末の再放送を見てまた思った。


マツコのことを女装家だから男心も女心も分かる、と思ってる人が多いだろうけど、マツコがデラックスだから、人の気持ちが敏感に分かるんだと思う。

追記:
ソロキャンプや一人旅の話をすると、「どこに向かってるん?」「何になりたいの?」「何を目指してるの?」と周りから言われがちな私だが、私にとって必要だからするだけよ、と言っても本当の意味でどう必要か分かってくれる人はいない。分かってもらおうと思っておらず、ちゃんと私が説明しないからだ。
マツコ会議の後、私の好きなある人のnoteに同じことが書かれていて、読んで、めちゃくちゃ共感した。モヤモヤした私の気持ちを、誰かがスパッと言葉にしてくれると救われたくらいの気持ちになる。
マツコともう一人の芸人の言葉で励まされた気がしている。言葉には力があるなと思った週末。
今週も色んな言葉を胸に刻んで乗り切ろうと思う。


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