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【アメリカのコロナ事情Vol.4】      デルタ株がアメリカで感染爆発を起こした原因

デルタ株の実態は?

アメリカでは、CDCやファウチ博士(【ファウチ研】シリーズをご覧ください)、そして、メディアやさまざまな医療機関が”デルタ株は怖い”キャンペーン(だから、直ちにワクチン接種せよ!)を行なっています。

米国疾病対策センター(CDC)によれば、デルタ株は既知の呼吸器系ウイルスの中でも感染力が非常に強く、ほかの変異株よりも重症化を引き起こしやすいと考えられ、抗体を回避する能力も高い

1)デルタ株はブレイクスルーするほど、感染力が強いウイルス       2)ワクチン未接種者の間で感染拡大が起こっている            3)感染拡大しているのは、ワクチン接種率の低い州だ            4)ワクチン未接種者の重症化が問題になっている             5)ICUが未接種重傷者で埋め尽くされている(医療危機を招くほど重症化が問題) 

3)については、【アメリカのコロナ事情vol.3】”南部で感染が拡大している”は本当か?で検証しており、感染はアメリカ全土で広がっており、南部で深刻なのは、むしろ死亡率の高さ。その要因の1つは肥満でないか?と、個人的には考えています。

”デルタ株は怖い”は、本当か?について。アプリを使った新型コロナウイルス感染症の症状調査についてシェアさせていただきます。

ZOE COVID症状調査ー”デルタは軽症”

ZOE COVID症状調査は、マサチューセッツ総合病院と、キングス・カレッジ・ロンドン、ZOEを中心に、さまざまな機関が参加したプロジェクトで、アプリを用いて新型コロナウイルス感染症の症状を調査し、感染の広がりを追跡しています。マサチューセッツ総合病院アンドリュー・チャン博士は、このアプリを使った研究により、注意すべき新しい症状を見つけ出したり、COVIDのホットスポットを特定し、人工呼吸器を送ったり等、「医療システムに決定的に貴重な情報を提供することができる」としています。

アメリカ版ではUKで行ったデルタ株の調査のページが検索できないため、日本語記事から引用(要約)します。

この調査でわかった、デルタ株が主流になっているUKでのコロナ症状は、多い方から、頭痛、のどの痛み、鼻水。続いて、発熱、5番目に咳。コロナの特徴と言われた”嗅覚・味覚の喪失”はもはやトップ10にも入っていません。これは初期に言われていたコロナの症状とは随分異なります。また、キングズ・カレッジ・ロンドンのティム・スペクター教授によると、若い人では、デルタ株の症状は「ひどい風邪」によく似ているといいます。

これはアメリカで報道されているデルタ株の内容と随分違います。

CDCのデルタ株情報

再び、先ほど掲載したものと同じCDCが発表したデルタ株についての情報を再掲します。

米国疾病対策センター(CDC)によれば、デルタ株は既知の呼吸器系ウイルスの中でも感染力が非常に強く、ほかの変異株よりも重症化を引き起こしやすいと考えられ、抗体を回避する能力も高い

この文章から、デルタ株の主流と見られる症状、頭痛や喉の痛みだけの症状の人が「自分はコロナに感染した可能性がある」と思えるでしょうか?         ”非常に強く”や”重症化”という言葉にひきづられることもあり、軽症の場合、自らのコロナ感染を疑うことはないでしょう。

CDCのデルタ株の情報ページといえば、”デルタを科学的に説明したもの”、”感染の広まり方についての情報”、それにワクチンとマスクのことしか触れられておらず、デルタのページではその症状について語られていません。

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”変異”のコーナーの下に”症状”がありましたので、そこを開いてみると、

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症状に注意
COVID-19の感染者には、軽度の症状から重度の病気まで、さまざまな症状が報告されています。症状は、ウイルスに感染してから2~14日後に現れます。誰でも軽症から重症の症状が出る可能性があります。以下のような症状がある人は、COVID-19の可能性があります。                      発熱または寒気/咳/息切れや呼吸困難疲労感/筋肉痛や体の痛み/頭痛/(新たに生じた)味覚や嗅覚の喪失/喉の痛み/鼻づまり、鼻水/吐き気や嘔吐/下痢
このリストには、すべての症状が含まれているわけではありません。CDCは、COVID-19についての情報が得られ次第、このリストを更新していきます。高齢者や心臓・肺疾患、糖尿病などの重篤な基礎疾患をお持ちの方は、COVID-19による重篤な合併症を発症するリスクが高いと考えられます。

情報の正しさという点では正しいのかもしれませんが、これではデルタ株の症状では多数を占める”鼻水”だけだった人が自分がここに当てはまるとは考えないかもしれません。実際のところ、下記のようなケースも報道されています。

ワクチン未接種の米小学校教師、教室でマスク外す 生徒半数超が感染

アメリカで新学期が始まった直後、”ワクチン未接種の教師が授業中にマスクを外して話したため、子どもたちに感染をばらまいた”という記事が随分賑わいました。「ワクチンもうっていない、マスクもしていない、まぁ!なんてこと!」という論調ですが、この記事には気になる一文があります。

マリン郡公衆衛生当局のチームによると、この教師は新型コロナの症状があるにもかかわらず出勤していた。本人は感染ではなくアレルギーの症状だと考えていたという。

「CDCは、COVID-19についての情報が得られ次第、このリスト(上記の引用文”症状に注意!”)を更新していきます」という文言がありますが、果たしてCDCはデルタ株の症状をアップデートした結果がこのページなのでしょうか?それともUKの研究ということで反映しないのか、もしくはこの研究自体を知らないのでしょうか。仮に後者だったとして、デルタの症状に関して、ZOEの調査と同様の意見を持つ現場医師はアメリカでも少なくありません。

もし、前者で、デルタ株の特徴もアップデートしたというのなら・・・正しく伝えたつもりであっても、正しく伝わってはいないかなと思います。特に、CDCやメディアが一丸となって”デルタは怖い”を強調していますから、「喉が痛いな。コロナかもしれない。検査しにいこう」とは絶対になりません。

先ほどの日本語記事に登場したスペクター博士も、同記事内で下記のように話しています。

また 「(そうした症状の変化は)世間では認識されていないし、政府の情報のなかでも伝えられていない。そのため、自分はなんらかの季節性の風邪をひいただけだと考えて、そのままパーティへ出かけ、感染を広めてしまうおそれがある」とスペクターはビデオのなかで述べてる。                    

「あなたのお子さんは濃厚接触者ですよ」通知の問題点

アメリカでは、ほとんどの医療機関、学校等がCDCの

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方針に従います。

テキサスの学校では、感染者が出た場合、「学校でCOVID感染者が出て、プライバシー保護の観点から名前は明かせませんが、お宅のお子さんは、その子とクラスが同じか、濃厚接触者です」という通知が保護者宛にメールされてきます。テキサスでは濃厚接触者であっても、症状がなければ登校できます。この登校の基準にもなる症状リスト−−CDCの情報をもとにして作成されている−−が下記です。

37度以上の発熱                                                                                                        ・呼吸困難に陥るような制御不能な咳(慢性的なアレルギー性・喘息性の咳を持つ学生の場合は、ベースラインからの咳の変化)                ・喉の痛み                                                                                     ・下痢、嘔吐、または腹痛。                                                                                                               ・重度の頭痛、特に発熱を伴う場合                                        これらの症状がある場合は、かかりつけの医師に相談することをお勧めします。 

鼻水だけの子、咳はできるけど制御不能ではないという子は、自分がコロナとは気が付かずに登校してしまうでしょうね・・・・。こんな症状になるまで治療せずにほっとく、もしくは登校を続けることは、感染した子にとっても絶対良くないです。そして、その子は軽症で済むかもしれませんが、学校には重症化リスクのあるお子さんもいます。知らずに登校してしまうことで、認識がないままお友達を危険に晒してしまうかもしれません。

とはいえ、感染拡大の原因は、コロナにかかったお子さんでも保護者の方でもありません。こういう通知を受け取れば、そこにリストアップした症状がなければ当然登校します

先ほどのカリフォルニアの教師が感染を広めてしまった事例も、報道を読んだ直後は、「どうして勘違いしたのだろう?」と思ったのですが、これは、私があまりメディア報道を目にしていない故の感想だということに気が付きました。メディアや科学の権威と言われるCDCが、あれだけ”デルタは怖い”キャンペーンを行なっていれば、デルタ株の症状が出てもコロナだと認識できなかったことは責められないように思います。

デルタ株はなぜ広まったのか?考

デルタ株がなぜ広まったのか? その1つの要因は、コロナの最新情報を正しく配信しないCDCの公衆衛生政策に問題があると断言できます。

他にも、CDCは5月、ワクチン完了者のマスク着用義務を緩和する方針を出していますが、その後、イベント毎の多い夏休みの開始、人の移動が最大級となる独立記念日を経た7月、”ワクチン完了者でも、マスク着用は必要”と方針を転換させました。

デルタ株、感染したらワクチン接種者でも同じウイルス量 米CDC

上記の記事は、とある地域で感染者の74%が接種完了者であったため、接種完了者にもマスク着用が必要としたCDCのデータ、方針を伝えた記事です。謎(疑惑)の多いマスク・ポリシーもまた、デルタ株を広めた原因の1つだと思います。ここで私が疑っているのがミスインフォデミックです。長くなってしまいましたので、言葉の定義も含めて、次回の記事でご紹介します。

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