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ファウチ博士とワクチン、責任転嫁と差し替え:メディアが報じない、米国・コロナ状況(4)

ワクチンをめぐる、責任転嫁と差し替え

❶ワクチンは感染拡大を防ぐので、マスクなしの日常生活が送れる

前回、ファウチ博士がコロナに感染し、パックスロビドの治療で、一度は陰性になったものの、リバウンドを起こし、再度同薬を使うという、CDCのガイドラインとは違った治療を受けていたことをシェアさせていただきました。

規程通りに、プライマリーセットの2回と、ブースターの2回を接種していたファウチ博士ですが、今年6月中旬にコロナに感染したことについて、彼は次のように語っているようです。

ファウチ博士、新型コロナワクチンは、感染症から”過度に”保護するものではないことを認める(2022年7月12日)

記事によると、ホワイトハウス首席医療顧問であり、NIAIDの所長であるファウチ博士は、新型コロナワクチンは感染に対し、”過度に”保護するものではないことを"Your World "で認めたということで、このこと自体を報じるメディアはいくつもありました。しかし、”ワクチンが感染拡大防止には役立たない”ということ自体には、何のニュースバリューもありません。CDCのワレンスキー所長は昨年の9月には既に公言していたことであり、「それでも重症化を防ぐ効果はあるから打つべき」としていたからです。

このファウチ発言を報じているメディアが報じてない重要な事実、それは、ファウチ博士の発言は全く信用ならないということです。

そもそもファウチ博士と、そのお仲間科学者たちが、治験段階のワクチンにEUAを下させ、広く普及するために言っていたことは、「ワクチンが新型コロナから世界を救う!ーーワクチン接種さえすれば、日常生活に戻れる」ということでした。さらに彼らがずっと強調し続けていることは、「自分たちが優秀な科学者であり、その優秀な科学者に対する反論は科学への冒涜」ということでした。

ワクチン接種の重要性をさほど感じなかった人たちの考えは、ファイザー社が出してきたワクチンの有効性95%という計算を行ったのと、全く元データを用いた別の計算を元にしたものでした。

ワクチン接種の検討事項(1)現状を正しく把握

https://note.com/noraailin/n/nb07fe28dc298

ファイザー社のデータによれば、新型コロナウイルスは、ワクチン接種の有無を問わず、99%以上の人が感染をしない病気ということになります。一方、治験途中のワクチンには数年後、10年後・・・の結果がまだ検証できていないというデメリットがありました。それに万が一、発症したときには、イベルメクチン等の既存薬とビタミンや亜鉛等の組み合わせで行う治療を受けるつもりでいました。
だから、私は接種を様子見し、できるだけ感染しないような、感染しても発症しないような生活を送るという選択をしたのでした。

この選択が科学的かどうかはわかりませんが、少なくとも論理的に考えた選択肢の1つではあると思います。では、ファウチ博士とお仲間科学者たちの考え方はどうでしょうか?

この”ワクチン投与後、発症しなかった人:99.96%”という数字をもとに、”ワクチンが感染を防げる=日常生活に戻れる”と、判断したのだと思います。しかし、”ワクチン未投与後、発症しなかった人”でも、99.71%は感染しなかったわけです。”99.71%”は、感染を防げず、”99.96%”なら感染を防げるというのであれば、この0.25%の違いが意味するところを、素人でもわかるように、論理的に説明してほしいものです。

しかし、彼らはそのような説明をせずに、”有効性95%”という素人にはわかりにくい数字だけを一人歩きさせて、「ワクチンを打ちさえすれば、コロナを収束できる」キャンペーンを行いました。

ワクチンを打った人は、マスクなしの元の日常に戻れる。

その結果、どうなったのか?と言えば、大規模イベントがあった州等で、ワクチン接種者の方の感染率がより高くなるという不祥事を起こしてしまいました。

【Vol.1】7月10日以降の感染爆増要因を探る      
【Vol.2】感染爆発の原因を探る          
【vol.3】”南部で感染が拡大している”は本当か?    
【Vol.4】デルタ株がアメリカで感染爆発を起こした原因 
【Vol.5】ミスインフォデミックとは? 

❷未接種者者の間で、感染力の高い変異が起こった

”ワクチン接種しても感染する”ということがバレてしまった、ファウチ博士らの言い訳は、「ワクチン未接種者の間で、感染が広がり、その結果、強毒化した(感染力の高い)変異ができてしまった」でした。

人類の敵はワクチン未接種者。みんなで叩くべし!

ワクチン未接種者を責めよ!ーファシズムと闘うアメリカ(2)感染は誰の責任?ワクチン未接種者を責めよ!ーファシズムと闘うアメリカ(1)

余談ですが、2021年夏頃の、ワクチン未接種者への攻撃は本当にひどいものでした。明らかにおかしいことが起こりながらも、それを公に口にすることができず、自分の中でグルグルするしかないーーそんな中で、始めたのが、このノートへの投稿です。余談ですが、アメリカ産のSNSは、投稿が危険すぎて、全てやめてしまいました。それほどひどいものでした。
ワクチンを推進しなかったり、ワクチンの副反応についての報告をしようとする医師、イベルメクチン等の既存薬による治療を行う医師らのキャリアは危うくなり、職を失った人、ネット上のプロフィールをネガティブに書き直されたり・・・ファウチ博士とは違う意見を述べることは本当に勇気のいることでした。

ここで、ファウチ博士らにより強い不信感を抱いたのが、この言い訳のデタラメ具合です。新型コロナのウイルスは、SARSやMARSと同様に、もともと変異しやすいウイルスで、それがワクチンを作る難しさになっていましたーー少なくとも、パンデミック以前に広く報じられていたのは、そのような事実でした。宿主がなければ生きられないウイルスは、宿主を殺しすぎてしまうと、自分自身が生きられなくなるため、やがて重症化するような毒性を減らし、感染力を高めることで、生き残れるよう、変異していくーーウイルス学では、このような説明がされていたかと思います。

これらのパンデミック以前には、当たり前のように言われていたことがなかったことになり、「未接種者がいたために変異が起こった」という理解をする人までいました。ファウチ博士らが自らの責任を回避するために、そのような発言をしたのですから、信じる人が出るのは仕方のないことです。

❸想定外のブレークスルー感染が起こった

ブレークスルー感染なんて言葉がメディアで賑わい、あたかも想定外の出来事が起こっている風を装っていましたが、そもそもファイザー社のデータでも”100%感染しない”とは言っていません。
それに”有効性95%”という数字のみを一人歩きさせたことで、多くの人がこの数字を「接種者100人の中で、95人は感染しない」と理解していたようですが(実際には99%以上感染しなかった)、そのことを訂正するメディアはありませんでした。このような理解をしていた人の中で、「ブレークスルー感染が起こったのは、未接種者の責任」と思う人に対して思うのは、メディアやファウチ博士に騙されないで!ということです。
彼らの有効性95%の理解をもとにすれば、デルタ株が出現する以前にも、100人いれば5人は感染するーーブレークスルー感染は承認前のデータの中でも起きていたことです。実際には、100人中95人が感染しないのではなく、99人(以上)が感染しなかったというのがファイザー社のデータですから、ブレークスルー感染の比率は小さくなります。ただ、この99人以上感染しなかったということが、ワクチン接種の有無に関わらないということを考えると、感染者が増加したのは、ワクチン以外の部分ーーワクチンを打ちさえすれば、マスクなしで今まで通りの生活を送ってよしという誤った情報等ーーの影響の方が大きいと考える方が自然です。

❹2本でコンプリート!が、ブースター1、2・・・毎年接種が必要

2本で世界が夜明けを迎えられるはずだった、新型コロナワクチン。FDAに承認申請した際には、この1シリーズの形で、この2本で完了する前提での承認だったかと思います。それが2本では足りずに追加1本、そして、また1本。感染力アップしながら変異することを考えると、毎年接種が必要!・・・と、ファウチ博士ら、お仲間科学者、政府は言います。

しかし、これは結果的に、”最初の2本1シリーズは申請時に想定してた通りの効果がないワクチンだった”ということにならないでしょうか。ブースターの必要性に関しても、予想通り、変異にも対応できず、さらには効果の持続性も数ヶ月しかなかったというあまりにも残念な結果であるとしか思えないのですが。

❺ワクチンを贈って、アフリカを救え!

オミクロン株が最初に南アフリカで発見された際、「ワクチンが不足しているアフリカでオミクロンが出現した!ワクチンをアフリカに送って、アフリカを救え!そうでなければ、コロナの収束は難しい・・・」みたいな論調がメディアで賑わいました。ファウチ博士らだけでなく、WHOもそのような発言をしていたのですから、メディアが報じたのも仕方がないことかもしれません。

しかし、メディアにも責任があると思うのは、ワクチン接種が進んでいないアフリカの方が感染者数が少なかったという事実が一向に報道されなかった件です。

【アフリカのコロナ事情】ワクチン支援の前に、彼らから学ぶべきこと 

記事を作成してから少し時間が経っておりますので、日本、アメリカ、そして南アフリカの感染状況、そして、ワクチン接種状況を示したグラフで最新情報を確認してみたいと思います。

  • 緑:日本

  • 赤:アメリカ

  • オレンジ:南アフリカ

(上)100万人あたりの新規感染者数、(中)ワクチン完了者の割合、(下)ブースター接種割合    *各グラフの時期を合わせるために、大きさを縮小させています。

オミクロン騒動で、ひどい扱いを受けた南アフリカですが、4月はじめに新規感染者0を記録した後、度々感染者ゼロという日が続いているようです(上記のグラフは7日平均の新規感染者数のデータ)。それではワクチンが南アフリカを救ったのか?と言えば、完了者が30%くらいで、ブースターに至っては6%程度です。

復帰後のファウチ博士は、”データから明らかなことの1つ”として、”ワクチンは、感染は防げなくても、重症化リスクには効果がある”と言及しています。しかし、南アフリカの場合、重症化リスクも何も、ワクチンに頼ることなく、感染者自体がほぼいない状況にまで回復できているわけです。同じくワクチン接種が進まないインドでも、日本やアメリカに比べれば、かなりゼロに近いところで推移しています。

ファウチ博士:データから明らかなことの1つは、高い感染性という新型コロナウイルスの特徴があるために、ワクチンは感染に対しては過剰な保護はできないが、入院や死亡につながる重症化に対してはかなりよい効果がある、ということです。ワクチンを接種し、感染症から身を守ることはできなくても、重症化から身を守るのに大きな役割を果たしたと確信しており、この年齢でも比較的軽い経過をたどったのだと思います。ですから、予防接種を受けた人が感染することに戸惑いを感じている人たちに伝えたいのは、もしあなたが予防接種を受けていなかったら、予防接種を受けたときよりももっとひどい経過をたどっていた可能性が高いということです。

https://www.foxnews.com/media/fauci-admits-covid-19-vaccines-protect-overly-well-infection

”ワクチンが必要なフェーズ”終了後は、情報差し替えで、再び”必要なフェーズ”に。

ここで、開発・承認時のワクチンの目的(効果)は何かの話に戻りますと、それは感染防止することだったかと思います。そもそもSARSやMARSに比べれば重傷しないというのが新型コロナの特徴でした。ファイザー社の資料でも、強調されたのは、感染防止の方で、重症化予防に対する効果については、”接種後に感染した人は軽症で済んだ”くらいの扱いだったと思います。

さらに、現在では、陰謀論とされた既存薬の承認外使用以外にも、FDAのEUAを取得したコロナ専用の治療薬がいくつもあります。

100歩譲って、FDAの承認を受けたコロナ専用の治療薬ができるまでは、ワクチンは重症化予防として必要なものだったかもしれません。しかし、感染防止のために開発されたワクチンが、今まだ必要なのでしょうか?
(開発・承認)目的を、重症化予防とさりげなく差し替えていますが、ワクチンの必要性は1年前、または治療法のなかった2年前と全く異なると思います。

先ほどのファウチ博士の発言では、「ワクチンを接種し、感染症から身を守ることはできなくても、重症化から身を守るのに大きな役割を果たしたと確信しており、この年齢でも比較的軽い経過をたどったのだ」と言っていますが、彼は治療薬のパックスロビドを投与したと公言。パックスロビドは、リスクがある人を対象に、感染直後(確か5日以内)に投与し、重症化を防ぐための治療薬です。さらに、リバウンド後にも、FDAのEUA外使用法で再びバックスロビドを服用したそうです。そのため彼の場合、実際には、体内で、どちらがどのような作用をし、重症化を防いだのか、わからないはずです。にも関わらず、場面場面で製薬会社が喜びそうな発言をするのはいかがなものでしょうか。

アメリカのコロナ事情としては、新規感染者数が日本の半分しかいないにも関わらず、死亡者が2倍という、残念な医療実態があります。この原因の1つは、医療費の異常な高さから、軽症のうちに病院で診察を受けるという習慣がなく、重症化した後に病院に訪れるという人が少なくないことが挙げられています。ファウチ博士の”ワクチンが重症化から身を守るのに大きな役割を果たした”という言葉は、ワクチン接種者が軽症のうちに受診するチャンスを奪ってしまいかねない誤解を与える表現です。

”ワクチンを打てば、マスクはいらない”という誤ったメッセージにより、ワクチン完了者を感染リスクに晒してしまった自らの責任について、きちんと受け止めていれば、こんなテキトーなメッセージを連呼できないはずだと思うんですけどね。そして、最近のメディアは、科学の権威っぽい人が発する情報を垂れ流すのみで、一度報じてしまった後には、すっきり・さっぱり忘れ去るような訓練でもされているのでしょうか。

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