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【スクワット】膝が内に入る『ニーイン』と及ぼされる影響について解説

こんにちは、トレーニングラボのノリです。今回の記事は、スクワットでしゃがんだ時に膝が内に入るknee-in(ニーイン)の原因と、それにより及ぼされる影響について解説をしていきます。

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Knee-in(ニーイン)が起こると…

スクワットでしゃがんだときに膝が内に入ってしまうことをKnee-in(ニーイン)と呼びます。この「ニーイン」が起こると以下の問題が起こります。

▪バットウインク(腰曲がり)
▪運動連鎖の破綻(足・膝・股関節)

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上記の2つの問題により、スクワットで気持ちよくしゃがめなくなり、フォームが不安定になります。

▪バットウインク

膝が内に入ることで、「股関節が内旋」の方向に誘導されます。股関節を屈曲しながら内旋していくと、股関節の可動域の限界を超えて代償動作で骨盤が後傾してバットウインクが起こります。本来、股関節を外旋(膝を外に開く)することで屈曲可動域が高くなり楽にしゃがめるようになります。

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しゃがんだときに、バットウインクが起こると大殿筋の出力が低下した状態で、ボトムから立ち上がる際には代償動作が入ります。腰周囲の脊柱起立筋と膝を伸ばす大腿四頭筋が過剰に働いてしまい、膝や腰を痛める危険性が高くなります。

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このバットウインクになる原因は「ニーイン」以外には、フォームの問題や股関節の硬さにより、引き起こされる可能性があります。バットウインクが起こった瞬間から大殿筋の出力が低下が起こるので、腰曲がりが起こりながらスクワットをされている方は、何よりも最優先で解決するべきです。

以前のnote記事で解説をしているので、参考にしていただければと思います。

▪運動連鎖の破綻(足・膝・股関節)

運動連鎖とは、「ある動作を行う際には、単関節で行われるのではなく、様々な関節や筋肉が効率よく働くこと」を言います。運動の連鎖が起こることで安定した動作が可能になります。

スクワットでしゃがんで立ち上がる際には、下半身の力が効率良く働くことで、関節や筋肉に無理な負担が起こることなく、動作を遂行することが出来ます。

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ですが、スクワットを行う際に「ニーイン」が起こると運動連鎖が破綻していきます。膝が内に入る動作は「解剖学的」には、股関節が内旋されていきます。そして骨の動く働く方向は「大腿骨が内旋」して「脛骨が外旋」します。

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この大腿骨が内旋の方に誘導されると大殿筋を使って立ち上がることが出来なくなり、股関節を伸展させる力が弱くなります。代償動作で「膝関節の伸展」と「骨盤の前傾・腰椎の伸展」動作が過剰に働きます。

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この状態で続けていると、膝と腰へのストレスが強くなり、最終的には怪我をするリスクがあります。

よく耳にするのが、「スクワットでニーインが起こることで、膝に捻じれのストレスが加わることで痛みが発生する」といった情報です。

「大腿骨が内旋」して「脛骨が外旋」の方に誘導されることで確かに膝にせん断力(ハサミで切るような力)が働き、膝を痛めることがあります。このときに痛める部位というのは、ボトムポジションで大腿骨が内旋位から立ち上がるときに外旋しながら行うことで、「縫工筋」が過剰に使われて、付着部である鵞足部という膝の内上方を痛めることもあります。

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上記のように膝の捻じれのストレスで痛みがでることもありますが、スクワットで膝が痛くなる部位で多いのは、「膝蓋腱」「大腿四頭筋付着」になります。大腿四頭筋は太ももの前に付着している筋肉で、膝蓋骨(膝のお皿)を介して膝蓋腱へと繋がり脛骨に付着しています。

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筆者の現在までのパーソナル指導、整形外科での経験では上記の膝蓋腱に痛みが出ることが多かったです。

この部位に痛みがある場合、スクワットを行う際の股関節を伸展させる力である大殿筋の代償で、膝を伸展させる大腿四頭筋の過活動によって引き起こされている場合が多いと考えています。

さらにそれだけでなく、大殿筋の出力低下により、ボトムポジションから立ち上がるときに「尻浮き」が発生し重心が前に流れてしまいます。その結果、より大腿四頭筋・膝蓋腱へのストレスが強くなっていきます。

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ちなみに膝の片方だけに痛みがある場合、痛めている方の大腿四頭筋の筋力が低下している可能性が高く、この記事の最後に紹介する動画を参考に強化していくことで、膝蓋腱へのストレスを和らぐことも可能になります。

このように、ニーインが起こると、股関節の可動域の限界を超えてバットウインクが起こり、運動連鎖が破綻することで膝へのストレスが高くなります。結果的に膝や腰へのストレスが強くなり、痛める原因になります。

特に、運動連鎖が乱れることで、効率良く地面を押し出すことが出来なくなり、膝・股関節・腰椎に負担をかけながらスクワットを行うようになっていきます。この状態でトレーニングを続けていると関節を摩耗してしまい、将来的に大きな怪我をするので、健康的にトレーニングを続けていきたい場合、すぐに改善していきましょう。

Knee-inが起こる原因

ニーインが起こる原因は大きく分けて3つあります。それは①扱えない重量②足部の不安定性③股関節の不安定性によってニーインが引き起こされていきます。

①扱えない重量

皆さんの扱う重量が重すぎてしまうと、支える限界を超えてニーインが引き起こされます。これは、ニーインが起こることで股関節が内旋され、股関節の屈曲可動域を狭くして、無理やり挙上させるフォームになるからです。

そして大殿筋の出力は低下し、その代償でバットウインク(骨盤の後傾)が入りそうになるのを腰部の脊柱起立筋により、無理に骨盤が前傾の方に誘導されます。そのまま腰へのストレスも強くなります。

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上記のようなフォームでは、バットウインクは起こらずに出来ているように見えますが、それは「見かけ」だけの骨盤が後傾していないだけなので、このまま「数Reps」続けて行ってしまうと、下半身の限界を迎える前に腰のだるさを感じる可能性があります。

ですがパワーリフティングなどの競技では、このテクニックを使うことでさらに重たい重量を扱うことが可能になります。皆さんも「パワーリフティング」などの大会で膝を内に入れながら、スクワットをされているのを見たことがあると思います。

この場合、健康的にスクワットをするのではなく、いかに重たい重量でしゃがむかどうかが「キーポイント」となります。さらには、1Repのみなので、大会時にのみ行う「ニーイン」はそこまで膝への負担は少ないはずです。

ただ、扱う重量が重すぎて毎Repニーインが起こった状態で練習を続けていくと、大きな怪我に繋がるので、個人的にはおすすめしません。

特に「5Reps」以上で行う場合は、ニーインが発生しない重量に設定して運動連鎖を正しく使って下半身の筋力の向上・筋肥大を目指すべきです。

②足部の不安定性

ここからは解剖学的な姿勢不良により、ニーインが起こされる原因について解説をしていきます。

足関節を捻挫した後遺症で、「足部の不安定性」が残ってしまうと運動連鎖が破綻して膝が内に入ってしまう可能性があります。

足部の不安定性とは、足首周囲を支える筋肉の機能が低下し、筋力のバランスが崩れて不安定になることです。例えば、片足立ちをしたときに足の裏で踏ん張ることが出来なくなったり、歩いているときによくつまづいたりしている状態です。

この足部の不安定が起こると立っている姿勢で、「足部が回内」して足の裏の内側が地面に着いた扁平足のような状態になります。

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上記のように左右の片側の足部の内側縦アーチが落ち込んでしまう方は、エラー動作が起こっている可能性が高く、しゃがみ動作を行う際にも動作不良が起きやすいです。

足部が回内していると、下腿を前傾させたときに、脛骨が内に入る内旋動作が過剰に行われます。

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そのまま脛骨の過剰な内旋により、膝の動作に合わせるために自然と大腿骨も内旋されていきます。すると、自然とニーインした姿勢でスクワットをせざるを得なくなります。

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しゃがむときに自然と膝が内に入ってしまい、無理に膝を外に開こうとすると、上手く踏ん張れない方はこの状態に陥っている可能性があります。

裸足で下腿の前傾を行い、足部の内側縦アーチが落ち込んでしまう方は、足部の不安定性により、ニーインが引き起こされている可能性があります。

これらを改善するためのエクササイズは下記の動画で解説をしているのでこちらを参考にしてもらえればと思います↓

下半身 左右差1

③股関節の不安定性

スクワットでしゃがんでいくときには、股関節を支える「大殿筋」や「中殿筋」の機能が働くことで、殿部を軸にしゃがむことが出来ます。

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ですが、殿部の機能が低下すると、股関節が不安定になり、股関節を軸にしゃがむことが出来ずに代償動作で膝が内に入りやすくなります。

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さらには、殿部の機能が働かないため、自然としゃがんでいくときにバットウインクが起こりやすくなります。

特に、中殿筋は「側方の安定性」を保ち、骨盤が落ち込まない為に必要な筋肉です。もし、中殿筋が弱くなっていると、片足立ちになったときに反対側の骨盤が落ち込んでいきます。

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スクワットを行う際には、股関節を軽度外転した姿勢で保つのに重要な役割があります。そして中殿筋が弱化すると、しゃがんでいくときの側方の安定性が落ちていきます。安定させるために代償動作でニーインさせることで、股関節の安定性が高くなります。

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殿部の機能が低下することで、意識をして膝を外に開こうとしても気持ちよくしゃがむことができません。

下記の動画で紹介しているバンドを使ったエクササイズを行うことで殿筋群を強化し、さらに他のエクササイズを行うことで、股関節の可動域を獲得することが出来ます↓

スクワット ニーイン 本物

まとめ

スクワットを行うときに、膝が内に入ってしまう«Knee-in(ニーイン)»が起こると、バットウインクが起こり、運動連鎖が乱れることで、膝や腰を痛める原因になります。

そして、その原因は担ぐ重量が重すぎることにより、ニーインせざるを得なくなります。さらには、足首と股関節に解剖学的な姿勢不良が起こることでも膝を外に開きながらしゃがむことが出来なくなります。

スクワットでニーインする原因がどちらにあるかを、上記のやり方で評価を行い、足部に問題があるか股関節に問題があるかをチェックしてみましょう。

もし、足部・股関節に問題がない場合、単純にスクワットフォームに問題がある可能性があります。「以前の記事」でスクワットを行うときの足幅やつま先の角度を調整してみましょう。

他にも、バーの担ぎが甘いと、上半身が安定せずにふらつくことによっても、ニーインが起こる可能性もあります。「こちらの記事」を参考にしてもらえればと思います。

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