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【ローバースクワット】バーの担ぎ方とエラー動作をわかりやすく解説【解剖学】

こんにちは、トレーニングラボのノリです。

今回の記事は『ローバースクワット』のバーの担ぎ方について、解剖学・運動学の目線からできる限りわかりやすく解説をしていきます。

以前に動画で解説もしています。この記事の最後にURLを貼ってあるのでそちらも参考にしていただけると理解が高まりやすいかと思います。

スクワットのバーの担ぎに必要な関節の動き

スクワットでバーを担ぐ際には上半身の柔軟性が必要になります。①胸椎→②肩甲骨→③肩関節の順番で可動域が必要になっていきます。

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①胸椎の伸展可動域

胸を張る運動になります。この胸椎の伸展可動域が低下して、猫背のような姿勢でバーを担いでしまうと、肩甲骨と肩関節の動きのエラーが出てきます。前胸部を斜め上に突き出すイメージで胸をしっかり張りましょう。

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②肩甲骨の下方回旋可動域

肩甲骨が内に回る運動になります。この肩甲骨の下方回旋は意識的に動かすのは難しいです。胸を張って肩を後ろに引くような運動をすることによって自然と肩甲骨の下方回旋がなされます。

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上記のように、肩甲骨の下方回旋への誘導をするためには、胸椎の伸展運動が必須となります。最初の動きである胸を張る運動が出来ない方は、歯車が崩れるように肩甲骨の下方回旋の動きが出来ない場合が多いです。

③肩関節の屈曲・外転・外旋可動域

スクワットでバーを担ぐ際の肩関節の動きを細分化すると、屈曲・外転・外旋運動になります。

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特に重要な動きは2nd外旋になります。

2nd外旋=肩関節外転90°からの外旋運動

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肩関節の2nd外旋可動域が90°未満の方、さらには、左右で可動域の違いや感覚の違いがある方は、バーを担ぐ際に肩関節の前側や肩甲骨の内側に痛みや違和感を覚える可能性が高いです。

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スクワットのバーの担ぎに必要な筋肉の機能

先程解説した胸椎の伸展・肩甲骨の下方回旋・肩関節の2nd外旋の際に使われる筋肉が①広背筋と②棘下筋になります。

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もちろん、他にも多くの筋肉が動員されますが、重要な2つの筋肉をピックアップして解説していきます。

①広背筋の機能

広背筋は背中に広く付いている筋肉で、腕を後方に引く際に使われます。その際に、胸椎の伸展肩甲骨の下方回旋の動きが重要になっていきます。これらの動きに誘導されると自然と広背筋の付着部同士の距離が短くなり、収縮しやすくなっていきます。

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スクワットを行う際には、上半身を強固に固めることで、しゃがむときに上半身を前傾させることができます。この強固に固める際に、広背筋を収縮させ続けることで安定しやすくなります。骨盤〜胸腰部〜肩甲骨〜上腕部へと繋がっている幅の広い筋肉で、上半身の安定に還元されていきます。

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②棘下筋の機能

棘下筋は肩関節の後方に付着している筋肉で、肩関節を外旋させる際に必要な筋肉の一つです。更には肩関節の安定性を保つ際にも重要な筋肉の一つです。棘下筋の柔軟性が低下し、筋機能が低下することで肩関節の外旋可動域が低下していきます。

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その結果、バーを担ぐ際に肩関節の可動域の限界を超え、代償動作で肩甲骨が上方の方に誘導されやすくなります。肘が後ろに張り出すようなフォームになってしまい、上半身を安定させる役割の広背筋の機能が使えずに、代償で肩甲骨の内側にある菱形筋群が過剰に収縮し痛みにつながる可能性もあります。

上記はたくさんあるエラー動作の一つの例であり、他にも多くの問題を抱えている場合があります。

これらを改善するための方法に関しては、最後に動画で紹介していますので、参考にしてもらえればと思います。

ローバースクワットのバーの担ぎ〜実践編〜

ここからはローバースクワットをするときのバーの担ぎ方の手順を解説していきます。

流れとしては、

①バーを握る(グリップ)→②バーを担ぐ→③胸を張る→④ラックアップ

の順番になります。それぞれのフェーズを解説していきます。

①バーを握る(グリップ)

ローバースクワットを行う際には、ハイバースクワットよりも必然的に手幅が広くなります。それは、バーを担ぐ位置がローバースクワットの方が後下方で肩関節可動域の限界が近くなるためです。

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平均的な体重と身長の男性であれば、バーの81cmラインに手のどこかが触れるくらいが安定しやすいことが多いです。肩関節・肩甲骨・胸椎の可動域が低下している体の硬い人は81cmラインに人差し指ぐらいで担ぐと安定しやすいかと思います。逆に体の柔らかい人は81cm幅に小指ぐらいで担ぐことも可能になります。

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手幅の基準ですが、この後解説するバーを背中で担ぐ際に、肩に痛みが出ない範囲狭く持つことで上背部が安定しやすくなります。手幅を広くするとバーと背中の間に遊びが出来てしまい、不安定になります。しゃがむときに上半身の前傾が出来なくなり、フォームが不安定になりやすいです。

サムアラウンドグリップとサムレスグリップ

バーを担ぐ際には、親指を引っ掛けて行うサムアラウンドグリップと外して行うサムレスグリップがあります。みなさんのしっくりくる方を選択してもらえればと思います。ポイントは、手首をできるだけ寝かさずに持つことと、手関節の近いポジションで支えるようにしていきましょう。

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手首が寝てしまってバーと手首の距離が離れてしまうとバーの重量を手首で受け止めてしまい痛める危険性があります。

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上記のポイントを踏まえた上でサムアラウンドグリップで手首が痛くなってしまう場合は、リストラップで手首の補強を行うか、サムレスグリップで行うようにしていきましょう。サムレスグリップの方が、手首や肘の負担は少なく担ぎやすいです。ただ適切に担がないと、バーがふらつきやすくなるので手幅を調整する必要があります。

②バーを担ぐ

手幅と握り方が決まれば、バーを担いでいきます。担ぐ位置は三角筋後部の隆起している上で担ぎます。微調整をしてもらい感覚的にしっくりくる部位に乗せるのがベストです。

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③胸を張る

バーを担いだら、しっかり胸を張り出しましょう。すると胸椎が伸展し肩甲骨が下方回旋していきます。自然と広背筋が機能して上背部が安定します。さらに、バーを背中と前腕の軸で前後から圧迫している状態なので、バーが安定していきます。

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ラックアップ

上背部が安定したら、お腹を膨らませて腹圧を高めます。これで上半身が一本の軸として安定します。バーの真下に足の真ん中に置いて下半身の力でラックアップを行います。

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バーの担ぎが甘かったり、腹圧が入ってないと上半身が不安定になり、腰椎が後弯し骨盤も後傾しやすくなります(バットウインク)。この姿勢でしゃがんでいくと、健康的にしゃがむことが出来なくなります。腰や膝を痛める原因になっていきます。これを防ぐ為に、バーを正しく担いで腹圧を高めて行いましょう。

よくある間違ったエラー動作

スクワットのバーを担ぐときに起こりやすいエラー動作を一つ紹介していきます。それは、肘を後ろに張り出してバーを担ぐことです。

肘を後ろに張り出すことで、三角筋後部が収縮しバーを乗せやすくなります。ただ、肘を張り出すことで、自然と肩甲骨が上方に力が働きやすいです。すると広背筋の機能が弱くなり、胸椎が後弯しやすくなります。

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上記のようなフォームでされていると、上半身に不安定感から腰や肩甲骨周りを痛める原因になっていきます。

何故このようなフォームになってしまうかというと、「広背筋が硬い」ことによって手幅が広くなり、胸を張ることが出来なくなってしまうからです。

広背筋が硬くなると肩関節の屈曲可動域・肩甲骨と胸椎の可動域が低下しやすくなります。

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自然とエラー動作でしかバーを担げなくなります。下画像のように広背筋のストレッチを行い、柔軟性を高めていきましょう。

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そして、バーを担ぐときのポイントは、『手幅を狭くする』『胸を張る』ことになります。最初に解説した方法を行うことで、自然と三角筋後部が盛り上がり、バーは前後から圧迫されることで安定していきます。

この【広背筋の機能】【担ぎ方の見直し】を行うことでエラー動作は改善されやすくなります。

まとめ

今回紹介したバーの担ぎ方で行うことでフォームが安定しやすく、怪我のしにくいスクワットができるようになっていきます。皆さんがスクワットを行う際に、上手くバーが担げない・しゃがめない、しゃがむときに膝や腰が痛いなどの問題を抱えている場合、参考にしていただけたら幸いです。

今回紹介した関節の動きや筋肉の機能はあくまでも、重要度の高いところからピックアップをして解説をしていますので、ご了承ください。

以前に動画でバーの担ぎ方については解説をしているので、文字で確認して、動画をみて感覚的にイメージすることでより理解が深まり、スクワットのフォームを習得しやすくなっていきます。

【初心者必見‼】間違ったバーの担ぎと広背筋の使い方【ローバースクワット編】

スクワット バーの担ぎ2

他にも、バーの担ぎ方以外にも、スクワットをするときの基礎的なフォームも動画で解説をしているので、気になる方は動画を御覧ください。

ローバースクワットの正しいフォーム

スクワットsと新車

ハイバースクワットの正しいフォーム

ハイバースクワット

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