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【アメリカのコロナ事情Vol.5】       ミスインフォデミックとは?

ミスインフォデミックとは?

【アメリカのコロナ事情Vol.4】デルタ株がアメリカで感染爆発を起こした原因の続編となります。

デルタ株による感染拡大・重症化の原因は、ウイルスそのものの力によるものではなく、デルタ株についての正しい情報提供が行われていないからではないか?いわゆるミスインフォデミック(Misinfomedics)を疑っています。

ミスインフォデミックとは、ハーバード・パブリック・ヘルス誌では、ネット上の誤った情報がエボラウイルス病や麻疹などの伝染病を助長した事例を挙げ、これらを現代のデジタル疫病=ミスインフォでミックとしています。論文では、これを防ぐためには、従来の公衆衛生対策だけでは十分ではなく、新しい取り組みが必要と結論づけています。

一方、インフォデミックという言葉もあります。WHOにより使われ始めたとされる造語で、正しい情報と不確かな情報が大量に混ざり合い、信頼できる情報源や知識が必要な時に見つけにくくなってしまう状態を指します。

確かに、現状は、正しい情報と不確かな情報が大量に混ざり合い、十分な情報が得られているかわからない状態で、重要な決断を迫られることが多々あります。その意味では、インフォデミックが起こっているといえます。その上で、今回、あえてミスインフォデミックの方を使った理由は、誤った情報がコロナパンデミックを助長していると思うからです。さらにその震源となっているのがネット上の情報ではなく、CDCやファウチ博士等、公衆衛生政策を行う側。彼らが流す情報の真偽を確かめず、ただ、たらし流すだけの広報機関でしかないメディアも、”おかしい”とわかりながら忖度論文、意見を出し続ける科学者も、ミスインフォデミックという人災を発生、もしくは拡大する源となっています。

アメリカではパンデミックの当初、”マスク着用は意味がない””マスク着用はかえって危険”がCDCやファウチ博士による公衆衛生政策でした。中国からの入国を制限したのはトランプ大統領ですが、ファウチ博士はこれに人種差別的な色付けをして、反対していました。

もし、あの時、入国制限をしていなければ、アメリカの初期の感染拡大は、もっと深刻になっていたかもしれません。                     一方、もし、あの頃、アメリカ全土できちんとマスク着用を敢行できていれば、死者数はずいぶん抑えられたかもしれません。       

特に、当時は新型コロナが”未知のウイルス”だった頃です。未知数の敵が襲ってきた場合、最大限の防御を行っておいて、不要なものをやめていくというのが適切な政策だと思うのですが、その逆の政策を行おうとしたのがCDCであり、ファウチ博士です。

2021年に入り、CDCとファウチ博士は涼しい顔で、マスク着用義務化を解除する州を批判したり、「二重マスクがおすすめ!」と、マスク推進派になっています。入国制限は引き続き行われていますし、感染者数が圧倒的に少ない日本をレベル4(渡航延期勧告)を出すくらい厳しい制限を出したこともあります(日本の感染者数は、100万人あたりに調整しても、アメリカの感染者数を一度も上回ったことはありません)。

なぜ、最初からこれらの政策を行わなかったのか?

マスクを推奨しないとした理由としては、マスク不足の中、”コロナの最前線で闘う医療従事者のPPE(マスク等個人を守るための防具)を優先させるため”としています。ところが、CDCがマスク着用・推奨に切り替えた時期には、まだ、PPEが不足していました。それにたとえ医療機関だったとしても、コロナ患者の対応を行わないところは、医療専用の卸業者からは、マスク等が購入できないようになっていたようです。一方、もともとマスク着用の習慣がないアメリカでは、一般のドラッグストアでのマスクの取り扱いがあるかないかわからないくらいのものでした。買いだめしようにも、売っている店がないので、「買うな」と言われなくても買えなかったのです。そもそもCDCが推奨するマスクには、布製マスクも入ります。鼻と口を覆っていれば良いというもので、アウトドアで使うフェイスカバーをマスク代わりにしている人も少なくありません。ということは、PPEを優先させるのなら、最初から布製マスクを推奨すれば良いことで、わざわざマスク着用自体を否定した意味がわかりません。

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軽症であることを伝えない、ミスインフォデミックの問題点

目下問題になっていると考えているは、デルタ株についての情報提供についてです。アメリカでデルタ株についての認識は、CDCが発表した下記のもののようになっています。

米国疾病対策センター(CDC)によれば、デルタ株は既知の呼吸器系ウイルスの中でも感染力が非常に強く、ほかの変異株よりも重症化を引き起こしやすいと考えられ、。

ところが、アプリによるデルタ株の症状集中・分析したZOE COVID症状調査によると”デルタは軽症”とされています。

ZOE調査によると、デルタ株が主流になっているUKでのコロナ症状は、多い方から、頭痛、のどの痛み、鼻水。続いて、発熱、5番目に咳。コロナの特徴と言われた”嗅覚・味覚の喪失”はもはやトップ10にも入っていません。これは初期に言われていたコロナの症状とは随分異なります。同調査の責任者の1人、ティム・スペクター教授によると、若い人では、デルタ株の症状は「ひどい風邪」によく似ているといいます。

”感染すると、本当は重症化するにもかかわらず、軽くすむような印象を与える情報を流した”このことが問題であることは、とてもわかりやすいと思うのですが、同じように、”感染しても軽症なのに、中・重度の症状しか出ないような情報提供(印象操作)を行った)”というのも問題です。なぜなら、無自覚の軽症者がスーパースプレッターになってしまう懸念があるからです。

デルタ株の感染拡大は、もちろんデルタ株が他の変異よりもウイルス量が多いということも影響しているかと思いますが、”軽症の人がコロナ感染の自覚なく、ウイルスを拡散して回っている”部分も小さくはないかと思います。

学校や企業、地方自治体の多くは、CDCの推奨する対策をベースに個別のコロナ対策を検討し、展開します。コロナが軽症であることを伝えない問題点は、前回の記事内”「あなたのお子さんは濃厚接触者ですよ」通知の問題点”でも紹介しましたが、学校が作成した保護者への通知は当然、CDCの情報をもとにします。それを受け取った保護者は、子どもにリストにあるような症状がなければ登校させますが、その”コロナ疑いのある症状リスト”が下記の通りです。

・(口で測るタイプの体温計で)華氏100度(37度)以上の発熱        ・喉の痛み                                                                                                              ・呼吸困難に陥るような制御不能な咳(慢性的なアレルギー性・喘息性の咳を持つ学生の場合は、ベースラインからの咳の変化)                ・下痢、嘔吐、または腹痛重度の頭痛が新たに発生し、特に発熱を伴う場合    これらの症状がある場合は、かかりつけの医師に相談することをお勧めします。 

鼻水だけの子、咳はできるけど制御不能ではないという子は、自分がコロナに感染している認識なく、登校してしまうかと思います。軽症の子ほど、気が付きにくいものですが、ウイルス量が最大になるのは、感染初期と言われています。

コロナをアレルギー症状だと勘違いしてウイルスを拡散させてしまったカリフォルニア州の教師の事例のように、知らない間にウイルスを感染させてしまう可能性もあります。

また、仮にそのお子さんが軽症で済んだ場合でも、学校には重症化リスクのあるお子さんもいます。知らずに登校してしまうことで、認識がないままお友達を危険に晒してしまう懸念もあります。

”デルタ株が危険だ”を繰り返すのは、強い警告により、一般市民の衛生観念を高め、感染拡大を防ぐため・・・なんていう言い訳もできるかもしれませんが、デルタが軽症であることを伝えないことで、逆に感染を拡大してしまったことは否めません。

誤った情報に基づく、誤った政策がもたらした感染拡大

CDCやファウチ博士が誤った情報を提供していることも問題ですが、さらに彼らが公衆衛生政策の責任者であることは、感染拡大をもっと広げる原因になりました。

4月、5月くらいまでのアメリカは、いったんパンデミックの収束が見えるようなくらいにまで感染者数が減っていました。

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ただ、そのような中で懸念されていたのが変異株でした。特にインドではデルタ株が猛威を奮っていました。

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デルタ株を最も懸念を示していたのは、CDCやファウチ博士です。”強毒化した変異株がアメリカに上陸するかもしれない”を理由にワクチン接種を推奨していました。にも関わらず、彼らは、デルタ株拡大の懸念がある中で、ワクチン接種完了者はマスク着用は必要ないとする政策を取りました。デルタがブレイクスルーのリスクがあることも、もちろん、ファウチ博士はご存知で、ランド・ポール上院議員とのバトルでは「ワクチン完了者にもマスクが必要だ!」と発言していました。

さらに最悪だったのが、この政策変更した時期。学校が夏休みに入り、人の移動が最大値となる独立記念日、夏のイベント等々を控え時期に、”ワクチン接種さえすれば、マスク生活とはサヨナラできる”という誤ったイメージを広めたことです。1年以上我慢生活を強いられたアメリカ国民は、”ワクチンを打って、夏をエンジョイする”ということに、例年以上の期待感でこの時期を待っていました。急激に高まるフライト需要に、航空会社が追いつけなくなるほどに。

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*TSAは保安検査の通過量で、飛行機による移動した人の数の参考として使えます。

6月後半から急激に感染者が増えたのは、この”人の移動”が1つの要因だと思います。ただし、”春休み”も結構な多さのTSA通過量がありますが、感染者数は減っています。これはワクチン効果だとされています。ところが”夏休み”に向けて、ワクチン接種は緩やかながら増えていたにもかかわらず、感染者は激増。これに対して、”ワクチン効果が低下したため”という説明がされていますが、ワクチン効果が薄れたくらいでこんなに激増するものでしょうか?こうなると、ワクチン以外の要素が影響したと考える方が自然です。

”春休み”と”夏休み”期間の大きな違いは、それはワクチン接種者が、マスクなしのまま旅行に出掛けたことです。

CDCやファウチ博士が宣伝した通り、”ワクチン を打ちさえすれば、元通りの生活が送れる”と思い込んだ完了者は、マスクをせずに混雑したイベント会場に押しかけ、74%の感染者はワクチン完了者というケースさえも出てきていまいました。驚くことに、このデータを発表したのは、CDCです。ただし、責任の所持はデルタの持つ感染力であり、感染拡大を広めた未接種者にあるとしています。彼らが自らの過ちを認めず、とんでも理論の言い訳をするのは、パンデミック開始以来”毎度のこと”です。

■アメリカの感染爆発の原因を探った関連記事:
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【アメリカのコロナ事情Vol.1】7月10日以降の感染爆増要因を探る

明らかな矛盾も気にしない

CDCやファウチ博士は”科学に基づいた政策”だと言っていますが、彼らの科学はとっても気分屋です。先ほどの”感染者の74%は接種感染者(ブレイクスルーケース)”というデータを出したのは、ワクチン完了者に対するマスク着用推進が目的でした。一方で、CDCは、感染者の7割がワクチン未接種者だとするデータも発表しています。ともにデルタ株が優勢になった時期のものですが、これらのデータを真面目に受け止めるならば、「打った方がいいの?打たないほうがいいの?」を迷うところです。

問題は両方とも局地データであり、アメリカ全体のデータではないということです。自分たちが行いたい政策ありきで、それに合うようなデータを見つけてくるのか、作らせているのでしょうか?

さらに、”感染者7割がワクチン未接種者”のデータは、期間の設定にも不自然さがありますし、”接種から2週間未満”や”接種データ不明”の感染者を”未接種者”として扱っているところに疑問を感じます。これらは当然、別項目で表示するべきです。”接種完了者”の定義を厳密に行いたい割には、”未接種者”の定義がザルすぎます。アメリカの(世界の?)科学の最高峰にいる方々が作成されているデータとして、いかがなものでしょうか?

そもそもCDCは、ワクチン接種者の場合は、”陽性者で症状のある人”のみを感染者数としてカウントしますということをアナウンスしています。未接種者数は、以前の通り、単純な陽性者数ですから、この時点でデータを比較する意味がなくなります。ただ、実際に統計のベースとなる数字を作るのは州以下の行政単位ですから、データによっては、「〜名の陽性者中、症状があるのは〜名」のようなものを出しているところもあります。

こんな”自由なデータ”を分析した結果で、どんな適切な政策が検討できるというのでしょうか? 政策の信頼度も下がりますし、それでもCDCを信頼する層を混乱させています。

そのようなこともあり、個人的に、CDCのデータを使うのは、CDCのデータ(政策)がやっぱり怪しいねっということを確認する時のみです。ただ、CDCが出すデータ、情報だからと、それを信じているアメリカ人は、パンデミック開始以来、どれだけ振り回されてきたのかわかりません。

コロナ死亡者数(実数)

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コロナ死亡者数(100万人あたり)

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アメリカは人口世界2位ですので、100万人あたりの死亡者数を見ると、より深刻さがわかります。

世界最高峰の医療を誇るアメリカで、なぜこんなに死者を出してしまっているのか? その原因の1つは、CDCとファウチ博士のミスインフォデミックにあると思います。

CDCやファウチ博士が使用拒否続けているイベルメクチンを使ったインドと、ワクチン1本で行こうとしているアメリカ。どちらの政策が適切なのか? 言うまでもありません。

日本のメディアはCDCのガイドライン、政策をそのまま情報として流すことがありますが、彼らのガイドライン、政策が適切でなかった結果、アメリカがこのような事態になってしまっていることもきちんと報じるべきです。

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