見出し画像

【スクワット】バットウインクと腰椎ヘルニア|フォームの観点から徹底解説

こんにちは、トレーニングラボのノリです。

今回の記事は、スクワットでしゃがんだときに腰が丸くなる『バットウインク(Butt wink)』について解説をしていきます。

皆さんは腰に痛みや違和感を感じながら、スクワットはされていませんか?他にも、フォームが不安定になったり、上手くしゃがめずにスクワットをされている方も少なくないと思います。

上記のような悩みがある方は、しゃがむときに『バットウインク』が起こり、エラー動作が引き起こされている可能性があります。

バットウインク(Butt wink)とは?

バットウインク(Butt wink)を直訳すると、『お尻のまばたき』です。お尻がまばたきをするように骨盤が後傾していく様からこう呼ばれています。

解剖学的に解説をすると、しゃがんでいく際に【骨盤の後傾+腰椎の屈曲】が起こっている状態です。

画像5

このようにスクワットでしゃがんでいくときに、腰が丸くなること(骨盤の後傾+腰椎の屈曲)で、筋肉の使われ方にエラーが起こり、さらにフォームが崩れていきます。

バットウインクと腰の痛みの関係性

本来腰椎というのは、軽度前湾している状態です。腰椎のみならず、脊椎というのは、S字状になっていることでバランスが保たれています。これにより、歩くときに地面からの衝撃を頭へ伝えない『ショックアブソーバー(衝撃吸収)』の役割があります。

ですが、バットウインクが起こるとしゃがんだときには、腰椎が屈曲して後弯している状態になります。理想的な姿勢と比較すると、腰椎へのストレスが高くなります。

名称未設定41

腰椎は胸椎と比べると屈曲・伸展の前後の可動性が高いので、自然と腰を反ったり丸くなるのは容易です。ちなみに胸椎は12椎あり、「屈曲約30~40°、伸展約20~25°(全50~65°)」で腰椎は5椎あり「屈曲約50°、伸展約15°(全65°)」の可動域を有しています。ほぼ同じ可動域ですが、腰椎は5椎に対して胸椎は12椎と半分以下ですので、実質腰椎の可動域の方が高くなっています。

画像9

この理由としては、腰椎の関節面が垂直方向に近く、胸椎の関節面は地面と平行に近いからです。

画像10

腰椎の屈曲・伸展方向への可動域が高いですが、椎間板に対してストレスが加わりやすいです。特に屈曲方向にストレスが加わると「腰椎椎間板ヘルニア」と言われる疾患になりうる可能性があります。

腰椎椎間板ヘルニアについて

『椎間板』というのは線維輪と髄核で形成されており、脊椎の椎体と椎体の間にあるクッションの役割がありますが、腰椎が屈曲方向に力が働くことで、椎間板が後方に移動しダメージを受けていきます。これが続いていくことで、椎間板の線維輪に亀裂が入り、その中にある『髄核』と言われるジェル状の組織が線維輪からはみ出していきます。この飛び出た状態のことを『椎間板ヘルニア』と呼びます。

画像9

スクワットでバットウインクが起こることで、腰椎が屈曲された状態で上からの重量がかかることで、椎間板が損傷し髄核が神経の大元である『脊髄』や脊髄から派生する『神経根』を圧迫する可能性が高いです。その原因は、椎間板の後方に脊髄が位置しているため、腰椎が屈曲することで、髄核が椎間板の後方に移動していきます。その結果、椎間板が『脊髄』や『神経根』を圧迫するようになり、痛みやしびれに繋がります。

画像9

一般的な「腰椎椎間板ヘルニア」の症状は、「腰の痛み」「下半身への方さんする痛み」「坐骨神経痛のようなお尻の痛み」「神経症状(筋力低下、しびれ感、知覚鈍麻)」など多岐にあります。

安静時に痛みを抱えることもあり、日常生活で支障が出てくることも少なくありません。

一度、腰椎椎間板ヘルニアになると、腰の痛みやしびれなどの症状が改善しても、椎間板などの組織が以前の状態に戻ることはありません。ですので、腰椎椎間板ヘルニアに陥る前に予防が必須となります。

バットウインクになる原因

スクワットでしゃがむときに腰が丸くなるバットウインクが起こる原因について解説をしていきます。おおまかな原因としては、しゃがんでいくときに股関節の可動域を超えることにより、代償動作で骨盤が後傾して腰椎へと影響していくことが多いです。

様々な原因でバットウインクになりえますが、今回はスクワットフォームの観点から解説をしていきます。

原因《スクワットフォームのエラー》

スクワットでバットウインクが起こる原因に、スクワットフォームのエラーが挙げられます。特に、「スタンス(足幅)」「つま先の角度」「足部の動き」「しゃがみ方」にエラーが起こると、しゃがんでいくときに股関節の可動域の限界を超えて骨盤が後傾していきます。

フォーム①スタンス(足幅)

スクワットをするときには、ハイバースクワット・ローバースクワット・フロントスクワットなど、多くのやり方がありますが、足の幅が狭くしすぎても広くしすぎても、骨盤をニュートラル(安定している)位置で維持することが出来なくなります。

画像11

足の幅が広くなると、しゃがんでいくときには、股関節の外転可動域が大きくなります。

股関節の外転の方に誘導されると、内転筋群の緊張が強くなり、深くしゃがもうとすると骨盤が後傾されていきます。

画像12

足の幅が狭くなると、しゃがんでいくときに、股関節の屈曲可動域が高くなります。

股関節が屈曲方向に誘導されると、ハムストリングスの緊張が強くなり、骨盤が後傾されていきます。

画像13

スクワットをするときには、多くの方は肩幅ぐらいに踵の真ん中に設定することで股関節の屈曲と外転の可動域の間を狙うことが出来ます。しゃがむときに股関節に対して内転筋群やハムストリングスの過剰な筋緊張を抑えることが可能になります。

画像14

骨格やスクワットをするときのスタイルによって、足幅は変わります。

そして、ハイバースクワットとフロントスクワットを行う際には、上半身の前傾角度が浅く、そのまま骨盤の前傾角度も浅くなります。そのため、足の幅を少し狭くすることで、股関節を屈曲させ、しゃがみやすくなります。

画像15

ローバースクワットを行う際には、上半身の前傾角度が強くなり、骨盤も前傾していくため、股関節をあまり屈曲させない為にも、少し足の幅を広くすることで、股関節の外転を強く取り入れることで上手くしゃがめるようになります。

画像16

フォーム②つま先の角度

足の幅が決まれば、次につま先の角度を設定していきます。つま先の角度が変わることで、股関節の外旋・内旋の関与がされていきます。

多くの方はつま先の角度を10~30°開いた角度が一番しゃがみやすいです。それは、立っている姿勢でつま先同士を平行にさせると安定せず、自然に外に向ける方が安定するためです。

画像17

ですが、股関節の外旋、内旋可動域の個人差によって、つま先の角度も変わっていきます。

«股関節の外旋可動域が優位な人»

うつ伏せで膝を90°に曲げた状態で、スネを内の方に向けた方が動かしやすいタイプの人は、つま先を30°ぐらい外に向けた方がしゃがみやすく、バットウインクが起こりにくいです。

画像18

股関節の外旋可動域が高いため、つま先の角度を広くした方が、股関節に負担がかかりにくくなります。ちなみに、男性はこのパターンに当てはまることが多いです。

«股関節の内旋可動域が優位な人»

うつ伏せで膝を90°に曲げた状態で、スネを外の方に向けた方が動かしやすいタイプの人は、つま先同士を平行にした方がしゃがみやすく、バットウインクが起こりにくいです。

画像19

股関節の内旋可動域が高いため、つま先を平行にして、できるだけ股関節の外旋可動域を出さない方がしゃがみやすいです。

ちなみに、このタイプの人がつま先を外に向けてしゃがむと、股関節に違和感を覚えて上手くしゃがむことができないです。ちなみに、女性はこのパターンに当てはまることが多いです。

以上にように、股関節の内・外旋の可動域の違いによって、つま先の角度が変わっていきます。

つま先を広く外に向ける場合は足の幅を少し広くして、つま先を平行にして行う場合は足の幅を少し狭くすることで、より自然にしゃがめるようになります。

collageっs

フォーム③足部の動き

足幅・つま先の角度が決まれば、しゃがんでいきます。足の裏の「踵・母趾球・小趾球」の3点で支持すること(トライポッド)で、安定してスクワット動作を行うことが可能になります。

collageっj

ここから、指先で地面を踏ん張る力を少し加えていきます。母趾球と小趾球だけでなく、指先に力が働くことでさらに動作が安定していきます。

collagevっf

これにより土台である足部の動きが安定するので、次で解説するしゃがむときの安定感に繋がっていきます。

フォーム④しゃがみ方

スクワットでしゃがんでいくときには、膝を軽く外に向けながら行うことで、股関節が外旋方向に誘導され大殿筋が収縮されやすくなります。これは、大殿筋の作用の一つが「股関節の外旋」を担っているので、しゃがんでいくときには、自然と大殿筋がストレッチされながらしゃがむことが出来ます。大殿筋を軸にしゃがむことが可能になります。

画像23

このときのポイントとしては、膝から動かすのではなく、足の指先から地面を捻るように回しながら膝を外に回すことで、より自然に股関節を外旋させることが可能になります。

画像24

ただ、つま先の角度で解説した股関節の内旋・外旋の可動域の個人差によっては、変わっていきます。

股関節の内旋可動域が高いタイプの人は、膝を外に開く股関節外旋可動域に余裕がないので、つま先と膝を同じ方向にさせることでしゃがみやすくなります。

画像25

よくあるエラーの一つが、膝が内に入った(Knee-in)スクワットフォームです。股関節が内旋方向に誘導され、股関節の屈曲可動域の限界を超えて、骨盤が後傾していきます。股関節の前側が詰まり、バットウインク起こりやすくなります。

この膝が内に入ってしまう原因の一つに、足部が安定が適切になされていない可能性があります。指先で踏ん張る力を与えることで、改善していく可能性があります。

まとめ

スクワットでしゃがむときに、腰が曲がってしまう『バットウインク』が起こった状態で、トレーニングを続けていると、将来的には、「腰椎椎間板ヘルニア」になる可能性があり、この問題はすぐに改善させなければいけません。

ヘルニアによる痛みやしびれなどの症状は改善されますが、椎間板の変性(髄核脱出)は治ることはありません。腰に爆弾を抱えることになるので、最悪の状況になる前にしっかり予防してきましょう。

そして、このバットウインクの原因の一つである、皆さんの骨格に合わせたフォームでスクワットを行うことで、より自然にしゃがめるようになっていきます。

今回紹介していませんでしたが、股関節の硬さ・背中の硬さバーを担ぐときのエラーが起こることでもバットウインクが起こります。それぞれ動画で解説をしているので、フォームの問題が改善されてもバットウインクが治らない場合、参考にしていただけたらと思います。

股関節の硬さが強くてバットウインクが起こる方用↓

股関節スクワット


背中が硬くて胸をしっかり張れずにバットウインクが起こる方用↓

菱形筋3改1

バーの担ぎが甘くて背中や腰が曲がってしまう方用↓

スクワット バーの担ぎ2

上記の動画を参考にしてもらえると、よりバットウインクの問題は改善しやすくなります。

さらに、これまでに股関節の内旋・外旋の可動域による足の幅とつま先の角度についても以前の動画で解説をしているので、動画ベースでより詳しく知りたい方はどうぞ↓

【解説】男女で異なるスクワットのしゃがみ方とフォームが分かる方法

皆さんのスクワット・日常生活がより良いものになって、皆さんの健康に繋がれば嬉しいです!

もし、皆さんが詳しく解説してほしいことがあれば、コメントしていただくと記事を作る参考にさせていただきます!お気軽にお待ちしています!

最後までご覧いただきありがとうございました!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました! 皆様から「サポート」や「シェア」をしていただけると今後の活動の励みになります。