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多様性〜人と森のサスティナブルな関係

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2021年出版『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』に関する記事や書評を集めています。
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#人新世の資本論

書評   「多様性」   by  藤森隆郎さん

書評 「多様性」 by 藤森隆郎さん

藤森隆郎さんは、1938年生まれ、日本を代表する森林生態学者で、国際的にも活躍をされた方です。「気候変動枠組み条約政府間パネル(IPCC)」が2007年にノーベル平和賞を受賞したことに貢献したとして、IPCC議長から表彰を受けられています。
2010年の日本森林再生プラン実践事業の際に、私は藤森さんと数回に渡って交流させていただきました。
藤森さんは、現役引退後も熱心な活動をされており、2015年

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脱イデオロギーの、尊厳を基盤にした市場経済

脱イデオロギーの、尊厳を基盤にした市場経済

市場のプレイヤーが「競争」というモーターで、利益を最大化することによって、社会が国が豊かになる、という寓話を信じる(信じたい)「資本主義」が、環境破壊や社会格差を起こしていることは明らかで、その構造は、マルクスの研究者である斎藤幸平氏の『人新世の資本論』にも明確に描写されている。

ただ、マルクスは「資本論」にて、市場経済の主要な生産ファクターとしての「資本」について論じているが、資本「主義」とは

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「人新世の資本論」を読んで、ヘッセとマルクスが繋がった

「人新世の資本論」を読んで、ヘッセとマルクスが繋がった

昨年から話題になっている斎藤幸平氏の「人新世の資本論」。序文にて「SDGsは大衆のアヘンである」と、市民の身近な環境行動を非生産的なものとして批判している、ということを、知人のブログで半年くらい前に読んだ。個々人の身近な行動が、意識の広がりを生み、最終的に社会を動かす力にもなっていくポテンシャルもある、という考えを私は持っているので、反発があった。また、多くの読者がこの本を手に取る前に思ったであろ

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